【完結】cat typing ~猫と麦酒~第10回ドリーム小説大賞奨励賞

まみ夜

文字の大きさ
64 / 120
連合、まで

炬燵

しおりを挟む
 リビングで過ごす、と寒い。
 広いので、二百ボルトとはいえ、エアコンだけだと、背中が寒いのだ。
 雪さんは、ホットカーペットで背中を暖めることで、凌いでいるようだ。
 僕も真似をするが、本を読むには、辛い。
 石油ファンヒーターも考えたが、半地下なのもあって、結露しそうだ。
 そこで、ついに炬燵を買ってしまった。
 一番小さいサイズだけど、僕と雪さんだけだから、十分だ。
 でも、中でゴロゴロしたいので、炬燵布団などは、一回り大きめのにした。

 炬燵布団が届いた時点で、雪さんはビニールでパックされた上に乗って、早く中身を出せ、と騒いでいた。
 それは放置して、炬燵の本体テーブルを組み立てる。
 足をつけるだけなので、本棚を組み立てた僕には、楽勝だ。
 雪さんは、炬燵が入っていたダンボール箱が、薄くて不満の様子だ。
 でも、ぺったんこになって入っているのは、カワイイが、中で方向転換ができなかったみたいで、お尻から出てきたので、ちょっと笑ってしまった。
 ダンボールで擦れて、背中の毛が逆撫されたような姿で、僕を睨むのは止めてほしい。
 毛を逆立てて激怒しているみたいで、すっごく怖い。
 組みあがったので、布団のパックを開ける。
 中身を出して、ビニール袋は雪さんが入ると危ないので、丸めてゴミ箱へ。
 戻ってくる、と既に布団の山の上に、雪さんが君臨していた。
 その山の下から、ずるずると炬燵敷きを引っ張りだして、敷く。
 炬燵をその上に移動して、またずるずる、と引っ張り出してきた毛布をかける。
 毛布一枚で、急に炬燵の雰囲気が出てきた。
 分厚い布団の山を堪能している雪さんをどかす。
 すっごい不満げな顔をしたくせに、毛布のかかった炬燵に突進して、中に入った。
 ずるいなー、もう一番乗り?
 ちょっと乱暴に布団をかけるが、出てくる気配はない。
 更に上掛けをかけて、テーブルの天板を乗せる。
 完成だ。
 さて、スイッチを、あれ?
 電源ケーブルをつけてなかった。
 箱を探して出してきて、炬燵布団をめくる。
 雪さんが、迷惑そうな視線を向けてくるが、仕方ない。
 どこにつければいいか見つからずに結局、四方全部の布団を上げることになった。
 不満オーラ全開の雪さん。
 電源ケーブルを接続する部分を見つけて、繋ぐ。
 ついでに、布団を上げたまま、電源オン。
 雪さんが、飛び出した。
 なんで?
 赤い光もつかないって、電源入ってないのかな?
 中にもぐりこむ、とファンが回る音がして、暖かくなってきていた。
 赤い光、出ないんだ?
 ファンの音で、雪さん中に入らないかもしれないけど、窒息とか心配しないでいいから、いいのかも?
 とりあえず、炬燵に入る。
 暖かい。
 自動販売機に書いてあるように、「あったか~い」と伸ばしたくなるくらいだ。
 クッションを枕にして、肩まで潜る。
 炬燵布団を大きくしたのは、正解だった。
 反対側も足が出ない。
 雪さんが僕に寄ってきて、肩のあたりを掘って、炬燵に入った。
 え?
 もう、ファン怖くないの?
 僕が入ったから安心した?
 それって、毒見させたみたいな?
 温度設定が高かったので、下げて足を入れなおす、ともう雪さんが障害物となっていたので、斜めになる。
 そういえば、母方の実家に、炭を使う堀炬燵があった。
 床に四角い穴があり、そこに囲炉裏が埋めてあって、網がかけられていた。
 炬燵のど真ん中は、それが障害物になっていて、足が伸ばせないから、斜めになるしかないのだ。
 しかも、顔まで潜り込む、と窒息死するぞ、とずいぶん祖父に脅されたものだ。
 それなのに、この炬燵が大好きで、朝(夜もやっていたのだが、冬に母方の祖父宅に泊まった夜は寝落ちして見たことがない)に灰から炭を掘り出し、炭を足すのを見るのが好きだった。
 今でも、炭の匂いが好きなのは、そのせいかもしれない。
 他にこんな炬燵が知合いの家にある、という同級生はいなかったので、地域性ではなく、祖父なりの拘りだったのかもしれない。
 囲炉裏ほしいな。
 でも、雪さんに危ないから、無理か。
 懐かしい気分で、寝返りをうとう、として、腰がひっかかった。
 だから、炬燵の高さを上げる脚のアタッチメントが売っていたのか!
 炬燵は子供のころ以来だから、わからなかった。

