召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう

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第三章

財宝錬成

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 アルフェンは見た。
 窓を突き破り、楽園の中心にある巨大な黄金のドームが砕け散るのを。先ほどの地震は、あのドームが砕けたことが関係しているとアルフェンは考えた。
 着地し、走り出す。
 目的地はドーム。すると、外で遊んでいた奴隷たちが逃げ出すのがわかった。
 
「さすがに、遊んでる場合じゃないよな……」

 アルフェンは、寄生型召喚獣を宿したことによる身体能力の高さで走る。
 ダモクレスやタイタンとの模擬戦で、身体の使い方を学び始めたアルフェンは、しっかりとしたフォームで大地を駆ける。
 ドームに向かう途中、気色悪いブタの大群がやってくるのを見た。

「なんだ!? 魔獣……うん?」
「「「「「ぶひぃ、っぶひぃ、ぶひゅぃぃぃっ!!」」」」」

 全裸の豚? 豚魔獣? 
 アルフェンは、攻撃するべきが真剣に迷った。
 まさか、ウィルとヒュブリスの戦いから逃げ出した住人だとは思えなかったのだ。
 だが、豚たちはアルフェンなど見ていない。アルフェンの横を素通りし、自分たちの宮殿に逃げていった。

「……な、なんだったんだ?」

 豚の中には、ブーバッキーもいたのだが……あまりにも衝撃的で気付かなかった。
 アルフェンは右腕を握りしめ、再び走り出す。
 そして、ドームに到着した。黄金のドームは半分ほど砕け、破片がそこら中に落ちている。
 アルフェンは小さな破片を拾ってみた。

「これ、黄金? 本物……か?」

 本物だったら、かなりの大金になる。
 金は希少だ。金貨は全て金で造られており、その価値も高い。
 銅貨、銀貨、金貨とこの世界は硬貨が流通している。金以上に価値のあるのはプラチナで、その価値は金貨千枚分ほどだ。

「……っと、今はどうでもいい。それより、ウィ」

 ル、と呟こうとした瞬間───アルフェンの真横、地面に何かが激突した。

「っぐ……くそ、強ぇえ」
「ウィル!? おい、大丈夫かよ!?」
「遅ぇえ!! 敵はあそこだ、やるぞ!!」
「お、おお!!」

 アルフェンは右手を構え、上空を見た。

「え……な、なんだ、あれ?」
「あれが『傲慢』の魔人ヒュブリスだ!! 気を付けろ、クソオヤジと同等以上だぞ!!」

 クソオヤジというのはダモクレスのことだ。
 だが、アルフェンが気になったのは……黄金の柱を足場に立つヒュブリスだった。

「おやおや、今度は右手の少年か。ふふ、あの忌々しい二十一人は、不思議な子を育てているんだねぇ……?」

 傲慢の魔人ヒュブリス。
 アベル以上の強さを持つ魔人。
 ヒュブリスは、両手に金貨や宝石を持ちジャラジャラさせていた。

「お、お金持ってるぞ」
あれが能力だ・・・・・・!!」

 次の瞬間───ヒュブリスは両手に持っていた金貨や宝石を投げてきた。
 魔人の腕力から繰り出される投石は、ウィルの銃弾以上の速度。
 アルフェンは瞬間的に右腕を巨大化させ、自らの腕を『硬化』させる。
 右腕に触れた途端、金貨や宝石は砕け散った。

「ほう? 我が『ゴールデンストーン』を防ぐとは」
「あっぶねぇ……おいウィル、あれってなんだ?」
「あれが『傲慢』の能力だ」

 魔人は、魔帝が呼びだした召喚獣だ。
 召喚獣は、一つだけ固有の能力を持つ。
 魔人ヒュブリスの能力、それは。

「ふっふっふ。バレているので教えてあげよう。我の固有能力は『財宝錬成』である。金、銀、プラチナ、宝石、アクセサリー、彫像、美術品……我が『財宝』と認識した物を無限に作り出すことができるのだよ!! 例えば……こんな風にね!!」

 すると───アルフェンの真上に、黄金の宝剣・・・・・がいくつも降り注いできた。

「じゃ、ジャガーノート!! 硬化!!」

 手を広げ、真上に向けた。

「馬鹿野郎!!」
「え───しまっ」
「ふむ。お腹がお留守だね?」

 目の前に現れたヒュブリスの前蹴りが、アルフェンの腹に突き刺さった。

「ごぁっっ!?」
「はいキミも!!」
「ぐ、がぁっ!?」

 ヒュブリスにヘッズマンを向けていたウィルも、左腕を掴まれ投げられる。
 アルフェンは何度も地面を転がり吐血───タイタンの拳並みに効いた。
 
「このっ!!」
「ふはは、無駄無駄。きみの能力は見切った。当たらなければいいだけさ!!」

 ウィルの銃弾は容易く躱される。
 アルフェンは気合を入れて立ち上がり、右手をヒュブリスに向けた。

「『停止世界パンドラ』!!」

 アルフェンが名前を付けた技の一つ。
 右手の力で空気を、空間を、時間を固定する技。対象そのものを固定するのではなく、右手が触れた空間の一部を伝い、対象に向かって世界が『硬化』する技だ。
 これに捕まれば、どんな生物だろうと『硬化』……いや、『停止』する。

「───む?」

 自分に向けて手を向けているアルフェンが気になったヒュブリス。ウィルの射撃を躱しながら観察して───驚愕した。
 得体の知れない悪寒が迫ってきた。
 なぜか、アルフェンとヒュブリスの延長上にある葉っぱが、空中で停止していた。
 ヒュブリスの本能が告げる。
 背中に冷たい汗が流れ、ヒュブリスは全力でその場から回避した。

「くっ……ま、待ちやがれ!!」
「キミは何なんだ!? 空間支配……違う、これは……ふん、だがこれならどうだ!!」
 
 ヒュブリスが逃げた。
 アルフェンはヒュブリスを追い、その場で右手を逃げたヒュブリスの方へ。
 だが、今度はアルフェンが青ざめた。

「くっ……お前!!」
「はは!! 残念だったな右手の少年!!」

 ヒュブリスは、ウィルの真後ろにいた。
 
「チッ……」
「おっと、逃げない逃げない。ハハハハハッ!!」

 ウィルはアルフェンの右手の射線から逃げようとするが、ヒュブリスがそれを許さない。
 ここにきて、アルフェンの右手の弱点が露呈した。
 そう、強力すぎて味方をも巻き込みかねないのである。
 現在のアルフェンの『硬化』は、大雑把にしか指定できない。数十メートル先にあるものを硬化させる場合、その延長線上にあるもの全てを硬化してしまうのだ。
 そもそも、右手が触れた物を硬化する能力なのだから、この制約からは絶対に逃れられないのだが。
 アルフェンは、止むをえず『停止世界パンドラ』を解除する。

「なるほど。『硬化』か……空気や物体だけでなく、空間、時間をも硬化させてしまう。だが、延長線上にある物全てを硬化してしまうのだね? それに、硬化速度は大したことがない……十分に躱せる」
「ッ!!」
「恐ろしい能力だ。だが、そちらの銃の少年と同じ。触れなければいいだけだ!!」
「だったら直接殴る!!」

 アルフェンは右手を強く握り、ヒュブリスに向かって走り出す。

「ウィル、援護!!」
「わーったよこのクソ野郎!!」

 右のジャガーノート、左のヘッズマン。
 本当の魔人との対決は、二回戦に突入した。
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