異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

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第三章

結婚指輪

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「あの、良かったらこれを…」

頬を赤く染めて、ルビーのように美しい石を差し出してきた魔神の少年。お手本にしろという事だろうか?

するとロードが、机に置いてあったもうひとつの石を手に取り、握りしめた。
石を握りしめた拳からバチッと静電気の火花が舞い、手を開くと…そこには紫色の宝石がキラキラと輝きながら顕現していた。

「ミヤビ、これを常に身に付けてくれ」

私の手の平にアメジストのようなそれを乗せて、手ごと握り込まれ、驚いてロードを見る。

「それでみーちゃんの魔石をロードさんにあげれば、結婚指輪の魔石バージョンだね~」

トモコの言葉にドキリとした。段々と顔が熱くなってくる。

「結婚指輪? 何だそれ」

こちらに結婚指輪はないのか、ロードは分からないようで首を傾げている。
トモコよ、それ以上余計な事を言うんじゃない。

「オメェらが住んでいた世界じゃ、婚姻を結ぶ時に指輪を渡すのか?」
「そうそう。指輪を交換して、お互いの左手の薬指につけるんだよ。それは結婚している限り身に付けたままなの。貴方は私ので、私は貴方のよっていう証みたいなもの? かなぁ」
「ほぅ…」

ニヤリといやらしく笑ったロードは、私の手の平を開き、先程くれたアメジストのような石に触れると、

「なぁミヤビ、この石がついた指輪を作ってくれねぇか? そんで、オメェの魔石で作った指輪を俺にくれ」

と見つめてきた。

え? これってプロポーズ?? それとも逆プロポーズしろって事?!

『ジュリアス…泣くな』
「ヴェリウス…」

え? そんな感涙する所!?

涙目になっている魔神の少年の肩を、前足でポンポンたたく芸達者なヴェリウスの姿を遠い目で見てしまう。

「みーちゃん!! 結婚指輪はどんなデザインにする?」
「結婚指輪って…結婚してない「みーちゃん!! ちょうど良い雑誌があるじゃない!!」…」

私が元の世界で買ってきたファッション雑誌を、勝手に漁っているトモコに呆れた視線を送るも、奴は笑いながら「こんなのどう~?」と私好みのシンプルな指輪が乗ったページを開いて見せてきた。さすが心友。こちらの好みを熟知している。

「ペアリングだから、ロードさんにも似合うのにしなきゃね~」
「ちょっと待って! ロードは騎士だから指輪は邪魔になるでしょ。大体結婚してな「なら俺ぁ指輪を首に下げとくから、それ用の切れないチェーンも作ってくれ。あ、丁度心臓の上にくる長さで頼まぁ」」

話を遮るな。そして私は職人か!!

「無くならないように、落としたり盗られたりしても勝手に戻ってくるようにもしておいた方が良いよ」
「そりゃそうだな。後はしっかり愛を込めて作ってくれよ~」

等と注文をつけながら抱き締めてくるんだが…仕方ない。取り敢えず私の分の指輪を創るか…。

この2人には何を言っても無駄だろうと諦め、自分の指輪を創る事にした。

手の平に握らされた、ロードの神力のこもった石を見つつ、雑誌のようなリングになれと願う。勿論トモコとロードに注文された事を付与しながらだ。

すると握った拳が中側から輝きだし、石の感触が変わったので開いてみると、想像した通りの指輪が出来上がっていた。
ロードの魔石は小さな宝石となり指輪にちょこんと埋め込まれている。

「おーっ良い感じ!!」
『ふむ…魔石のリングとはなかなか洒落ているな』
「神王様さすがだぜ!!」

2人と1匹が覗き込んで感想を言ってくる。
皆の言う通り、良い出来だと思う。

指輪の出来に満足していれば、ロードが魔神の少年に石を出せとカツアゲしだした。端からみれば、ヤンキー少年に本物ヤクザが絡んでいるようだと半目になった。

石をゲットしたロードは、嬉しそうに私に渡してきたが魔神の少年に謝った方が良いと思う。

「ほら、さっさと神力込めて俺達の結婚指輪作れ」

いや、それ恋人への態度じゃねぇから。結婚もしてないからな。

ムカッとしながら石に触れると、パーンッと破裂音がして石が粉々に砕け散った。

「「……」」

場がシーンと静まりかえり、気まずい空気が流れる。
どうやら力をこめすぎたようだ。

『ミヤビ様、石に一滴しずくをたらすイメージで力をこめるといいかと』

そっと新しい石を渡してくれたヴェリウスに感謝だ。

今度は失敗しないように心を落ち着けて、ヴェリウスの言ったようにしずくを一滴たらすイメージを持ちながら石に力をこめる。

すると、途端に輝きだした石は辺りを包み込み、暫くして徐々に光を弱めていった。

光が弱まったとはいえ、未だキラキラ輝いている石は、角度を変えると様々な色へと変化するおかしな石になっていたのだ。
虹色…とはまた違う気もするが、それに近い色合いだ。

『これが“神王様の石”…』
「綺麗だねぇ~」

女性陣はうっとりと石を見ている。
一方男性陣はというと……

「すっげぇ!! 少しの神力をこめただけでこの輝き!! こんな強力な魔石見たことねぇよ!! もうこれはアクセサリーじゃなくて武器だって!! 神族の最終兵器!!」
「こりゃとんでもねぇな…」

とんでもないものが誕生したと喜んでいるのか、引いているのか。

とにかく、創れと言われたので、この石からロードの指輪を創りましょうかね。



『また神々の秘宝が生み出されてしまったか……』
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