4 / 11
第1章 ブラッディー・ウルフのオスフィオス
03 その白髪の女
しおりを挟む
オスフィオスが手続きをし報酬を受け取る。
アトルムはそんな彼女に声をかける。
「オスフィオス。今度いい話のクエストが出るって話があるんだが、俺一人じゃちょいと骨が折れそうなんだ。組む相手を探してる」
「前から言ってる。私は誰とも組まない。
第一、ナイトの称号を持つ者がブラッディーの名を持つ者を誘うなんてどうかしている」
最初は目を見て話したオスフィオスだったが、後半部分は目を逸らし、何処か憂いを帯びた目で虚空を見つめた。
それだけを言うとオスフィオスは出口に向かって歩き出した。
アトルムはそんな彼女の背中に言葉をぶつけた。
「あれは誰にだって止められなかった!あいつは無謀だっただけだ!」
「それでも、私はとめなければならなかったんだ」
彼女は振り返ることなく、そう呟きギルド支部を去っていった。
-----------------------
ギルドの酒場の一角にフィローとアトムルの2人は腰を落ち着けた。
「それにしても、フィロー。
お前、ほんとにレイジベアーに遭遇したのか?」
「え、あ、はい」
「やっぱあいつの情報開示魔法は相変わらずエグイねぇ」
アトムルは感心したようにため息をついて頬杖を着いた。
その様子にフィローは納得いかないような顔になる。
「何なんです?あの女」
「…お前、緑になって情報収集怠ってるなぁ」
「っい!!?」
アトルムの言葉にフィローはギクリと固まった。
まさに図星だからだ。
「お前も知ってる通り、冒険者にはランク付け、ラベルが存在している。下から駆け出しの白ラベル、次に一人前の緑ラベル、ベテランと呼ばれる青ラベル、国に3人いれば安心の紫ラベル、伝説級、世界に今現在いるのは5人と言われている黒ラベル」
既に知っている知識にただ頷くフィロー。
「さっきのあの女は紫ラベルに最も近いと言われている青ラベルだ。名前はオスフィオス。年齢は…19?20だったかそこらだ。クラスは罠や弓矢を得意とするレンジャー。それに加えあいつはナイトウルフというモンスターを使役しているし、さらに言えば完全にソロだ。パーティーは組んでない」
レンジャー、ソロという言葉にフィローは目を見開き驚愕の表情を露わにする。
「はぁ?!ソロでレンジャーで青ラベル?!
どうやってクエスト完了させてるんですか?!」
「何もモンスターに面と向かって正々堂々と挑むだけが冒険者じゃない。オスフィオスの最大の武器はあらゆる事に関する知識だ」
「知識?」
「あぁ、モンスターの習性をとことん調べ尽くして罠を張り、魔法との組み合わせで倒す」
あいつは罠を作る達人なんだ。
と言葉にすればフィローはポカンと口を開けたまま唖然とした。
「で、でも…モンスターだって必ず習性に則って動くものじゃないでしょ?アイツらだって生きているんだし」
「もちろんそりゃそうだ。想定外のモンスターとの遭遇だってある。ま、その場合はあいつの選択は逃げ一択だ」
「はぁ…それでなんで紫ラベルに近いなんて」
「年間討伐数と捕縛数が通常の青の2倍近くある。
その理由に魔法との組み合わせが上手い所にある。普通の罠だけなら時間がかかるがあいつの場合は魔法が使える。更には弓の腕もいいし、何より使役しているそのナイトウルフもかなり強い」
「おまたせー!」
そこへやってきたのは注文したエール。
それを受け取ると乾杯をしてアトルムは一気に煽った。
「ってかなんでそのオスフィオスは魔法使えるんです?人族ですよね」
「……んー、まぁそうだなぁ…」
「人族と獣人族は魔力はあっても
魔法が使えない。子供でも知ってる常識ですよ」
「だが、俺はお前に言ってるはずだぞ。
赤眼の人族は魔法が使えるともな」
「その、すっかり忘れてました」
バツが悪そうに下を向くフィローにアトルムは苦笑いを零す。
「まぁ、赤眼になる人族なんてのは奇跡に近い。
忘れても仕方ない…とは言わん!どんな知識でも無駄になることは無い!忘れるな」
「は、はい!!!」
「もっとも赤眼になるには命の危機に瀕した時になると言われている。オスフィオスはギルドに来た時から赤眼だったし、顔の傷もあった」
何か相当な過去があったのは予測できるが本人に聞けるわけもない。
「レンジャーでソロ…俺やっぱ正直、魔法が使えたとしても効率が悪いような気もしますよ」
パーティーは基本5人から6人程で組むことがほとんどである。前衛である剣士のフェンサー、後衛である、魔法使いマジシャン。サポート役の僧侶モンク、守りの要、盾役のタンク。
他の職業はもちろんあるが普通はこの構成が基本だ。
ソロで活動するものはもちろんいるが大概が攻撃が得意なフェンサーが大半である。
アトルムもパーティーを組むこともあるが基本はソロで活動している男である。
「んー、言いたいこともわかる。だが、ま、あいつと1度でも組めば分かるさ」
「組めば…って俺緑ですし。
第一、あの女さっき言ってたじゃないですか。
誰とも組まないって。なのに、トムさんは組んだことあるんですか?」
「1度だけな」
懐かしそうに目を細めて言うアトルム。
その表情に自分の知らない師匠の顔を見つけたような気がしたフィローは興味を持った。
