私のおウチ様がチートすぎる!!

トール

文字の大きさ
22 / 53
第一章

22.村を作ります



「このサケとかいう夕日のような色をした魚、ショーユとの相性が抜群だな!」
「おじいちゃん、このアユの塩焼きも美味しいですよ」
「どっちも、美味しい」
「お父さん、お母さん、ミミリィもお魚穫るお手伝いしたんだよ!」
「すごいじゃないかミミリィ!」
「お魚って……っ あんな大きな魚をミミリィが捕獲したの!?」
「夕日色の身をした魚……見たことがない。どうしてこんな色なんだろうか?」
「私もこんな魚初めて食べます……」

自然と、食事は皆揃って食べるようになった我が家の小食堂は賑やかだ。
皆が言いたい事を好き勝手口にするから、常に誰かの声がするし、こんなに人数が居るのだから大食堂で食べればいいのに、何故か皆小食堂に集まる。

そんな所が、何だか家族って感じで嬉しい。

「どうしたカナデ。何をニヤついている?」
「いえ、何だか家族って感じがして良いなって思ったもので」
「ん? 成る程、確かにそうだな」

リッチモンドさんは目を細め皆を眺めると、うなずいた。

「なぁカナデ、わしはずっと考えていたのだが……」
「なんですか? リッチモンドさん」
「こやつらのように、人族の街にも亜人族の街にも要られぬ、心優しき者を、この村に招き入れてやってはどうか」

リッチモンドさんの言葉に、騒がしかった小食堂が静まった。

「わしは、腐った人間どうぞくから苦しめられ、捨てられる者を何人も見てきた。行くあてのない彼等に待っているのは死だけなのだ」

その言葉に皆は悲しそうな顔をして私を見る。

「カナデ様、私からもお願いします」

イヴリンさんが頭を下げ、言ったのだ。

「私達は運良く、リッチモンド様に助けられ、こちらへと参りました。しかし、森の中で……いえ、街でも、誰にも手を差し伸べられず、死んでいくものがほとんどなのです」
「その中には、子供もおります」

今度はローガンさんが。

「人々はいつからあのように腐ってしまったのでしょう」
「民を守るのが騎士であるというのに、実際にはそんな騎士はいもしない。己の保身に必死なのです」

ヒューゴさん、レオさんと続く。

そして、

「カナデお母さん、僕達を助けてくれたみたいに、」
「他の人達も、助けて」
「カナデお姉ちゃんっ」


子供達に、家族にここまで言われたら、

「……期待に答えないわけにはいかないか」

皆が、瞳を輝かせて私の言葉を待つ。


「捨てたなら、私が拾っても構わないでしょ!」


藤井 カナデ(15)。
捨てれた人を拾って、村を作ります!!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



そう決めてから数日後、リッチモンドさんがレオさんと共に街へ行ってくると言い出した。

「街って、亜人族の?」
「いや、どちらの街にも行ってくる予定だ」
「え!? リッチモンドさんは大丈夫かもしれませんが、レオさんは耳と尻尾があるんですよ!? 人族の街に連れて行くのは危険なんじゃ……っ」
「外套で隠すので問題はない。それに、奴も剣の扱いがそれなにりなってきておる。そこらの人間には負けはせん」

そんなにすぐ強くなれるものなの!? 訓練しだしてからまだひと月くらいだよね!?

「それで、街のスラムを見て来る予定だ」

“スラム”って……、怖いイメージしかないのだけど。

「すらむにはひっそり暮らす孤児も多い。本人の気質と意思次第にはなるが、望めばここへ連れてくる予定だ」
「そっか。さっそく実行するんだね」
「ああ。わしも元とはいえ、国を治めていた王。出来れば苦しんでいる者を見捨てる事などしたくはない」

やっぱりリッチモンドさんは格好良いドラゴンだ。

立派な王様だったんだろうなぁ。

「心がはやるのはわかるけど、無理だけはしないでね」
「安心しろ。わしは強いのだ。レオにも危険な事はさせんからな」
「……」

フラグが立った気もしなくもないけど……。

「本当に気をつけてね」

こうして、リッチモンドさんとレオさんは街へと向かったのだ。

感想 99

あなたにおすすめの小説

【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった

凛蓮月@騎士の夫〜発売中です
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】  竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。  竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。  だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。 ──ある日、スオウに番が現れるまでは。 全8話。 ※他サイトで同時公開しています。 ※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

夫に欠陥品と吐き捨てられた妃は、魔法使いの手を取るか?

里見
恋愛
リュシアーナは、公爵家の生まれで、容姿は清楚で美しく、所作も惚れ惚れするほどだと評判の妃だ。ただ、彼女が第一皇子に嫁いでから三年が経とうとしていたが、子どもはまだできなかった。 そんな時、夫は陰でこう言った。 「完璧な妻だと思ったのに、肝心なところが欠陥とは」 立ち聞きしてしまい、失望するリュシアーナ。そんな彼女の前に教え子だった魔法使いが現れた。そして、魔法使いは、手を差し出して、提案する。リュシアーナの願いを叶える手伝いをするとーー。 リュシアーナは、自身を子を産む道具のように扱う夫とその周囲を利用してのしあがることを決意し、その手をとる。様々な思惑が交錯する中、彼女と魔法使いは策謀を巡らして、次々と世論を操っていく。 男尊女卑の帝国の中で、リュシアーナは願いを叶えることができるのか、魔法使いは本当に味方なのか……。成り上がりを目論むリュシアーナの陰謀が幕を開ける。 *************************** 本編完結済み。番外編を不定期更新中。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
 第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。  言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。  喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。    12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。 ==== ●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。  前作では、二人との出会い~同居を描いています。  順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。  ※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。

忘れられた幼な妻は泣くことを止めました

帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。 そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。 もちろん返済する目処もない。 「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」 フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。 嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。 「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」 そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。 厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。 それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。 「お幸せですか?」 アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。 世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。 古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。 ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。 ※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

姉の婚約者と結婚しました。

黒蜜きな粉
恋愛
花嫁が結婚式の当日に逃亡した。 式場には両家の関係者だけではなく、すでに来賓がやってきている。 今さら式を中止にするとは言えない。 そうだ、花嫁の姉の代わりに妹を結婚させてしまえばいいじゃないか! 姉の代わりに辺境伯家に嫁がされることになったソフィア。 これも貴族として生まれてきた者の務めと割り切って嫁いだが、辺境伯はソフィアに興味を示さない。 それどころか指一本触れてこない。 「嫁いだ以上はなんとしても後継ぎを生まなければ!」 ソフィアは辺境伯に振りむいて貰おうと奮闘する。 2022/4/8 番外編完結

現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。

和泉鷹央
恋愛
 聖女は十年しか生きられない。  この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。  それは期間満了後に始まる約束だったけど――  一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。  二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。  ライラはこの契約を承諾する。  十年後。  あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。  そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。  こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。  そう思い、ライラは聖女をやめることにした。  他の投稿サイトでも掲載しています。