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第七章
戦闘開始
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案の定、だった。
「グレイ教授。王城の守護はお任せします」
「うむ……」
「リッパー医師。怪我人の治療を。貴族を優先してください。もちろん、爵位の高い順に」
「わ、わかったよ」
「ナクシャトラ。あなたも避難を」
「ヒッヒッヒ……まぁいい」
「トリックスター、あなたは部下を率いて周囲の警護を」
「イエス!! お任せを」
「エンプーサ。あなたも避難なさい」
「は~い。ああ、王城でお仕事していいかしら?」
「メテオール。あなたは」
「学園へ戻らせてもらおう。校長のワシが必要じゃ……文句があるなら相手になるぞ」
「……まぁ、いいでしょう」
サンバルトを護衛しながら王城へ到着したリリーシャたちが見たのは、召喚士の憧れである特A級召喚士。伝説の二十一人こと『二十一人の英雄』だった。
『塔』グレイ教授。
『死神』リッパー医師。
『運命』ナクシャトラ預言者。
『魔術師』トリックスター博士。
『恋人』メイクアップアーティスト・エンプーサ。
そして、召喚学園校長『剛力』メテオール。
それらに命令をしているのは、大神官にして聖女、二十一人の召喚師のラストナンバーにして、かつて魔帝との闘いで二十一人を率いた指揮官『審判』ガブリエルだ。
ガブリエルは、サンバルトを見た。
「これは王子殿下。よくぞご無事で……さぁ、地下特別室へ」
「ああ。私の護衛だが、彼女に頼みたい」
ガブリエルはリリーシャを見る。
「A級召喚師リリーシャですね。申し訳ございませんが、彼女の力は王城守護に役立てたいと思います。地下までの護衛は、B級召喚士ダオーム、同じくキリアスに任せましょう」
「「ハッ!!」」
「……まぁ、いい。では二人とも頼むよ」
やや不満そうなサンバルトは、ダオームとキリアスを連れ王城地下へ。
残されたリリーシャは、ガブリエルに命令される。
「A級召喚士リリーシャ。そのドレスも可愛いけど……制服に着替え、王城守護に回りなさい。ふふ、あなたには期待していますよ」
「はっ!! ……ところで、敵はやはり」
「ええ、魔人ね。それも二体……一体は『色欲』で、もう一体は未確認。まさか、私たち二十一人がいるアースガルズ王国に乗り込んでくるなんてね」
ガブリエルは、優しく微笑んでいた。
同性ですら見惚れるような笑みだ。まだ十代にしか見えないが、どう考えてもリリーシャより年上である。
「でも、大丈夫。ふふ……救国の英雄、『愚者』のアルフェン・リグヴェータが戦っているのでしょう? あなたの弟は立派ね……魔人を退けたら、リグヴェータ家に報酬をやらないと」
「お心遣いありがとうございます。では……」
「ええ、よろしくね」
リリーシャは、着替えるために王城内へ。
すると……いきなり、何者かに背後から抱きつかれた。
「なっ!?」
「ふふっ! ふむふむ……いいわいいわ、最高ねぇ!!」
「な、あの……なにを!?」
身体をまさぐられ、髪や頬を撫でられる。
胸を触られたところで、リリーシャは思い切り肘撃ちを繰り出した。
肘撃ちは襲撃者の腹に突き刺さる。だが、岩を撃ったような衝撃がリリーシャに伝わり、襲撃者はようやく離れた。
「ごめんごめん。すっごくいい素材を見つけたから興奮しちゃってねぇ……あなた!! あたしの事務所でモデルやらない!? あなたならトップモデルになれるわよ!!」
「…………」
襲撃者は、『恋人』エンプーサだった。
王国最高のメイクアップアーティストにして、モデル事務所を経営している。
モデルになぞ興味はない。というか、それどころじゃない。
「……仕事があるので失礼します」
「あん。つれないわねぇ……でも、諦めないからね♪」
「…………」
