168 / 178
第九章
最終局面へ
しおりを挟む
フェニアは、戦場から離れた場所にあった無人の小屋でシーツを見つけ、身体を隠した。
融合を使えるようになったのはいいが、服が無くなってしまうのはきつい。
そのまま上空からサフィーを探すと……見つけた。
マルコシアスに乗り、ゆっくりと歩いていた。
「サフィー!! おーいサフィー!!」
「え、あ……フェニア!!」
グリフォンは高度を下げ、マルコシアスと並ぶ。
二人は顔を見合わせ、にっこり笑って親指をグッと立てた。
「勝ち!!」
「はい!!……あれ、フェニア? 服……」
「破れちゃった。シーツ見つけたからよかったけど……融合使う時は替えの服用意しておこう」
「え、フェニアも融合を?」
「ってことは、サフィーも?」
「はい! おかげで、おっきな黒い狼を倒せました」
「いやー……あたしら、かなり強くなったわね」
「ええ。うれしいです」
ほっこりしたのもつかの間。
アースガルズ王国方面では、黒い煙や爆発音が聞こえてくる。
二人は顔を見合わせ頷いた。
「行こう。アネルやレイヴィニアたちがいるはず」
「はい。私たちにできることはまだあります」
グリフォンとマルコシアスは、アースガルズ王国へ向かった。
◇◇◇◇◇◇
「でりゃぁぁぁぁっ!!」
アネルは、もう何体目だかわからない魔獣を蹴り飛ばした。
魔獣は血を吐いて転がり、そのまま粒子になって消滅。死ではなく、肉体が消滅して魂だけ『召喚獣の世界』に還ったのだ。時間をかければ肉体を復活させ、また誰かの召喚獣としてこちらに来れる。
だが、人間はそうはいかない。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
アネルは、疲労していた。
ずっと動きっぱなしで汗だくだ。制服を脱ぎ、シャツ一枚で戦っている。
ドロドロの土まみれで、身体中に擦り傷ができていた。
だが、赤いポニーテールはルビーのように輝きながら揺れている。
「減らないし……ああ、もう、疲れ、たぁ……」
魔獣は全く減らない。
アネルだけで五百体は倒している。完全侵食状態で戦っていたのだが、あまりにも数が多く体力が底を尽きかけ、人間体に戻ってしまった。
今は、こうしてひたすら蹴りまくっている。味方の姿はない。かなり外れの位置にいた。
一旦、撤退を……そう考える。
「……でも、引けない」
引いたら、魔獣は攻めてくる。
引くわけにはいかない。その想いを燃料にし、『カドゥーケウス』は蒸気を吹く。
「あ、いた!! あの赤い髪、アネルだ!! サフィー!!」
「はい!! マルコシアス、『アイスダート』!!」
「グリフォン、『ゲイルダーツ』!!」
氷の槍と、風の杭が降り注ぐ。
やってきたのはフェニア、そしてサフィーだ。
援軍の登場に、アネルの顔はほころぶ。
だが、それが一瞬の命取りになった。
『シャガァッ!!』
「えっ───」
それは、小さな蛇だった。
アネルに気付かれぬよう接近し、隙を狙っていた。
狙いは首。噛まれたら───どうなる。
アネルは目を閉じた。
『ガルルルッ!! ニスロク!!』
『あいあ~い』
すると、横から何かが飛んできた。
その何かは蛇に噛みつく。すると蛇は大人しくなり、粒子になって消えた。
『ふぃぃ、やっと見つけたぞ。ニオイがいっぱいで探すの大変だった』
『はぁぁ~~~疲れたぁぁぁ……眠いぃぃ』
「え、あ、アンタら……」
「うっそ……」
「まぁ……」
アネル、フェニア、サフィーは驚愕した。
そこにいたのは、召喚獣の姿となったレイヴィニアとニスロクだ。
レイヴィニアは虎、ニスロクはナマケモノだったが……サイズがおかしい。
全長十メートルはあったはずなのに、今のレイヴィニアは子犬サイズ。ニスロクも抱っこできるくらいに縮んでいた。
『力を使いすぎた……でも、うちら頑張ったぞ!』
『いっぱい倒したもんね~』
『お前たちが強いのと戦ってるから手伝いにきたけど、終わった───のわぁ!?』
