召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう

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第二章

摸擬戦

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 召喚獣タイタン。
 最強である二十一人の召喚士『戦車チャリオッツ』ダモクレスの召喚獣で、タイプは『相棒型』だ。ダモクレスの指示でタイタンが動き、戦う。
 どんな能力があるのか。アルフェンは、右手を握りしめタイタンに向けて放つ。

「くら……えっ!!」

 右手を巨大化させ、腕を伸ばす。
 相手には、巨大な握り拳が飛んでくるように見えるだろう。アルフェンの拳は直径二メートルほど巨大化し、全長三メートルはあるタイタンでも受け止めるのは不可能───。

『フンガッ!!』
「───!?」

 タイタンは、アルフェンの拳を真正面から受け止めた。
 ガクン、とアルフェンの動きが止まる。

「っぐ……この!!」
『フングググググ……ッ!!』

 アルフェンとタイタンの綱引きだ。
 アルフェンの身体能力は人間を超えている。パワー、スピードも並ではない。だが、タイタンの力が勝っているのか、徐々に徐々に引っ張られていた。

「がっはっは!! タイタンのパワー、舐めるでないぞ?」
「っく……」

 耐え切れない。
 そう考えたアルフェンは作戦を変える……と言っても、腕を小さくしてタイタンの手から外すだけ。
 そのまま加速して一瞬で左側へ回り込み、再び拳を握ってタイタンの側頭部を殴りつけた。

「おらぁ!!」

 ドゴン!! と、タイタンの首が折れ曲がる。
 だが、タイタンは首を戻し、大きな欠伸をして尻をぼりぼり掻いた。
 まるで効いていない。

「ふむ。なかなかのパワー……人間を超えた身体能力、さすがじゃのう」
 
 ダモクレスは、素直に感心していた。
 そして、指示を出す。

「タイタン。攻めるのである……殺すなよ?」
『……ニィィ』

 タイタンは、嬉しそうに顔を歪ませアルフェンを見た。
 まるで、小さな子供が新しいオモチャに目を輝かせているような……そして、アルフェンの背筋が凍る。
 タイタンから強烈な重圧を感じた。

「ッ……」
「がっはっは!! アルフェンよ、まずは……負けることから覚えるのだな!! しっかり受けろよ!!」

 タイタンは、右拳を握りブンブン振り回す。
 アルフェンは瞬間的に腕を巨大化させ、『硬化』の力で右腕そのものを強化───した瞬間、強烈な衝撃が右腕に伝わった。
 気が付くと、タイタンが遠くにいた。

「……??? がはっ……え?」

 そして、遅れて衝撃……吐血。
 ようやく理解した。タイタンに殴られ、吹っ飛び、校舎の壁に激突したのだ。
 校舎の壁が砕け、木片が散乱していた。
 ダモクレスが、心配などまるでしていなさそうに近づいてきた。

「おお、吹っ飛んだなぁ。大丈夫かの?」
「…………今の」
「殴られて吹っ飛んだのだ。がっはっは、ワシのタイタン、鈍重そうに見えるがスピードもかなりのものだろう?」
「う、い、いっでぇ……」

 アルフェンは、遅れて痛みを感じていた。
 高い身体能力でも、痛みはある。回復力も上がっているのですぐに痛みは治まるだろう。

「さて!! 自分が世にも珍しい『寄生型』という召喚を獣持っているからと言って特別ではないと思い知っただろう? まずは身体の使い方から教えてやろう。体術の師はいるのか?」
「いえ、いません」

 リグヴェータ家で少しだけ習った体術は、父が手配した。
 名前も知らないし、師とは呼べないだろう。

「では、ワシが師になろう。若いころは王国最強の格闘技者でもあったからの」
「よ、よろしくお願いいたします」
「うむ!! まずは徹底的に技術を身体に覚え込ませ、お前の召喚獣に合わせたスタイルを確立させていく。その右手はいい武器になるぞ」
「はい……ってて」

 背中が少し痛む。
 そして気が付いた……校舎を修復しに来ている大工たちが、アルフェンが激突し壊れた壁を見て頭を抱えているのを。

「あ、あの……ダモクレス先生、これ」
「んー? がっはっは!! 気にせんでもよい!!」

 この日、夕方までダモクレスの教えを受けるアルフェンだった。

 ◇◇◇◇◇◇

 ボロボロになったアルフェンは地面に座りこみ、ぜーぜーと息を荒くしていた。
 ダモクレスはアルフェンを見下ろして言う。

「今日はここまで!! これからは午前はガーネット、午後はワシの授業という形になるぞ!! ゆっくり休んでおくのだぞ!!」
「は、はい……っぷは」
「では解散!! がーっはっはっは!!」

 ダモクレスは、なぜか笑いながら歩き去った。
 歩き去るダモクレスを見ながらアルフェンは思う。

「お、鬼みたいな教師だ……ガーネット先生とは別の意味で」
「だーれが鬼だって?」
「うおぉぉぉっ!?」

 座りこんだアルフェンの背後に、ガーネットとサフィーがいた。
 ガーネットはにんまり笑う。

「こってり絞られたようだね。でも、あいつの教えはきっと、あんたのためになるよ」
「……はい」
「ああ見えて、この国最強の拳闘士だからね。闘技場での戦い、左腕だけで百人抜きした伝説は今でも語り草さね」
「……とんでもねぇな」
「あ、あの……」
「ん?」

 黙っていたサフィーが、アルフェンを心配していた。
 
「あの、お怪我とかしてませんか? 汗がすごくて臭います」
「……そりゃ悪うございました」
「あ!! いえその、臭いとかじゃなくて、汗ダラダラで気持ち悪くないのかなーって!!」
「……風呂に入るんで」

 サフィーはわたわた手を振って慌てていた。
 ガーネットは、大きくため息を吐く。

「病気がちとは別に、無自覚な毒舌も友達ができない要因なのかねぇ……まったく」
「うぅ……私、なんでこんな」
「……とりあえず、今日は帰ります。ガーネット先生、サフィー、また」
「待ちな」
「はい?」

 帰ろうとしたアルフェンを呼び止め、ガーネットはサフィーの背中を押す。
 
「アルフェン、この子も連れ帰りな」
「……はい?」
「今日からF級寮に住まわせることにしたからね。荷物等は全部送ってある。サフィー、アルフェンに気に入ってもらえるように頑張んな」
「「…………え」」
「じゃ、あたしは帰るよ。はぁ~……冷たいエールでも飲みに行くかねぇ」
「「…………」」

 アルフェンとサフィーが校舎前に残された。
 そして、カァーカァーとカラスが鳴き、互いの顔を見合わせる。

「「えぇぇぇーーーーーーーーーーーーっ!!」」

 二人の絶叫が、校舎前広場に響いた。
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