99 / 103
第一章 まったり喫茶店
もしもの夢。シュナイダーif。
しおりを挟むもしも、の夢を見た。
それは、私が諦めることなく、努力をした場合のーーーーもしかしたらの未来だ。
「ローニャ……君がミサノ嬢に嫌がらせをしているというのは本当かい?」
寝支度を済ませた私の部屋に訪ねてきたシュナイダーの問いに、私は誠意を込めて否定をした。浮気を疑って、嫉妬しているわけではない、と。
「……信じて、シュナイダー」
シュナイダーの手を両手で包み込み、祈るように告げた。
「ミサノ嬢の誤解よ、私は嫌がらせなんていないわ。お願いだから信じて」
「……。信じるよ……ローニャ」
そう言ってくれたシュナイダーの心が離れてしまわないように。
私は努力をすることにした。
祖父からもらった砂時計をひっくり返した。緑色の砂は、宝石のようにキラキラと輝いている。時間を数えるように、それを眺めた。
この七年を振り返る。あっという間に思える時間の中で、芽生えた恋。
シュナイダーとは運命の愛で結ばれていないかもしれない。
けれども、それでも、私は……。
握った彼の手を手放さないと、決意をした。
シュナイダーのために、頑張れた今までを無駄にしないように。
シュナイダーのために、注いでもらった愛を溢れ落としてしまわないように。
シュナイダーのために、愛を注ぎ返すために。
愛してくれる彼を、愛しているからこそーーーー。
翌日、私は男子寮の扉の前でシュナイダーを待つ。
「ローニャ? どうしたんだい?」
「あれ、ローニャ嬢。おはよう」
出てきたシュナイダーは、ヘンゼルと一緒にいた。
「おはよう、シュナイダー。それにヘンゼル。私、考えたの。誤解を解消するために、少しでもシュナイダーのそばにいようと思って……だめかしら?」
にこりと微笑んで首を傾げて確認をする。
「おや、朝から見せ付けてくれるね? じゃあオレはお邪魔なようだから、先に行くよ」
「ありがとう、ヘンゼル」
「ヘンゼル……」
爽やかに笑って、ヘンゼルは先に学園に向かう。
冷やかしに呆れた様子だったけれど、シュナイダーは私に手を差し出してくれた。
「じゃあ、これからは毎日登下校しよう」
「ええ、そうしましょう。シュナイダー」
ギュッと握り締めて、私とシュナイダーは仲を見せ付けるように登校をする。
忙しい学園生活だけれど、努力をして二人の時間を作った。
その間に私の取り巻き令嬢達とミサノ嬢が攻防戦をしていたものだから、私とシュナイダーで仲裁をする。もちろん、私の関与はないことをミサノ嬢に伝えた。睨まれたけれど、それはいつものこと。どうしても、ミサノ嬢とは仲良くなれそうにはなかった。
けれども、しっかりシュナイダーの誤解はとけたのだ。
私は嫌がらせをしていない、と証明した。
二人の時間が増えたおかげなのか、私とシュナイダーはより愛を深めた気がする。
幼い頃、約束してくれたように、きっと私達は共に愛を育めた。
「愛しているわ、シュナイダー」
「! ……初めて、言ってくれた」
「とっておきたかったけれど、なんだか気持ちが溢れてしまって」
「嬉しいよ。オレも愛している」
そう笑い合ったあと、触れるだけのキスをしたのだった。
――――そんな夢を見た。
幸せな夢だけれど、起きて振り返れば、悲しい気持ちになる。
だってそれは、もう叶うことのない未来だもの。
でもいいのだ。もういいの。
私はベッドから降りて、朝の支度をした。
そして、店の準備を妖精ロトとこなし、店の白いドアを開ける。
「まったり喫茶店にようこそ、いらっしゃいませ」
そう笑顔で、お客さんを迎えた。
◆◇◆あとがき◆◇◆
体調不良で本編書けそうにないので、
シュナイダーif投げさせてもらいました。
来月こそは本編、頑張りますね!
明日から4巻発売予定! よろしくお願いします!!!
306
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。