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番外編:写真
トレーニングの写真
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僕は、ぼーっと公園のベンチに座っていた。
病院からの帰り道ふらふら、と座って、今に至る。
「絵を描くことは諦めてください」
医者の言葉が、信じられなかった。
ちょっとした交通事故で、利き腕を骨折してしまった。
その時に、神経を痛めた。
腕が動くかは、リハビリをしても保証できない。
まして、絵を描くような繊細な動きは諦めろ。
オブラードに包んでも、医者の発言内容は、こうだった。
なんだか、気が抜けていた。
よくよく考えてみたら、そんなに絵が好きではなかったのかもしれない、と思った。
たまたま小学校で担任が出したコンクールで賞を取ってから、周りからの期待で止められなかっただけなような気がする。
リハビリをしてとか、逆の手でとか、口で筆をとか、本気でやる気がない自分に気がついてしまった。
試しに棒を拾って、逆の手で地面に描きだした。
なんだろう。
利き手で描いたのとあまり変わらない気がする。
つまり、そんなに上手くなかったのだ、もともと。
「お、上手いな」
心の声を否定されて、顔を上げる、とそこには父親くらいの男がいた。
疲れたサラリーマンの父親とは違って、ものすごく精悍だったが。
「そんなことないですよ」
言って、僕は地面を靴裏で擦って消した。
男は、ギプスに固められた腕を見て、聞いた。
「もう描けないのか?」
僕は頷いて、腕を上げて見せた。
「描きたいのか?」
続けて聞かれて、僕は答えられなかった。
今まさに考えていたことだったからだ。
「授業、何が得意だ」
「保険体育、と美術」
描きたいか答えられなかったので、次の質問に急いで答えてしまった。
保健体育は、絵を描くのに身体の構造、骨格や筋肉が興味深くて、好きになった。
しかし保健体育、というと性的な興味だからだろう、と笑われる、と思った。
それを誤魔化すように、美術を付け加えたが、描きたいと言えてない時点で、いかにも付け足しなのがバレバレだ。
「筋肉はいいよな」
男は突然、近くの鉄棒で懸垂を始めた。
そして、走って戻る、と血が流れて張った腕を見せて、
「筋肉は、美しいよな」
驚きながらも、今度は、素直に僕は頷いた。
ぐー、と腹の鳴る音がした。
そういえば、ベンチに座ったまま、もう日暮れも近く、病院に行った朝から、碌に食べていなかった。
よれよれな包装のチョコバーをポーチから出した男が、
「お前、腹減ってないか?」
僕は、陸上部に仮入部した。
腕を骨折しているので、激しくはできないが、軽いランニングなどしたかったのだ、という建前で、自分の筋肉をちゃんと見てみたくなったのだ。
あの男の筋の張った腕の美しさが、衝撃的だったのだ。
学校としても、怪我をしているとはいえ、監視下で運動をさせるのは、いい結果を招く、と判断したようで、受理された。
自分の筋肉だけでなく、人の筋肉を見ていて、ちょっとした自分の才能に気がついた。
部員の動きを絵に描こうとイメージして視たときの違和感だ。
なんとなく、それを「もうちょっと膝を上げたらいいに」「腕を前にふりすぎ」などと言ってしまった。
絵にするとしたら、その方が美しいからだ。
そんな曖昧な理由なのに、タイムの伸びに悩んでいた先輩が、試しにやってみたら、自己ベストを更新した。
僕は、影のコーチとして、部員たちにアドバイスを求められて、骨折が治った後は、正式な部員となった。
意外と筋肉がつきやすい体質だったせいか陸上競技としては、自分自身の成績は人並みだったが、トレーナーという職業に憧れを持ったのだった。
「音楽に合わせる必要ありません。ご自分のペースで、ですがラスト三十秒は、追い込んでいきましょう!」
「あれ? この写真って、オジサンが撮ったんですか?」
ゴールを走り抜ける短距離走っぽい写真を見て、アニキに聞いた。
「はい。裏には『筋肉の美しさ』としか書いてなくて、どうしていつどこで撮ったのか、わからないのですが」
--------------------------------------------------------------------
番外編の解説(作者の気まぐれ自己満足と忘備録的な)
いかにも番外編な、こいつ誰だよ、なお話、第陸弾。
「写真」は、登場人物の「過去・出会い」に焦点を当てた番外編で(以下略)
本編でのブレない大人、百田さんが、いつどうやって「大人」になったのか、的なお話です。
また、体育会系なのに繊細な心遣いができる理由です(偏見)。
あと、筋肉工場誕生秘話でもあります(ヒネリなし)。
ちなみに本編の時代でも、彼は、懸垂男が誰か知らない設定です。
(どうせ実は、って後付け設定で以下略)
当初、競技者として故障からトレーナーへ、とかアリガチなことを考えていたのですが、彼の前向きさとは違う感じがして、怪我はしても、そこからの競技者、という逆ルートになりました。
同じように怪我をして絵から写真へ、とのエピソード被せも考えていたのですが、時系列的に、もう写真なタイミングなので、諦めました。
比翼の鳥懸垂、書きたかったのですが。
店長出世物語のスピンオフも面白いかも、ってガチすぎるか。
(番外編とかスピンオフとかばっかだな)
まあ、そもそも続くかどうかがわからないのが、番外編の醍醐味ですよね?
また、機会がありましたら、このお店にお付き合いくださいませ。
(お店のシーンない以下略)
(最近、本文よりココ書く方が難しいんだけど)
(最近、ってそもそも本文書いてなかったじゃない?)
