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第四章
エルフのご馳走
しおりを挟む詳しく話を聞けば、南極のような寒さでウィルスがいないらしいこの土地では魔素が枯渇しても感染症でエルフが死ぬ事はなかったらしい。
しかも好都合な事に魔獣のいないダンジョン跡地があった為寒さをしのぐ事も出来、一時数を減らしていたエルフはここ100年で1000人を超えるまでになったそうだ。
しかし、最近魔素が満ちた事でダンジョンに魔物が溢れ出し、主な居住区だった地下2~3に結界を張り生活をしているとかで、閉じ込められた状態なのだそう。
そしてデリキャットさんはエルフ族の王様だというではないか!!
なんというミラクル!!
デリキャットさんにと目が合い頷けば、彼も同じタイミングで頷いてくれた。
「そんな貴方達に良い話を持ってきたので、代表者に会わせてくれませんかね~」
揉み手をしながら言えば、「みーちゃん悪徳訪問販売の人みたいだよ」とトモコにからかわれた。
ヤンキーエルフ君に睨まれながらエルフ族の村を案内される。
森の奥には木で出来たファンシーな家が多数あり、 屋根は草で覆われていてまるでノルウェーの家のようだ。
「うわぁ可愛い!!」
「ノルウェーに来たみたいだね~」
トモコと2人テンションを上げていれば、今まで家の中に隠れていたエルフ達が恐る恐る出て来た。
「ドリーっテリーっアルフォンス!! 彼等は!?」
ヤンキーエルフ君を含めた3人に声を掛けたのは年若い女性のエルフだった。きつめの顔をしたストロベリーブロンドの美人である。ヤンキーエルフ君の髪の色と同じだった。
「姉貴っ話し掛けてくんじゃねぇよ!」
「あ゛? 客人なんて今まで来た事ないんだから皆気になるでしょ!! で、ドリー、テリー、この人達は?」
どうやらヤンキーエルフ君のお姉さんだったようだ。美人姉弟だがどちらも口は悪そうだ。
「彼等は敵でも害をもたらす存在でもないから安心してくれと皆に伝えて欲しい」
ドリー、テリーと呼ばれたのはどうやら先輩2人のようで、ヤンキーエルフ君はアルフォンスという名らしい。なかなか立派な名前だ。
「…分かったよ。そっちの銀髪の兄さんはエルフみたいだけど、何か事情があるみたいだし、後できちんと教えなさいよ」
お姉さんはそう言って離れて行った。
私達はというと、ファンシーな家々を抜け、さらに階段を下り地下3階までやって来た。
先程と同じような光景が広がるが、地下3階の家の方が大きいようだ。もしかしたら学校等の公共施設なのかもしれない。
「こちらです」
一際立派な建物に案内され、少々お待ち下さいとテリーさんかドリーさんかがその建物内に入っていく。
暫くしてバタバタと数人の足音がし、出てきたのは…
「デイリー様!? 本当にデイリー様なのですか!?」
プラチナブロンド(白に近いかもしれない)の儚げ美人なお兄さんであった。
その儚げ美人さんはデリキャットさんの姿を目に留めると、涙を溢れさせ抱きついたのだ。
「ギルフォード…?」
「デイリー様ッずっとお探ししておりました…っ」
こ、これは…っ 受け同士のアレコレに見えてきたぞ!!
「カメラ持ってくれば良かった…」
トモコの呟きに激しく頷いていれば、怪訝な顔でヤンキーエルフ…アルフォンス君に睨まれた。
◇◇◇
感動の再会が終わった所で気づいたんだが、ギルフォードと言われていたエルフの後ろで2人が膝をついてデリキャットさんを拝んでいるのだが、あれは何だろうか。
「皆、よく生きていてくれました。息災のようでなによりです」
「「はっ」」
おおっ何だかキングデリキャットさんに遣えていたエルフ達のようだ。
「デイリー様、彼等は…」
ギルフォードさんが私達にようやく気付き、とりあえず中でお話する事になった。
先ずはデリキャットさんの事をゆっくりじっくり話してもらう為、私達は別室で待機となった。
その間エルフ族のご馳走とやらを頂く事となったのだが
……これ、虫じゃないですか?
お皿に全長30センチ位ありそうな青緑の芋虫がドンッと乗せられ運ばれてきたのだ。
トモコはギャァァァ!! と叫び私はヒィィィ!! と叫んだ。
そして机から離れた所でソレを見る。
「おーっ何か不味そう!」
と言いながら手で掴んだジュリアス君にまた2人で叫び声を上げる。
「ショコラは虫は食べません~。グルメなドラゴンなのです~」
ショコラも芋虫は食べたくないようだ。
しかしジュリアス君は芋虫を頭からバクリと食べ始めた。
「「ギャァァァァ!!」」
誰かモザイクかけてェェェ!!
「あ、わりと美味い」
感想とかいらないから!!
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