白百合の狂犬騎士

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第1章 ブラッディー・ウルフのオスフィオス

04 そのレンジャーの女

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「トムさん、オスフィオスは…」
「あぁ、なんだァ?アトルムじゃねぇか。
   お前のその顔、もしかしてまたブラッディーウルフの話かぁ?」
話に割って入ってきたのは大柄で体格がよく人相の悪い、スキンヘッドの男だ。 
ここにいるということは冒険者なのだろうが、その人相と相まって賊にしか見えないとフィローは少し顔を引き攣らせた。
 
ブラッディーウルフという名前を聞いた途端アトルムは不機嫌になり、ブスっとしたのが分かった。
「うるせぇぞ、フーパー。その名前を出すな」
「いっつもお前はそれだ。肩入れしたい気持ちは分かるぜ?あいつはあんな傷は入っちゃいるが顔はいいからなぁ」
「そういうんじゃない。その名前の元になったあの事だって半分は俺に責任があるんだ」
それを言うなら俺もだと呟くアトルム。
フーパーと呼ばれた男はやれやれと首を振った。

「えっと…ブラッディーウルフってなんですか?」
「お?新入りか?」
「最近、緑ラベルになったフィローです」
「ほーん。
あぁ、お前がアトルムの最後の弟子ってやつか。
最近、緑ラベルに上がったのなら知らなくても無理ないかもなぁ。ブラッディーウルフってのは青ラベルのオスフィオスのことだ」
「いや、それは分かりますけど、何でそんな名前が?」

フィローの言葉にフーパーとアトルムは目を合わせた。  
「冒険者やってりゃ当たり前の事なんだがな…」


そう言ってアトルムは彼女の1部の過去をゆっくりと語った。

-----------------------



これはオスフィスがギルドに登録し異例の速さで青ラベルまで昇格した時の話、大体3年前だな。

オスフィオスは優秀すぎるくらいに優秀だった。
普通は優秀な奴でも白から緑に上がるのに最低でも3ヶ月はかかるが、奴は1ヶ月で白から緑に上がった。
オスフィオスは100年に一度の逸材と言われたのさ。ただ、あいつは何よりも誰よりも貪欲だった。
知識に技術に。何より生きることに貪欲だった。

それから1年で緑から青へ昇格。
俺は身震いしたね。
怖かったよ。こんなバケモンが世の中いんのかってね。
その頃のあいつは「ブラッディーウルフ」じゃなくて使役してたのがナイトウルフだったことから「ダブルウルフ」なんて呼ばれてた。

そんな中、ギルドは奴に指導役の任を渡した。
あいつが任されたのは田舎からやってきた3人組で13歳の男女のパーティーだった。

そいつら、田舎じゃよくいるように住んでる村周辺のハグレを何匹か狩ったことがあったらしい。
自信満々でよくいる世間を知らないガキどもだった。

リーダーだったのは剣士の男でな。レックスって名前だった。
勇ましかったよ。俺は黒になる男だ!ってな。
そんでもって1番オスフィオスに反抗的だった。
2つか3つしか違わない女でしかもレンジャー。
レックスは正面から正々堂々と戦えない奴だって罵ったのさ。

当時話題になったもんだ。
何せこのギルドのロビーど真ん中で宣言したからな。

だけどオスフィオスは言った。
『例え、私という存在が敬えないとしても構わない。しかし私の言うことは白の間は聞け。聞いて意味を考えろ。何故私がその言葉を口にするのかを』

あいつはただただ奴らが生き残れる術を教えていた。採取を中心に薬草、毒草、モンスターの習性やらを教えていた。

教え方は一般的な教え方だったし、それに加えてあいつは小型、中型モンスター、群れと遭遇した場合も予想しつつそれも教えてたんだが…。
レックスにとっちゃ刺激がなかったようで。想像してた冒険者とは違ったんだろうな。
3ヶ月たった頃にロビーで俺はこんな会話を聞いた。

『なぁ、討伐クエストいきてぇ!派手なの!』
『気持ちは分からないでもないが君達はまだ白だ。経験も技術も備わっていない。しかも白ではそんな派手な討伐クエストは受けれない』
『何でだよ!青のあんたがいれば受けれるだろ!』
『確かに青であればそれなりに高位モンスターの討伐依頼でも受けれる。が、それは緑と組んでる場合のみだ。白の場合は無理だ』
『ちぇ、なんだよ…つまんねぇの』
『派手な戦いをしたいのは分からないでもない。
   でも、それをするには基礎を磨いてからこそだ』

オスフィオスの言葉は決して間違ってはないんだ。
だが、13のガキが正論言われて、はいそうですか、なんて納得なんてするはず無かった。

そして事件は起こっちまった。
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