 早速、脚のアタッチメントを買ってきた。
 これで、炬燵の中で、ぐるぐる寝返りがうてる。
 ホームセンターには、炬燵に出入りする猫用のトンネルが売っていたが、中が冷えそうなので、買わなかった。
 そのため、それからが、争いの日々だった。
 炬燵は、上掛け、布団、毛布の三層となっている。
 雪さんの温度調節は、どこに潜るか、だ。
 寒ければ、炬燵の中に。
 暑くなれば、上掛けの上へ。
 テーブルの上は禁止なのんで、乗ったら怒こる。
 上掛けの上以外は、ほぼビックリ箱状態だ。
 ファンの音には慣れたようだが、電源が入って動き出した瞬間は、飛び出てくる。
 毛布と布団の間にいる、と気がつかずに踏みそうだし、上掛けと布団の間だと、めくれないのだ。
 しかも、なんとなく、ここに雪さんいそうだな、というのを避けているのに、当たる。
 逆にかなりの高確率で当たるのは、モグラのように、中で移動しているからではないだろうか。
 雪さんとの場所とりをくりひろげたところ、炬燵で寝て、風邪をひいた。

 鼻をすすりながら、僕は風邪薬の瓶を開けた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

【完結】元Sランク受付嬢の、路地裏ひとり酒とまかない飯

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ギルド受付嬢の佐倉レナ、外見はちょっと美人。仕事ぶりは真面目でテキパキ。そんなどこにでもいる女性。 でも実はその正体、数年前まで“災厄クラス”とまで噂された元Sランク冒険者。 今は戦わない。名乗らない。ひっそり事務仕事に徹してる。 なぜって、もう十分なんです。命がけで世界を救った報酬は、“おひとりさま晩酌”の幸福。 今日も定時で仕事を終え、路地裏の飯処〈モンス飯亭〉へ直行。 絶品まかないメシとよく冷えた一杯で、心と体をリセットする時間。 それが、いまのレナの“最強スタイル”。 誰にも気を使わない、誰も邪魔しない。 そんなおひとりさまグルメライフ、ここに開幕。

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜

音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった! スキルスキル〜何かな何かな〜 ネットスーパー……? これチートでしょ!? 当たりだよね!? なになに…… 注文できるのは、食材と調味料だけ? 完成品は? カップ麺は? え、私料理できないんだけど。 ──詰みじゃん。 と思ったら、追放された料理人に拾われました。 素材しか買えない転移JK 追放された料理人 完成品ゼロ 便利アイテムなし あるのは、調味料。 焼くだけなのに泣く。 塩で革命。 ソースで敗北。 そしてなぜかペンギンもいる。 今日も異世界で、 調味料無双しちゃいます!

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

異世界ショコラティエの甘い革命~チョコレートが存在しない世界でカカオを育ててバレンタインを流行らせます~

黒崎隼人
ファンタジー
【2月14日はバレンタイデー!】 現代日本でパティシエを目指していた記憶を持つ少年ルカは、貧しい農村の三男坊として異世界に転生した。しかし、そこは「チョコレート」が存在しない世界だった! 砂糖はある、ミルクもある。けれど、あの芳醇で甘美な黒い宝石だけがない。 「ないのなら、作るしかない」 ルカは森の奥で嫌われ者の「オニノミ」がカカオの原種であることを見抜き、独自に栽培を開始する。発酵、乾燥、焙煎――前世の知識と魔法を駆使して、ついに完成した「ショコラ」。その味は、粗悪な菓子しか知らなかった異世界の人々に衝撃を与え、やがて頑固な父、商魂たくましい商人、そして厳格な領主や宗教家までも巻き込んでいく。 これは、甘いお菓子で世界を変える、少年のサクセスストーリー。

火輪の花嫁 ~男装姫は孤高の王の夢をみる~

秦朱音|はたあかね
キャラ文芸
王を中心に五家が支配する、綺羅ノ国。 五家に覡(かんなぎ)として仕える十六夜家の娘、久遠(くおん)は、幼い頃から男として育てられてきた。 都では陽を司る日紫喜家の王が崩御し、素行の悪さで有名な新王・燦(さん)が即位する。燦の后選びに戦々恐々とする五家だったが、燦は十六夜家の才である「夢見」を聞いて后を選ぶと言い始めた。そして、その夢見を行う覡に、燦は男装した久遠を指名する。 見習いの僕がこの国の后を選ぶなんて、荷が重すぎる――! 久遠の苦悩を知ってか知らずか、燦は強引に久遠を寝室に呼んで夢見を命じる。しかし、初めて出会ったはずの久遠と燦の夢には、とある共通点があって――? 謎に包まれた過去を持ち身分を隠す男装姫と、孤独な王の恋と因縁を描く、和風王宮ファンタジー。 ※カクヨムにも先行で投稿しています

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...