オスフィオスという女に。
アトルムはそんな彼女に声をかける。
「オスフィオス。今度いい話のクエストが出るって話があるんだが、俺一人じゃちょいと骨が折れそうなんだ。組む相手を探してる」
「前から言ってる。私は誰とも組まない。
第一、ナイトの称号を持つ者がブラッディーの名を持つ者を誘うなんてどうかしている」
最初は目を見て話したオスフィオスだったが、後半部分は目を逸らし、何処か憂いを帯びた目で虚空を見つめた。
それだけを言うとオスフィオスは出口に向かって歩き出した。
アトルムはそんな彼女の背中に言葉をぶつけた。
「あれは誰にだって止められなかった!あいつは無謀だっただけだ!」
「それでも、私はとめなければならなかったんだ」
彼女は振り返ることなく、そう呟きギルド支部を去っていった。
-----------------------
ギルドの酒場の一角にフィローとアトムルの2人は腰を落ち着けた。
「それにしても、フィロー。
お前、ほんとにレイジベアーに遭遇したのか?」
「え、あ、はい」
「やっぱあいつの情報開示魔法は相変わらずエグイねぇ」
アトムルは感心したようにため息をついて頬杖を着いた。
その様子にフィローは納得いかないような顔になる。
「何なんです?あの女」
「…お前、緑になって情報収集怠ってるなぁ」
「っい!!?」
アトルムの言葉にフィローはギクリと固まった。
まさに図星だからだ。
「お前も知ってる通り、冒険者にはランク付け、ラベルが存在している。下から駆け出しの白ラベル、次に一人前の緑ラベル、ベテランと呼ばれる青ラベル、国に3人いれば安心の紫ラベル、伝説級、世界に今現在いるのは5人と言われている黒ラベル」
既に知っている知識にただ頷くフィロー。
「さっきのあの女は紫ラベルに最も近いと言われている青ラベルだ。名前はオスフィオス。年齢は…19?20だったかそこらだ。クラスは罠や弓矢を得意とするレンジャー。それに加えあいつはナイトウルフというモンスターを使役しているし、さらに言えば完全にソロだ。パーティーは組んでない」
レンジャー、ソロという言葉にフィローは目を見開き驚愕の表情を露わにする。
「はぁ?!ソロでレンジャーで青ラベル?!
どうやってクエスト完了させてるんですか?!」
「何もモンスターに面と向かって正々堂々と挑むだけが冒険者じゃない。オスフィオスの最大の武器はあらゆる事に関する知識だ」
「知識?」
「あぁ、モンスターの習性をとことん調べ尽くして罠を張り、魔法との組み合わせで倒す」
あいつは罠を作る達人なんだ。
と言葉にすればフィローはポカンと口を開けたまま唖然とした。
「で、でも…モンスターだって必ず習性に則って動くものじゃないでしょ?アイツらだって生きているんだし」
「もちろんそりゃそうだ。想定外のモンスターとの遭遇だってある。ま、その場合はあいつの選択は逃げ一択だ」
「はぁ…それでなんで紫ラベルに近いなんて」
「年間討伐数と捕縛数が通常の青の2倍近くある。
その理由に魔法との組み合わせが上手い所にある。普通の罠だけなら時間がかかるがあいつの場合は魔法が使える。更には弓の腕もいいし、何より使役しているそのナイトウルフもかなり強い」
「おまたせー!」
そこへやってきたのは注文したエール。
それを受け取ると乾杯をしてアトルムは一気に煽った。
「ってかなんでそのオスフィオスは魔法使えるんです?人族ですよね」
「……んー、まぁそうだなぁ…」
「人族と獣人族は魔力はあっても
魔法が使えない。子供でも知ってる常識ですよ」
「だが、俺はお前に言ってるはずだぞ。
赤眼の人族は魔法が使えるともな」
「その、すっかり忘れてました」
バツが悪そうに下を向くフィローにアトルムは苦笑いを零す。
「まぁ、赤眼になる人族なんてのは奇跡に近い。
忘れても仕方ない…とは言わん!どんな知識でも無駄になることは無い!忘れるな」
「は、はい!!!」
「もっとも赤眼になるには命の危機に瀕した時になると言われている。オスフィオスはギルドに来た時から赤眼だったし、顔の傷もあった」
何か相当な過去があったのは予測できるが本人に聞けるわけもない。
「レンジャーでソロ…俺やっぱ正直、魔法が使えたとしても効率が悪いような気もしますよ」
パーティーは基本5人から6人程で組むことがほとんどである。前衛である剣士のフェンサー、後衛である、魔法使いマジシャン。サポート役の僧侶モンク、守りの要、盾役のタンク。
他の職業はもちろんあるが普通はこの構成が基本だ。
ソロで活動するものはもちろんいるが大概が攻撃が得意なフェンサーが大半である。
アトルムもパーティーを組むこともあるが基本はソロで活動している男である。
「んー、言いたいこともわかる。だが、ま、あいつと1度でも組めば分かるさ」
「組めば…って俺緑ですし。
第一、あの女さっき言ってたじゃないですか。
誰とも組まないって。なのに、トムさんは組んだことあるんですか?」
「1度だけな」
懐かしそうに目を細めて言うアトルム。
その表情に自分の知らない師匠の顔を見つけたような気がしたフィローは興味を持った。
オスフィオスという女に。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる