異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ

トール

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第四章

迷子じゃない! マップに体の方向を合わせようとしているだけだ!!

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こっち…いやこっちか。う~ん…それともこっち??

「なぁ嬢ちゃん、さっきから一人でぐるぐる回転してるが…大丈夫か?」

白熊のおっさんが何か言っているが今はそれどころじゃない。私は今、自分の体の向きをどこにむけていいのか分かっていないのだ。だって深淵の森に外側から入るの初めてだし。転移でしか出入りしていなかったし。

大体“ドローンマップ”を展開していても森なんだから東西南北とさっき入ってきた所しか分からない。入り口からどの地点にいるかは分かる。が、自分の身体が今どっちの方向に向いているのか分からないのだ。
決して迷子ではない。

「待て待て嬢ちゃん、そっちは獣道ですらねぇぞ」

地図は回転させて見る派である。そして自分も回転する派だ。

「おい、おめぇさんまさか迷ったんじゃねぇだろうな」
「迷ってませんーー!! 今はこの森のこの辺にいますぅ!!」

疑ってくるM字ハゲのおっさんへ地面に図を描いてバッテン印をつける。

「そこまで分かっていながら何でぐるぐる回ってんだ。おめぇは犬か」

一番若そうな男が半眼で見てくるのでつい反論してしまう。

「どの辺が犬に見えますかー。回っているのはアレですぅ。自分の身体の方向をマップに合わせようとしてるんですー」
「おい、コイツ相当の方向音痴じゃねぇか。案内人として死んでんぞ」
「死んでねーわ!!」

目付きの悪い無精髭のおっさんが失礼な事を言ってくる。しかも「誰だよ。方向音痴を案内人に指名した阿呆は」とまで言われた。
方向音痴もその阿呆も私だよ!! とは言えなかった。

「あー…迷ったわけじゃねぇし、今なら引き返せるだろ」
「そうだな。一度引き返すか」

と白熊とM字ハゲが話始めたのでマズイと冷や汗が出てくる。ここで引き返されたら私にはお金が入らないし、今後も案内人としてのバイトが出来なくなるからだ。

「待って下さい!! 大丈夫。案内は出来る!! 迷わないから!!」
「あのなぁ嬢ちゃん、マップを持ってる案内人が方向音痴っつーのは俺らの命にかかわんだぞ。まぁ俺たちはまだ森を歩くのは慣れてっからこのまま進もうと思やぁ進めるが、嬢ちゃんは危険だ。だから一旦引き「大丈夫!! ちゃんと案内するからっ私で不安なら森に詳しい子を呼ぶから!!」…呼ぶ?」

もうこれは呼ぶしかない!! 助っ人を!!!!

「誰か一人助けにきてェェェ!!」

森に向かって叫べば、おっさん達4人は私をおかしくなった子のような目で見ていた。


暫くすると地鳴りがし始める。

「お、おい。地面が揺れてねぇか…」
徐々に大きくなる地震に4人のおっさんの顔色が変わり始めた。
と、その時。ギャオォォ!! という咆哮が聞こえてき、おっさん達が目付きを鋭くさせ各々武器を構えた。

「嬢ちゃんっここから離れるぞ!!」

白熊のおっさんの肩に担がれるが冗談じゃない。私は案内人の仕事を遂行するのだ!!

しかしおっさん達は武器を構えたまま走り出してしまった。

「ちょ、ま…っ」
「喋るんじゃねぇっ舌噛むぞ!」

何かヤバいモンスターに追われている冒険者感が出てきた。
車にでも乗っているような速さで走るおっさん達に、この世界の人の身体能力の高さを知る。

そんなおっさん達の横側から、メキメキと木々がしなり…というか木々をぶっ倒しながら出てきた巨大な影は、土煙を巻き上げながら跳躍し、おっさん達の前方を塞いだ。
ズゥン…と大きく地面が揺れる。
「クソッ」と方向を変えようとした時、後方からギャオォォッと声を上げ、バキバキィッと木々を薙ぎ倒し現れたモノにおっさん達の顔が絶望に変わる。

土煙が収まり、二つの巨大な影の全貌が見えてきた。

前方に居るのは巨大サンショウウオの珍獣“サンショー兄さん”。後方から飛び出してきたのはティラノサウルスの珍獣“ティラー姉さん”だった。

魔獣化して現れた2人はデカい上にグルル…ギャオォォッと唸っているわで、“瞬殺される”。と思わせるような迫力があった。

「ッ囲まれた…っ」
「何だコイツら!? こんな奴らがこの森にいるなんて聞いてねぇぞ!?」
「ヤベェな…何とか嬢ちゃんだけでも逃がさねぇと…」

今のおっさん達の状況はさながら、地下3階でダンジョンボス2体に出会った心境だろう。因みにダンジョンボスは地下20階に居ると予想される強さだ。



「一人って言ったのに二人で来ちゃったの?」

サンショー兄さんとティラー姉さんを見れば、サンショー兄さんはクルル…と鳴き、ティラー姉さんはサンショー兄さんをキッと睨むと私に頭を下げてギャウグゥと何かを言っている。

うん。わからない。クルクルギャウギャウ言われても可愛い事しかわからない。

「あのね、道案内を頼みたいんだけど…狩りや薬草採取もしないといけないから、そういうのが詳しい方にお願いしたいの」

言えば二人が話し合いを始めた。
端から見ると魔獣同士の戦闘の様相だが。

「仲良くね~」

と言えばギャウ!? と鳴いて穏便に話し合いをし始めたのでホッとした。

「お、おい嬢ちゃん!! こりゃ一体どういう事だ!?」

しかし一部始終を見ていたおっさん達は、武器を構えたまま固まっていたのだ。

白熊のおっさんの声にハッとした他のおっさん達が、一斉に私を見た。

「おめぇさん魔獣と話が出来んのか!?」
「今のうちに逃げた方がよくねぇか!?」

おっさん達はパニックになっていた。
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