(ぐはっ吐血)
まみ夜
病院からの帰り道ふらふら、と座って、今に至る。
「絵を描くことは諦めてください」
医者の言葉が、信じられなかった。
ちょっとした交通事故で、利き腕を骨折してしまった。
その時に、神経を痛めた。
腕が動くかは、リハビリをしても保証できない。
まして、絵を描くような繊細な動きは諦めろ。
オブラードに包んでも、医者の発言内容は、こうだった。
なんだか、気が抜けていた。
よくよく考えてみたら、そんなに絵が好きではなかったのかもしれない、と思った。
たまたま小学校で担任が出したコンクールで賞を取ってから、周りからの期待で止められなかっただけなような気がする。
リハビリをしてとか、逆の手でとか、口で筆をとか、本気でやる気がない自分に気がついてしまった。
試しに棒を拾って、逆の手で地面に描きだした。
なんだろう。
利き手で描いたのとあまり変わらない気がする。
つまり、そんなに上手くなかったのだ、もともと。
「お、上手いな」
心の声を否定されて、顔を上げる、とそこには父親くらいの男がいた。
疲れたサラリーマンの父親とは違って、ものすごく精悍だったが。
「そんなことないですよ」
言って、僕は地面を靴裏で擦って消した。
男は、ギプスに固められた腕を見て、聞いた。
「もう描けないのか?」
僕は頷いて、腕を上げて見せた。
「描きたいのか?」
続けて聞かれて、僕は答えられなかった。
今まさに考えていたことだったからだ。
「授業、何が得意だ」
「保険体育、と美術」
描きたいか答えられなかったので、次の質問に急いで答えてしまった。
保健体育は、絵を描くのに身体の構造、骨格や筋肉が興味深くて、好きになった。
しかし保健体育、というと性的な興味だからだろう、と笑われる、と思った。
それを誤魔化すように、美術を付け加えたが、描きたいと言えてない時点で、いかにも付け足しなのがバレバレだ。
「筋肉はいいよな」
男は突然、近くの鉄棒で懸垂を始めた。
そして、走って戻る、と血が流れて張った腕を見せて、
「筋肉は、美しいよな」
驚きながらも、今度は、素直に僕は頷いた。
ぐー、と腹の鳴る音がした。
そういえば、ベンチに座ったまま、もう日暮れも近く、病院に行った朝から、碌に食べていなかった。
よれよれな包装のチョコバーをポーチから出した男が、
「お前、腹減ってないか?」
僕は、陸上部に仮入部した。
腕を骨折しているので、激しくはできないが、軽いランニングなどしたかったのだ、という建前で、自分の筋肉をちゃんと見てみたくなったのだ。
あの男の筋の張った腕の美しさが、衝撃的だったのだ。
学校としても、怪我をしているとはいえ、監視下で運動をさせるのは、いい結果を招く、と判断したようで、受理された。
自分の筋肉だけでなく、人の筋肉を見ていて、ちょっとした自分の才能に気がついた。
部員の動きを絵に描こうとイメージして視たときの違和感だ。
なんとなく、それを「もうちょっと膝を上げたらいいに」「腕を前にふりすぎ」などと言ってしまった。
絵にするとしたら、その方が美しいからだ。
そんな曖昧な理由なのに、タイムの伸びに悩んでいた先輩が、試しにやってみたら、自己ベストを更新した。
僕は、影のコーチとして、部員たちにアドバイスを求められて、骨折が治った後は、正式な部員となった。
意外と筋肉がつきやすい体質だったせいか陸上競技としては、自分自身の成績は人並みだったが、トレーナーという職業に憧れを持ったのだった。
「音楽に合わせる必要ありません。ご自分のペースで、ですがラスト三十秒は、追い込んでいきましょう!」
「あれ? この写真って、オジサンが撮ったんですか?」
ゴールを走り抜ける短距離走っぽい写真を見て、アニキに聞いた。
「はい。裏には『筋肉の美しさ』としか書いてなくて、どうしていつどこで撮ったのか、わからないのですが」
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番外編の解説(作者の気まぐれ自己満足と忘備録的な)
いかにも番外編な、こいつ誰だよ、なお話、第陸弾。
「写真」は、登場人物の「過去・出会い」に焦点を当てた番外編で(以下略)
本編でのブレない大人、百田さんが、いつどうやって「大人」になったのか、的なお話です。
また、体育会系なのに繊細な心遣いができる理由です(偏見)。
あと、筋肉工場誕生秘話でもあります(ヒネリなし)。
ちなみに本編の時代でも、彼は、懸垂男が誰か知らない設定です。
(どうせ実は、って後付け設定で以下略)
当初、競技者として故障からトレーナーへ、とかアリガチなことを考えていたのですが、彼の前向きさとは違う感じがして、怪我はしても、そこからの競技者、という逆ルートになりました。
同じように怪我をして絵から写真へ、とのエピソード被せも考えていたのですが、時系列的に、もう写真なタイミングなので、諦めました。
比翼の鳥懸垂、書きたかったのですが。
店長出世物語のスピンオフも面白いかも、ってガチすぎるか。
(番外編とかスピンオフとかばっかだな)
まあ、そもそも続くかどうかがわからないのが、番外編の醍醐味ですよね?
また、機会がありましたら、このお店にお付き合いくださいませ。
(お店のシーンない以下略)
(最近、本文よりココ書く方が難しいんだけど)
(最近、ってそもそも本文書いてなかったじゃない?)
(ぐはっ吐血)
まみ夜
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