エンプーサは去っていった。
思わぬ時間を取られた。
リリーシャは着替え、腰に刀を差し髪をポニーテールに結わえる。
軽く準備運動をして、王城周辺の確認をしようとした時だった。
「魔獣出現!! 魔獣出現!! 召喚師、迎撃準備ー!!」
と、聞こえてきた。
外壁から城下町を見ると、巨大な『肉塊』のような歪な鳥が、何匹も飛んできた。
リリーシャは刀を抜き、不敵に笑う。
「ガブリエル様に顔を覚えてもらえた……ふふ、ここで武勲を挙げれば」
腹黒い想いを胸に、魔獣迎撃戦が始まった。
◇◇◇◇◇◇
S級召喚士VS『色欲』と『暴喰』の魔人。
フロレンティアは、その場で跳躍して屋敷近くの樹に飛び移った。
「ふぅ……このまま大騒ぎすれば厄介な連中も出てくるし……わたしは、しばらく見物して逃げちゃいま~す♪ テュポーン、おなかいっぱい食べたら戻っておいで~」
「うん。わかった」
テュポーンは、全身から触手を生み出し先端部分を大きな『口』にする。そして、アルフェンたちに向けてガチガチ鳴らした。
そして、首を軽く傾げ……思いついたようににっこり笑う。
「あ、いいこと思いついた! ……ん、しょっと」
すると、テュポーンの背中が爆発的に盛り上がった。
まるで巨大な『瘤』だ。膨らみ、瘤はグネグネと脈動を繰り返す。
そして───驚愕するアルフェンたちの目の前で、巨大な瘤が破裂した。
「いーっぱい食べるには、いーっぱいになればいいんだ! わたしの口、いーっぱい!」
「なっ……」
アルフェンは、破裂し飛散した肉片が巨大な魔獣に変わっていくのを見た。
フェニアとサフィーが怯えたように言う。
「う、うそ……ぐ、グリフォン?」
「ま、マルコシアス……どうして」
そちらを見ると、肉片がマルコシアスとグリフォンの姿になっていた。だが、毛は生えておらず、肉塊が無理やり形を成したような姿で、あまりの醜悪さにフェニアとサフィーは目を背けそうになる。
いつの間にか、肉片魔獣に囲まれていた。
「いってこーい」
テュポーンが命令すると、肉片魔獣はリグヴェータ邸の壁をブチ破り駆け出していく。飛べる個体は翼を大きくはためかせ飛んでいった。
そして、残った魔獣は……アルフェンたちを見てハァハァ唸る。
テュポーンも、触手と両手の口をアルフェンたちに向けた。
「ごはん、ごはん」
そして、この状況を見たメルはしばし考え───叫んだ。
「王女命令よ!! フェニアとサフィーは外へ逃げた魔獣を追って。アルフェン、ウィル、アネルは目の前にいる魔人に対処!! フェニアとサフィー、私が指示するからそのように動きなさい!!」
メルは、マルコシアスに乗った。
アルフェンたちに叫ぶように言う。
「いい? 増援が必ず来る。絶対に無理をしないように押さえなさい!!」
「「了解!!」」
「…………」
「ウィル、返事をなさい!!」
「ああ……わかったよ」
ウィルが見ていたのは、この状況を楽しんでいるフロレンティアだ。
深呼吸し、左腕を『拳銃』に変えてテュポーンに突き付ける。
アルフェンとアネルは、ウィルを見た。
「心配すんな。もう暴走しねぇよ……多分な」
「……ウィル、援護頼むぞ」
「アタシたち、アンタがいないと厳しいからね」
「フン……」
アルフェンとアネルは構え、触手を向けるテュポーンに突っ込んでいった。
◇◇◇◇◇◇
マルコシアスは、貴族街の屋敷の屋根を伝い、空を飛ぶ肉片魔獣を追っていた。
地上と上空。数は相当数……正直、マルコシアスとグリフォンだけでは荷が重い。
それに、突如現れた魔獣に、貴族街はパニックになっていた。
「マルコシアス、『アイスニードル』!!」
マルコシアスの周囲に氷柱が何本も形成される。
屋敷の屋根から飛び降り、地面を這うミミズのような肉片魔獣に向けて放った。
『ぎゅぴぃぃぃ……』
ミミズは、ジュワジュワと溶けてなくなった。
だが、休んでいる暇はない。
「な、なんだこいつは!? ご、護衛は何をしている!!」
「ま、魔獣!? や、やれ。やれぇ!! さっさと殺せ!!」
トカゲやカエルの姿をした肉片魔獣が、貴族の馬車を襲った。
護衛の兵士が召喚獣を呼んで戦っている。だが、数が多く対処できていない。
「マルコシアス、『クリスタルスピア』!!」
サフィーが叫ぶ。すると、マルコシアスの周囲に、立派な氷彫刻のような槍が十三本形成された。サフィーはそのうちの一本を掴み、マルコシアスに騎乗したままクルクル回す。
メルは、思わず「すっご……」と呟いた。
「新技です!! 行きますよー!!」
マルコシアスが駆ける。
氷の槍を飛ばすのではなく、操作する。
マルコシアスの意志で操られる氷の槍は、魔獣を蹴散らしていく。
「やあっ!! だっ!! せいっ!!」
サフィーも負けてはいない。
氷の槍を振り、接近する肉片魔獣を薙ぎ払う。
メルは言った。
「サフィー、強くなったわね!! さすがS級召喚士!!」
「毎日がんばってますから!!」
と、上空からも声がした。
「あたしだってS級召喚士よ!! グリフォン、『サイクロンノヴァ』!!」
小規模の竜巻が十三本生み出され、グリフォンの周りをグルグルと舞う。
フェニアの手の動きと合わせて竜巻が自在に動き、肉片魔獣が貴族や住人に接近すると竜巻で防御し、そのまま竜巻内に巻き込んでズタズタに引き裂く。
「フェニアもやるじゃない!!」
「当然!! だってS級召喚士だしー!!」
フェニアとサフィーは、A級召喚士並みの戦闘力を持っている。
メルは二人が心配だから同行したが、指示を出す必要も、自分が戦う必要もないと感じていた。貴族街の肉片魔獣は、この二人がいれば問題ない。
それに……戦うのは、S級召喚士だけではない。
「ぬぅぅぅぅぅんっっ!!」
どこからか聞こえた叫び。
そちらを見ると、ダモクレスが肉片魔獣を素手でぶん殴り、肉片魔獣がただの肉片になる瞬間だった。
「「ダモクレス先生!!」」
「少々遅れた。さぁ、一掃するのである!!」
たった一言。だが、とても力ある一言だった。
「グレイ教授。王城の守護はお任せします」
「うむ……」
「リッパー医師。怪我人の治療を。貴族を優先してください。もちろん、爵位の高い順に」
「わ、わかったよ」
「ナクシャトラ。あなたも避難を」
「ヒッヒッヒ……まぁいい」
「トリックスター、あなたは部下を率いて周囲の警護を」
「イエス!! お任せを」
「エンプーサ。あなたも避難なさい」
「は~い。ああ、王城でお仕事していいかしら?」
「メテオール。あなたは」
「学園へ戻らせてもらおう。校長のワシが必要じゃ……文句があるなら相手になるぞ」
「……まぁ、いいでしょう」
サンバルトを護衛しながら王城へ到着したリリーシャたちが見たのは、召喚士の憧れである特A級召喚士。伝説の二十一人こと『二十一人の英雄』だった。
『塔』グレイ教授。
『死神』リッパー医師。
『運命』ナクシャトラ預言者。
『魔術師』トリックスター博士。
『恋人』メイクアップアーティスト・エンプーサ。
そして、召喚学園校長『剛力』メテオール。
それらに命令をしているのは、大神官にして聖女、二十一人の召喚師のラストナンバーにして、かつて魔帝との闘いで二十一人を率いた指揮官『審判』ガブリエルだ。
ガブリエルは、サンバルトを見た。
「これは王子殿下。よくぞご無事で……さぁ、地下特別室へ」
「ああ。私の護衛だが、彼女に頼みたい」
ガブリエルはリリーシャを見る。
「A級召喚師リリーシャですね。申し訳ございませんが、彼女の力は王城守護に役立てたいと思います。地下までの護衛は、B級召喚士ダオーム、同じくキリアスに任せましょう」
「「ハッ!!」」
「……まぁ、いい。では二人とも頼むよ」
やや不満そうなサンバルトは、ダオームとキリアスを連れ王城地下へ。
残されたリリーシャは、ガブリエルに命令される。
「A級召喚士リリーシャ。そのドレスも可愛いけど……制服に着替え、王城守護に回りなさい。ふふ、あなたには期待していますよ」
「はっ!! ……ところで、敵はやはり」
「ええ、魔人ね。それも二体……一体は『色欲』で、もう一体は未確認。まさか、私たち二十一人がいるアースガルズ王国に乗り込んでくるなんてね」
ガブリエルは、優しく微笑んでいた。
同性ですら見惚れるような笑みだ。まだ十代にしか見えないが、どう考えてもリリーシャより年上である。
「でも、大丈夫。ふふ……救国の英雄、『愚者』のアルフェン・リグヴェータが戦っているのでしょう? あなたの弟は立派ね……魔人を退けたら、リグヴェータ家に報酬をやらないと」
「お心遣いありがとうございます。では……」
「ええ、よろしくね」
リリーシャは、着替えるために王城内へ。
すると……いきなり、何者かに背後から抱きつかれた。
「なっ!?」
「ふふっ! ふむふむ……いいわいいわ、最高ねぇ!!」
「な、あの……なにを!?」
身体をまさぐられ、髪や頬を撫でられる。
胸を触られたところで、リリーシャは思い切り肘撃ちを繰り出した。
肘撃ちは襲撃者の腹に突き刺さる。だが、岩を撃ったような衝撃がリリーシャに伝わり、襲撃者はようやく離れた。
「ごめんごめん。すっごくいい素材を見つけたから興奮しちゃってねぇ……あなた!! あたしの事務所でモデルやらない!? あなたならトップモデルになれるわよ!!」
「…………」
襲撃者は、『恋人』エンプーサだった。
王国最高のメイクアップアーティストにして、モデル事務所を経営している。
モデルになぞ興味はない。というか、それどころじゃない。
「……仕事があるので失礼します」
「あん。つれないわねぇ……でも、諦めないからね♪」
「…………」
エンプーサは去っていった。
思わぬ時間を取られた。
リリーシャは着替え、腰に刀を差し髪をポニーテールに結わえる。
軽く準備運動をして、王城周辺の確認をしようとした時だった。
「魔獣出現!! 魔獣出現!! 召喚師、迎撃準備ー!!」
と、聞こえてきた。
外壁から城下町を見ると、巨大な『肉塊』のような歪な鳥が、何匹も飛んできた。
リリーシャは刀を抜き、不敵に笑う。
「ガブリエル様に顔を覚えてもらえた……ふふ、ここで武勲を挙げれば」
腹黒い想いを胸に、魔獣迎撃戦が始まった。
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S級召喚士VS『色欲』と『暴喰』の魔人。
フロレンティアは、その場で跳躍して屋敷近くの樹に飛び移った。
「ふぅ……このまま大騒ぎすれば厄介な連中も出てくるし……わたしは、しばらく見物して逃げちゃいま~す♪ テュポーン、おなかいっぱい食べたら戻っておいで~」
「うん。わかった」
テュポーンは、全身から触手を生み出し先端部分を大きな『口』にする。そして、アルフェンたちに向けてガチガチ鳴らした。
そして、首を軽く傾げ……思いついたようににっこり笑う。
「あ、いいこと思いついた! ……ん、しょっと」
すると、テュポーンの背中が爆発的に盛り上がった。
まるで巨大な『瘤』だ。膨らみ、瘤はグネグネと脈動を繰り返す。
そして───驚愕するアルフェンたちの目の前で、巨大な瘤が破裂した。
「いーっぱい食べるには、いーっぱいになればいいんだ! わたしの口、いーっぱい!」
「なっ……」
アルフェンは、破裂し飛散した肉片が巨大な魔獣に変わっていくのを見た。
フェニアとサフィーが怯えたように言う。
「う、うそ……ぐ、グリフォン?」
「ま、マルコシアス……どうして」
そちらを見ると、肉片がマルコシアスとグリフォンの姿になっていた。だが、毛は生えておらず、肉塊が無理やり形を成したような姿で、あまりの醜悪さにフェニアとサフィーは目を背けそうになる。
いつの間にか、肉片魔獣に囲まれていた。
「いってこーい」
テュポーンが命令すると、肉片魔獣はリグヴェータ邸の壁をブチ破り駆け出していく。飛べる個体は翼を大きくはためかせ飛んでいった。
そして、残った魔獣は……アルフェンたちを見てハァハァ唸る。
テュポーンも、触手と両手の口をアルフェンたちに向けた。
「ごはん、ごはん」
そして、この状況を見たメルはしばし考え───叫んだ。
「王女命令よ!! フェニアとサフィーは外へ逃げた魔獣を追って。アルフェン、ウィル、アネルは目の前にいる魔人に対処!! フェニアとサフィー、私が指示するからそのように動きなさい!!」
メルは、マルコシアスに乗った。
アルフェンたちに叫ぶように言う。
「いい? 増援が必ず来る。絶対に無理をしないように押さえなさい!!」
「「了解!!」」
「…………」
「ウィル、返事をなさい!!」
「ああ……わかったよ」
ウィルが見ていたのは、この状況を楽しんでいるフロレンティアだ。
深呼吸し、左腕を『拳銃』に変えてテュポーンに突き付ける。
アルフェンとアネルは、ウィルを見た。
「心配すんな。もう暴走しねぇよ……多分な」
「……ウィル、援護頼むぞ」
「アタシたち、アンタがいないと厳しいからね」
「フン……」
アルフェンとアネルは構え、触手を向けるテュポーンに突っ込んでいった。
◇◇◇◇◇◇
マルコシアスは、貴族街の屋敷の屋根を伝い、空を飛ぶ肉片魔獣を追っていた。
地上と上空。数は相当数……正直、マルコシアスとグリフォンだけでは荷が重い。
それに、突如現れた魔獣に、貴族街はパニックになっていた。
「マルコシアス、『アイスニードル』!!」
マルコシアスの周囲に氷柱が何本も形成される。
屋敷の屋根から飛び降り、地面を這うミミズのような肉片魔獣に向けて放った。
『ぎゅぴぃぃぃ……』
ミミズは、ジュワジュワと溶けてなくなった。
だが、休んでいる暇はない。
「な、なんだこいつは!? ご、護衛は何をしている!!」
「ま、魔獣!? や、やれ。やれぇ!! さっさと殺せ!!」
トカゲやカエルの姿をした肉片魔獣が、貴族の馬車を襲った。
護衛の兵士が召喚獣を呼んで戦っている。だが、数が多く対処できていない。
「マルコシアス、『クリスタルスピア』!!」
サフィーが叫ぶ。すると、マルコシアスの周囲に、立派な氷彫刻のような槍が十三本形成された。サフィーはそのうちの一本を掴み、マルコシアスに騎乗したままクルクル回す。
メルは、思わず「すっご……」と呟いた。
「新技です!! 行きますよー!!」
マルコシアスが駆ける。
氷の槍を飛ばすのではなく、操作する。
マルコシアスの意志で操られる氷の槍は、魔獣を蹴散らしていく。
「やあっ!! だっ!! せいっ!!」
サフィーも負けてはいない。
氷の槍を振り、接近する肉片魔獣を薙ぎ払う。
メルは言った。
「サフィー、強くなったわね!! さすがS級召喚士!!」
「毎日がんばってますから!!」
と、上空からも声がした。
「あたしだってS級召喚士よ!! グリフォン、『サイクロンノヴァ』!!」
小規模の竜巻が十三本生み出され、グリフォンの周りをグルグルと舞う。
フェニアの手の動きと合わせて竜巻が自在に動き、肉片魔獣が貴族や住人に接近すると竜巻で防御し、そのまま竜巻内に巻き込んでズタズタに引き裂く。
「フェニアもやるじゃない!!」
「当然!! だってS級召喚士だしー!!」
フェニアとサフィーは、A級召喚士並みの戦闘力を持っている。
メルは二人が心配だから同行したが、指示を出す必要も、自分が戦う必要もないと感じていた。貴族街の肉片魔獣は、この二人がいれば問題ない。
それに……戦うのは、S級召喚士だけではない。
「ぬぅぅぅぅぅんっっ!!」
どこからか聞こえた叫び。
そちらを見ると、ダモクレスが肉片魔獣を素手でぶん殴り、肉片魔獣がただの肉片になる瞬間だった。
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