『おぉぉ!?』
アネルはレイヴィニアを、フェニアはニスロクを抱っこした。
「よかったぁぁぁ!! アンタら無事で!! ってか可愛いぃぃぃっ!! もっふもふじゃん!! なにこれ子犬? 可愛いぃぃぃ!!」
『イヌじゃない虎だ!! 力使いすぎて縮んだだけだ。放せーーーッ!!』
「ん~~~もふもふ。ニスロク可愛い!!」
『んん~~~……じつはぼく、ヒト型よりこっちのが過ごしやすくて好きなんだよねん』
「フェニア、私も!! 私も抱っこしたいですぅ!!」
「まってもうちょい……んん可愛いぃ!!」
ひとしきりモフり、ようやく解放されたレイヴィニアたち。
魔獣も片付いたので聞いてみた。
「ねぇレイヴィニア、アンタら、ヒトの姿になれるの?」
『無理。あの姿は魔帝様にやってもらった。こっちが本来の姿だ』
『でも、こっちのがらくぅ~』
「そっか。よし、この辺りは片付いた。みんな揃ったし……フェニア、サフィー。アルフェンとウィルのところへ行こう」
「うん。そうだね……レイヴィニア、場所わかる?」
『ニオイするからわかるぞ! くんくん、くんくん』
「か、可愛いです……」
レイヴィニアは、地面をくんくんする。
サフィーが触りたいのか、レイヴィニアに近づく。だがフェニアに止められた。
フェニアは、遠くを見ながら言う。
「……アルフェン、ウィル。大丈夫かな」
「大丈夫! 考えてみてよ? あの二人が負けると思う? ね、サフィー」
「もちろんです。あの二人は負けません!」
『……見つけた。あっちだ!』
レイヴィニアとニスロクを抱えた三人は、アルフェンたちのいる場所へ向かって走り出した。
融合を使えるようになったのはいいが、服が無くなってしまうのはきつい。
そのまま上空からサフィーを探すと……見つけた。
マルコシアスに乗り、ゆっくりと歩いていた。
「サフィー!! おーいサフィー!!」
「え、あ……フェニア!!」
グリフォンは高度を下げ、マルコシアスと並ぶ。
二人は顔を見合わせ、にっこり笑って親指をグッと立てた。
「勝ち!!」
「はい!!……あれ、フェニア? 服……」
「破れちゃった。シーツ見つけたからよかったけど……融合使う時は替えの服用意しておこう」
「え、フェニアも融合を?」
「ってことは、サフィーも?」
「はい! おかげで、おっきな黒い狼を倒せました」
「いやー……あたしら、かなり強くなったわね」
「ええ。うれしいです」
ほっこりしたのもつかの間。
アースガルズ王国方面では、黒い煙や爆発音が聞こえてくる。
二人は顔を見合わせ頷いた。
「行こう。アネルやレイヴィニアたちがいるはず」
「はい。私たちにできることはまだあります」
グリフォンとマルコシアスは、アースガルズ王国へ向かった。
◇◇◇◇◇◇
「でりゃぁぁぁぁっ!!」
アネルは、もう何体目だかわからない魔獣を蹴り飛ばした。
魔獣は血を吐いて転がり、そのまま粒子になって消滅。死ではなく、肉体が消滅して魂だけ『召喚獣の世界』に還ったのだ。時間をかければ肉体を復活させ、また誰かの召喚獣としてこちらに来れる。
だが、人間はそうはいかない。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
アネルは、疲労していた。
ずっと動きっぱなしで汗だくだ。制服を脱ぎ、シャツ一枚で戦っている。
ドロドロの土まみれで、身体中に擦り傷ができていた。
だが、赤いポニーテールはルビーのように輝きながら揺れている。
「減らないし……ああ、もう、疲れ、たぁ……」
魔獣は全く減らない。
アネルだけで五百体は倒している。完全侵食状態で戦っていたのだが、あまりにも数が多く体力が底を尽きかけ、人間体に戻ってしまった。
今は、こうしてひたすら蹴りまくっている。味方の姿はない。かなり外れの位置にいた。
一旦、撤退を……そう考える。
「……でも、引けない」
引いたら、魔獣は攻めてくる。
引くわけにはいかない。その想いを燃料にし、『カドゥーケウス』は蒸気を吹く。
