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第三章
珍獣達の人型事情
しおりを挟む慌ただしく行ってしまったロードを見送り、「神王様の魔石を参考にします!!」とはりきって帰って行った魔神の少年に首を傾げて気付けば夜の9時過ぎになっていた。
「ご飯食べてない!!」
晩御飯を食べていないと騒ぎ出した私を、母の如く見守るヴェリウスが生肉を持って来ようと動き出したので、素早くリビングの机の上にチーズタッカルビを出す。
「みーちゃん、夜の9時からチーズタッカルビは重いよ~。絶対太るぅ~」
「ならお前は冷奴でも食ってろ」
「扱い酷くない!?」
トモコの、絶対太るぅ~の言い方がムカついたので、冷めた目で冷めた料理を出したら、酷い酷いと言いながらしっかり冷奴を食べていた。「めっちゃうまい!! この冷奴」と言いながら。
チーズタッカルビの匂いに尻尾をパタパタさせて、リビングの机の周りに寄っていくヴェリウス。
彼女は犬なのに辛いものも乳製品も食べる事が出来るのだ。さすが神獣。
私も席について2人と1匹で食卓を囲む。
ちょっと遅い晩御飯になってしまったが、たまには良いだろう。
「ヴェリウス、タッカルビは熱いから気を付けて食べてね」
ヴェリウスの取り皿にタッカルビをチーズを絡めて入れてあげれば、嬉しそうにはふはふと食べ始めた。やはり食べている所は犬だよなぁ。
『そういえば、深淵の森の魔獣達から要望を受けました』
食べている途中にふと思い出したのか、ウチの珍獣達からの要望を話始めた。
「みーちゃんが人型にした魔獣達だよね?」
結局タッカルビを食べているトモコが、ヴェリウスの話に反応する。
ヴェリウスはトモコの言葉に頷いて続けた。
『ミヤビ様が人型に変えた事で、現在は主に天空神殿で人型としての生活を送っているのですが、奴らの拠点は元々深淵の森なのです』
ヴェリウスの言葉に血の気が引いた。
深淵の森の魔獣を人型にした事で森から魔獣を追い出してしまったのかと。
毎日魔獣型の姿は見る(見回りしている)から何とも思っていなかったが、大変な事をしてしまっていたらしい。
『ミヤビ様、誤解なさらないで下さい。人型になった時に便利なのが、天空神殿の施設という事であって、魔獣型に戻れば奴らは洞窟でも道端でもどこでも生活出来ます』
ん? どういう事だろうか?
私はてっきり人型から魔獣型に戻れない珍獣がいるのかと思っていたのだが…?
『人として暮らすには森での野宿は難しく、しかし奴らはミヤビ様と直接話したいが故に人型でいたいと魔獣型に戻る事を拒む始末…にも関わらず深淵の森で暮らしたいと我が儘を言っているわけです』
「それは…元々深淵の森に暮らしていたのだから、我が儘ではないのでは?」
『…奴らが、深淵の森のこの家のそばに村を作りたいと言っていても、ですか?』
村ぁぁぁ!?
「確かに人型の魔獣達には必要かも~」
トモコがヘラヘラとタッカルビを食べながら頷いている。
「ちょっと待ってぇ!? 村だよ!?」
「私は良いと思うよ~? 元々この森に住んでるし、見回りもしてくれてる魔獣達だよ。見知らぬ人じゃないんだから良いでしょ。何ならもうみーちゃんが村を創ってあげたら~?」
みにょーんとチーズを伸ばしながらそんな事を言われても…。
まぁこの森の先住民は珍獣達だし、私がどうこう言う事ではない。しかも珍獣達にはお世話になりっぱなしだ。今や森だけでなく天空神殿まで管理してもらっているようだし。
『ミヤビ様、魔獣達を甘やかすべきではありませんよ』
「ヴェリウス…私はずっと珍…魔獣達にお世話になってるのにお礼もできてない。だから、お礼も兼ねて村を創るよ」
『ミヤビ様…分かりました。では私も、ミヤビ様がやり過ぎぬようにお付き合い致します』
え…やり過ぎる前提?
「勿論私も手伝うよ!!」
お前はタッカルビを食べる手を一旦止めろ。絶対太るぅ~はどうした。
そんなわけで、この深淵の森に珍獣達の村を創る事になったのだが……取り敢えず今日はお風呂に入って寝るとするか。
村創りは明日からだね。
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