白百合の狂犬騎士

かなは

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第1章 ブラッディー・ウルフのオスフィオス

05 その青ラベルの女

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『なんだと?!レックス達がクエストに出た?!
   私は許可なんて出してないぞ!』 
『し、しかしここにオスフィオスさんのサインが入った許可証があり…え、な、なんで…』

レックス達は本来、クエスト発行に必要な指導役の青であるオスフィオスの許可を取ることなく討伐クエストに向かっちまってたのさ。
許可証もあるにはあったがオスフィオスのサインじゃなかった。
後で調べたら、幻覚魔法が使われた形跡があった。

1人、幻覚魔法が使える魔道具を持った奴がいてな。
そいつの仕業だった。 

『とにかくクエストは何だ?!クエスト詳細を見せろ』
『え、あ、ハグれリザードの討伐、です。
   こちらがクエスト詳細になります』
『場所は…はじめの森、第3地区。下手したらフォレストリザードの巣穴も多い場所だ』
お前も知っての通り第3地区は白から緑に上がる際の昇格試験でも使われる場所だ。つまり、白の中でも最終段階に来たやつのみに許された場所だ。

『あの子らはまだ踏み込んだとしても第1地区の端がせいぜいだった』
オスフィオスが一緒なら第3地区だろうとどうにかなっただろうが、白の見習いパーティーじゃせいぜい生還率は25%ってところだな。  
フェンサーの俺や、中衛のタンクなら1人でも救出に単独で行けないこともないが、オスフィオスはレンジャーだったからな。
何の下準備もせずに行くにはリスクが高すぎだった。ミイラ取りがミイラになっちまう可能性だってありえた。

あいつはすぐに緊急クエストとして救出要請を出したが如何せん内容が内容だ。
ギルド側の落ち度があるとはいえ、場所もそうだし報酬金もそこまで高くは設定できなかった。
そんなクエストに青の奴らはついて行こうとしなかったし、緑の奴らがついて行った所でギリギリそのラインを潜り抜けた奴は論外だ。

俺が奴と組んだのはその時だ。
100年に一度の逸材様が何をやらかしたのかと俺は面白がって見てたら、オスフィオスが声をかけてきてた。目が合っちまってな。
『アトルム、こんな事を頼むのは本来、冒険者として指導役として恥じ入る行為なのは理解している。
しかし、事は急を要す。私と共にはじめの森の第3地区に入って欲しい』
『クエスト内容は見たぜ。あんなのじゃ青は動かねぇだろ。俺も動かねぇとは思わねぇのか?』
『所詮白の救出でしかも第3地区だ。
  一般人なら兎も角、冒険者の救出にギルドはそこまで出すはずない。青が動かないのも納得している。
だが、貴方は金で動くタイプではないだろう』
『……何故そう思うんだ?』
『あなたのその目はお人好しの目だ。人の頼みをなかなか断れ無いだろう?』
あいつはそう言ってニヤリと笑った。
今でもあいつのあの表情は覚えてる。
『さらに言えばあなたの腕は確かだ。生き残ることを第1とするあなたのやり方には共感が持てる。
だからあなたに頼んだ』

そこまで言われてしかも女に頼まれちゃ断れるわけなくてな。俺とオスフィオスの二人で救出クエストを請け負った。

---------

森に入った後はオスフィオスの使役しているナイトウルフ、アビスを使えば、案外あいつらはすぐに見つかった。
幸いな事にまだ遭遇したトラブルは道に迷ったという程度だった。

『お前ら、ここで何をしている』
『っげ!!』
『許可証偽造なんて犯罪だぞ。ガキ共』
『う、うるせぇ!その女が俺らをいつまでも認めないから俺達は功績を上げてやろうとだな!!』
『…ふざけるなよ』
いやぁ、あの時人間キレたら本当にブチって音が聞こえるのかと実感したね。

気付いたらオスフィオスがガキを殴り飛ばしてた。
ほんと、女の力なのかって位にレックスが吹っ飛ばされた。
『お前が、お前がやったことは自分の命を無下に殺しに行くのと変わらないだけでなく仲間までその道ずれにするとこだった。
冒険者の面汚しもいいところだ。

それとも何か?そんなに死にたかったのか。
そうか、それなら私が殺してやる』
『だぁ!!!待て待て待てオスフィオス。
   ここは一先ず安全地帯まで移動することが先決だ。だからまずはその獲物を仕舞え。な?』
『…そうだな。アビスもフォレストリザードが近くにいると言っているし、何よりあなたにも散々迷惑を掛けている』
いやぁ、あの時は肝が冷えたぜ。
奴さん本気でナイフを手にしてたんだぜ?
ありゃ、半分本気だったな。
救出に向かったと思ったら目標の人間を殺してましたなんて洒落にならねぇからな。      

『お前らも、とりあえず移動だ。第1地区の森林キャンプ場に向かうぞ』
『く、クエスト完了してない』
『レックス、状況をよく考えろ。
そのクエストならとっくに私が破棄してある。
   元々偽造許可証で受けたクエストなんだ。
   もし仮に完了していたとしても不正をしたとして成功とは認められないだろうがな』
『何勝手なことしてんだよ!俺は行くからな!!』


1人で進むのを放っておけずに、茂みをかき分けていくレックスを俺達は追った。
 その先には1匹のフォレストリザードがいた。


『!ハグれリザードだ』
『?!待て!まずは様子見を』
『うるせぇ!リザードの1匹くらい俺だって!』

『ガウッ!!』
やつが駆け出した瞬間、アビスがそれを追い抜きリザードの喉元に食らいついた。
『アビス!』
『おい!犬、何やって…』


俺達はいつの間にかフォレストリザードの群れに取り囲まれていた。
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