【完結】cat typing ~猫と麦酒~第10回ドリーム小説大賞奨励賞

まみ夜

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番外編:梅雨時

梅雨時の片想い

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「元気ないですね?」
 平日の夜遅く、百田さんの他にお客様はいない。
 その百田さんも一人、ざく切りキャベツ(温)を齧るばかりで、物静かだ。
 体育会系職業の師匠の婚約が、響いているのだろうか?
 無くなりつつあったキャベツの塩ダレを、サービスで取り換えながら聞くが、返事がない。
 僕は、いろいろ突っ込むのもよくないな、と思って、立ち上がった。
 その耳に、
「彼女いないといけないんですかね?」
 意外な言葉が入ってきたのだ。

 師匠の婚約話は、百田さんの妹、千秋さんの耳にも入っていた。
 当然のごとく、兄に彼女はできないのか、という話題になった。
 妹に彼氏の存在を聞けない、微笑ましさを顔に出さないようにして、「仕事に打ち込んでいるから彼女できない」という言い訳を聞いてあげた。
「でも、ジムには百田さんのファンもいるんじゃないですか?」
「お客様ですので」
 まあ、健全な考えですよね。
「ご趣味は?」
「筋トレです」
 お見合いだったら、もう後が続かないな。
「じゃあ、ジムの会員以外で、筋トレが趣味な方を見つけるしかないですね」
 言いつつ、そんな都合のいい話あるかなあ、と思った。

 そんな都合のいい話があった。
「来月から、週に二回ほど、ウチの店舗でトレーニングを担当してくれることになった、九十九さんです」
「初めまして、いいお店ですね」
 ハスキーな声の九十九さんは、ショートボブを軽く後ろに結んだ、小麦色の肌のスリムな女性だった。
「主に格闘技系エクササイズを担当しますので、ぜひ参加してください」
 ダンス系というより、格闘技っぽいな、と思ったら、その通りだった。

「百田さんに、彼女いるか知ってます?」
 巧に、百田さんとビールの注文をズラして、一人で来て、小声での質問だった。
 僕は、ただ一言、答えた。
「朴念仁です」
 九十九さんが握ってみせた拳は、威力がありそうだった。

 後日、当店は、「適齢期の独身男性客が少ない」とのクレームを受けたが、断固として対決する姿勢をとっている。

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番外編の解説(作者の気まぐれ自己満足と忘備録的な)

「梅雨時の」とあったら(以下略)

「梅雨時の婚約」で、お客様「たち」に、どんな影響が出るかな、と考えた、一作です。
当初、菊池さんしか考えていなかったのですが、意外と他にも波紋が広がってそうだな、と、男性キャラの中でもお年頃の百田さんにご登場いただきました。
というより、名前のある独身男性は彼だけ?と今更気がつく有様。

菊池さん推しとしては、幸せになっていたたきたいものです(他人事)。

番外編なのに、新キャラ出して、どうするんだ、って気もしますが。
まあ、そもそも続くかどうかがわからないのが、番外編の醍醐味ですよね?

また、機会がありましたら、このお店にお付き合いくださいませ。
(結婚ネタ終わり?)
(他に結婚話に敏感なキャラいる?)
(病的なのがいるよ?)
(え、ああ、あれね?)
(どうするんだろうねえ?)

まみ夜
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