「あ、いた!! あの赤い髪、アネルだ!! サフィー!!」
「はい!! マルコシアス、『アイスダート』!!」
「グリフォン、『ゲイルダーツ』!!」
氷の槍と、風の杭が降り注ぐ。
やってきたのはフェニア、そしてサフィーだ。
援軍の登場に、アネルの顔はほころぶ。
だが、それが一瞬の命取りになった。
『シャガァッ!!』
「えっ───」
それは、小さな蛇だった。
アネルに気付かれぬよう接近し、隙を狙っていた。
狙いは首。噛まれたら───どうなる。
アネルは目を閉じた。
『ガルルルッ!! ニスロク!!』
『あいあ~い』
すると、横から何かが飛んできた。
その何かは蛇に噛みつく。すると蛇は大人しくなり、粒子になって消えた。
『ふぃぃ、やっと見つけたぞ。ニオイがいっぱいで探すの大変だった』
『はぁぁ~~~疲れたぁぁぁ……眠いぃぃ』
「え、あ、アンタら……」
「うっそ……」
「まぁ……」
アネル、フェニア、サフィーは驚愕した。
そこにいたのは、召喚獣の姿となったレイヴィニアとニスロクだ。
レイヴィニアは虎、ニスロクはナマケモノだったが……サイズがおかしい。
全長十メートルはあったはずなのに、今のレイヴィニアは子犬サイズ。ニスロクも抱っこできるくらいに縮んでいた。
『力を使いすぎた……でも、うちら頑張ったぞ!』
『いっぱい倒したもんね~』
『お前たちが強いのと戦ってるから手伝いにきたけど、終わった───のわぁ!?』
『おぉぉ!?』
アネルはレイヴィニアを、フェニアはニスロクを抱っこした。
「よかったぁぁぁ!! アンタら無事で!! ってか可愛いぃぃぃっ!! もっふもふじゃん!! なにこれ子犬? 可愛いぃぃぃ!!」
『イヌじゃない虎だ!! 力使いすぎて縮んだだけだ。放せーーーッ!!』
「ん~~~もふもふ。ニスロク可愛い!!」
『んん~~~……じつはぼく、ヒト型よりこっちのが過ごしやすくて好きなんだよねん』
「フェニア、私も!! 私も抱っこしたいですぅ!!」
「まってもうちょい……んん可愛いぃ!!」
ひとしきりモフり、ようやく解放されたレイヴィニアたち。
魔獣も片付いたので聞いてみた。
「ねぇレイヴィニア、アンタら、ヒトの姿になれるの?」
『無理。あの姿は魔帝様にやってもらった。こっちが本来の姿だ』
『でも、こっちのがらくぅ~』
「そっか。よし、この辺りは片付いた。みんな揃ったし……フェニア、サフィー。アルフェンとウィルのところへ行こう」
「うん。そうだね……レイヴィニア、場所わかる?」
『ニオイするからわかるぞ! くんくん、くんくん』
「か、可愛いです……」
レイヴィニアは、地面をくんくんする。
サフィーが触りたいのか、レイヴィニアに近づく。だがフェニアに止められた。
フェニアは、遠くを見ながら言う。
「……アルフェン、ウィル。大丈夫かな」
「大丈夫! 考えてみてよ? あの二人が負けると思う? ね、サフィー」
「もちろんです。あの二人は負けません!」
『……見つけた。あっちだ!』
レイヴィニアとニスロクを抱えた三人は、アルフェンたちのいる場所へ向かって走り出した。
12
あなたにおすすめの小説
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
ざまぁにはざまぁでお返し致します ~ラスボス王子はヒロインたちと悪役令嬢にざまぁしたいと思います~
陸奥 霧風
ファンタジー
仕事に疲れたサラリーマンがバスの事故で大人気乙女ゲーム『プリンセス ストーリー』の世界へ転生してしまった。しかも攻略不可能と噂されるラスボス的存在『アレク・ガルラ・フラスター王子』だった。
アレク王子はヒロインたちの前に立ちはだかることが出来るのか?
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。
桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる