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魔界貴族公爵クリスベノワの『討滅城』②/戦いの前
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ロイは、エレノアと一緒に学園内にある地下ショッピングモールでお茶を飲んでいた。
デートなどではない。授業が終わると、エレノアに呼ばれて案内されたのだ。
ロイは紅茶とケーキ。エレノアも同じものを食べている。ロイよりも早く完食したエレノアは、紅茶のおかわりを頼みつつ口を開いた。
ちなみに、ナイフは使えないがフォークは何とか使えるので、ケーキを食べるのに苦労はない。
刃物が使えないロイは、森で拾った木を鏃の先端で苦労して削り、木製の「ナイフもどき」を作って持っていた。切れ味は最悪だが、ないよりマシではあった。
「ダンジョン、どうする?」
「お前な、相変わらずいきなりだぞ……もっとわかりやすく言えよ」
「うっさいわね。で、どうすんの?」
「どうするもなにも、攻略するしかないだろ? 今回はお前たち七聖剣士がメインなのは間違いない。えーと……なんだっけ、聖剣騎士団の部隊長だっけ? その人たちはダンジョンに入れないんだろ?」
「ええ。何度か実験したみたいだけど、魔法的な障壁のせいか、ダンジョンに入れないの確定みたい」
「ふーん……なぁ、どうやって年齢確認してるんだ?」
「さぁ? 魔界貴族の魔法は何でもありなのかしらねー」
紅茶を飲みつつ、エレノアは店員を呼び「すみません、クッキーください」と、カラフルなフルーツクッキーを注文。けっこうな量がバスケットに入っていたが、エレノアは嬉しそうに食べ始めた。
「お前、そんなに食べて夕飯食えるのかよ?」
「当たり前でしょ。糖分なんて久しぶりだし、食べられるときに食べなきゃ。あ、そうだ聞いて! 殿下ってばさ、もしかしたらロセ先輩のこと気になってるのかも」
「あ、それありえる。俺さ、殿下たちの援護しに行ったじゃん? あの時の殿下、すっげえカッコよくてさ」
「あ!! ってか、『八咫烏』ってなに!? あんた、何してんのよ」
「いや、あれはその……不本意というか」
久しぶりに、ロイはエレノアとたっぷり話をした。
トラビア王国のすぐ近くにある『討滅城』のことを忘れ、エレノアと過ごす時間。
ティラユール家で過ごした時間は、いいものではなかった。でも……エレノアと話すのは、ロイにとって何よりも大事な時間だった。
その時間が、戻って来た。
『ふん、青春を謳歌するのもいいが、ダンジョンのことも忘れるなよ』
「わかってるよ」
「そうそう。ね、ロイ……今回も、ロイは来るの?」
「ああ。でも、年齢制限あるんだろ? 『八咫烏』がダンジョン内で目撃されたら、十五歳から十七歳の子供だってバレるかもしれないし、今回はこっそりバレないように援護するよ。エレノア、もし俺の狙撃が気付かれそうだったら、誤魔化してくれ」
そう言い、ケーキをようやく完食。
甘いモノを食べる機会が少ないロイは、お菓子に関してだけ食べるのがかなり遅かった。
エレノアは、クッキー最後の一枚を食べ、紅茶で流し込む。
「いいわ。ふふ……ロイ、あんたの援護、期待してるから」
「任せとけ。お前も、無茶するなよ」
「ええ!」
互いに笑い合う。
聖剣士と狙撃手。前衛と後衛という関係。
隣り合い、背中を合わせる関係ではない。でも、ロイはエレノアと一緒に戦えるのが嬉しかった。
すると、喫茶店のドアが開き……ユノが入って来た。
「あ、ロイ」
「あれ? ユノ、あんたお菓子買いに行くって」
「いっぱい買った。お腹減ったから来たの」
ユノはお腹を押さえ、ロイをジッと見る。
「エレノア、ロイとデートしてる」
「で、デートって……そそ、そんなんじゃないわよ。一緒に喫茶店に入って、ケーキ食べて、おしゃべりしただけっていうか」
「それ、デート……ずるい」
ロイは何も言えない。こういう時は、女子同士に任せるのがいい。
「わたしもデートしたい」
「そ、それはダメよ。ロイはこれから忙しくなるし」
「やだ。いっしょにごはん食べて、お買い物したい」
「いやいや、それならあたしが付き合うわよ」
「む……エレノア、わたしとロイをデートさせたくない?」
「いや、その」
「ふふーん。でもでも、わたしはロイともっとすごいことしてる」
「ッ!!」
猛烈に嫌な予感がして顔を上げたが、すでに遅かった。
「わたし、ロイと一緒にお風呂入ったもん」
「……は?」
「ちょ、ユノ!? いや、それh「ちょっとロイ」……は、はい」
エレノアにジロっと睨まれたロイは縮こまってしまう。
「それ、ほんと?」
「あ、いやー……その、たまたまというか、偶然というか」
「経緯説明」
「は、はい」
ロイは、湯屋でのことを話した。なぜか胸を張って誇らしげなユノを隣に座らせて。
「で、見たの? ユノの」
「…………はい」
「わたしも見た」
「…………ふーん」
エレノアの機嫌が悪い。
ムスッとして、そっぽ向く……機嫌が悪い時のエレノアは、身体は正面を向いているが、首はそっぽ向いている。昔からの癖は健在だった。
「ロイのスケベ」
「……返す言葉もございません」
「ま、別にいいけど。あんた、あたしの胸を見て喜んでたし」
「ぅぐぅ」
何も言い返せないロイ。
こんな時の対処法をロイは脳内で検索。すぐに実行する。
「す、すみませーん!! ケーキのおかわりお願いします!!」
「あ、わたしも」
「あたし、二つ食べるから」
「四つお願いします!!」
こうしてロイは、お腹いっぱいなのに甘いケーキを食べることになった。
◇◇◇◇◇◇
エレノアから「ダンジョン、たぶんクラスの上位成績者から入るの選ばれるかも」と聞き、この日は別れた。一緒にユノが帰りたそうにしていたが、エレノアが引きずって行った。
残されたロイは、お腹を押さえつつ言う。
「うっぷ……甘いの好きだけど食いすぎた「あれー?」
と、いきなり背後から聞き覚えのある声。
振り返ると、そこにいたのはララベルだ。しかも、ロセを連れている。
「あ、ら、ララベル先輩」
「やっほ、ロイ」
「あらら。一年生ですか? ララベルのお知り合い?」
「ええ。女神の聖木の子」
「……???」
妙な紹介にロセは首を傾げる。
ロイの腰には木刀形態のデスゲイズがあり、ララベルは木刀を指さしながら「これこれ」と言う。
「知ってる? 女神の聖木って、お風呂に浮かべると美容効果のある成分がじんわり滲み出てくるの!」
「まぁ」
(……今更だけどデスゲイズ、マジ?)
『知るか』
ちょっと素っ気ない返事だった。
すると、ロセがポンと手を叩く。
「そうそう、自己紹介。はじめまして~、私は聖剣レジェンディア学園の生徒会長、ロスヴァイセです。ふふ、長いし言いにくいからロセでいいわ~」
「あ、ど、どうも……ロイです」
握手。
意外にも硬い手だが、肌はスベスベしていた。
身長もロイよりも、ララベルよりも小さい。だが……胸がデカい。
「なーに見てんのよ、このスケベ」
「え!? あ、いや」
「ふふ、ロイくん。女の子はね、そういう視線に敏感だから、気を付けようね?」
「…………はい」
そういえば、エレノアにも言われた。そんなことをロイは思い、反省するのだった。
「ま、可愛いし、男だし、胸デカいアンタが悪いんだし許してあげる。ね、せっかくだしお茶しない?
アタシたち、会議終わって糖分補給しに行くのよ」
「ララベル、また勝手に。というか『胸デカいアンタが悪い』の意味わからないんだけど~……?」
「いいでしょ別に。ね、いいでしょロイ。ちょっとアタシたちの愚痴に付き合ってよ。ね?」
「うわっ」
なんと、ララベルはロイの腕を掴んで歩きだした。
引っ張られ、すぐ近くにあったエレノアたちと入った喫茶店ではない店に入る。
入るなり、ララベルは座りもせず店員に「ケーキいっぱい、あと果実水ね!」と注文、そのまま窓際の席に座った。
ロセは店員に謝り、ちゃんと注文をして席へ。
「もう、あなたは……注文は席に座ってからが基本でしょ!」
「はいはい。いやー疲れたわ……ね、ロイ、愚痴聞いてくれる?」
「はい、俺でよければ」
「ララベル、さすがに機密情報は」
「あんなデカいダンジョン目の前にあるし、魔族が『年齢制限』してる以上、アタシらには手も出せないんだし、いいでしょ別に」
「……あの、ララベル先輩たちは入れないんですか?」
「そーなのよ。アタシもロセも、十八だしね。サリオスたちに頑張ってもらわないとね」
「あの、ダンジョンって……やっぱり、成績上位の生徒しか入れないんですか?」
ここで、ケーキが運ばれてきた。
ララベルが食べ始めたことで、ロセが代わりに応える。
「そうね。まだ発表されてないけど、明日にでも選抜始まるんじゃないかしら。成績上位者にダンジョンへ入るか入らないか聞いて……」
「でも、それだとダンジョンに入れない子たちがねぇ……文句出ちゃうと思うんだけどぉ」
「ダンジョンの財宝は全部提出って話だし、大丈夫じゃない? それに……そんな甘い考えでクリアできるほど、ダンジョンは甘くないわ。でも、死を覚悟しろって脅して、及び腰になるのもねぇ」
いろいろ難しいようだ。
念のため、ロイは質問してみた。
「あの、無断で入ることとかは」
「無理ね。入口は聖剣騎士団が守ってるし……ちょっと、やめなさいよ?」
「だ、大丈夫です」
「はー、いろいろ面倒だわ。『八咫烏』の件もあるし」
「ララベル」
「あっ……あー、ロイ、おかわりいる?」
「いや、大丈夫です。はい」
八咫烏。
ララベルが口を滑らせたのだろう、ロセが小突いた。
ロイは、聞かなかったことにする。
「とりあえず、明日にはいろいろ発表されると思うから、まぁ楽しみにしてなさい。ほらケーキ食べて」
「はい……うっぷ、さすがにもう」
ロイはこの日。お菓子やケーキの食べ過ぎでお腹を壊すのだった。
デートなどではない。授業が終わると、エレノアに呼ばれて案内されたのだ。
ロイは紅茶とケーキ。エレノアも同じものを食べている。ロイよりも早く完食したエレノアは、紅茶のおかわりを頼みつつ口を開いた。
ちなみに、ナイフは使えないがフォークは何とか使えるので、ケーキを食べるのに苦労はない。
刃物が使えないロイは、森で拾った木を鏃の先端で苦労して削り、木製の「ナイフもどき」を作って持っていた。切れ味は最悪だが、ないよりマシではあった。
「ダンジョン、どうする?」
「お前な、相変わらずいきなりだぞ……もっとわかりやすく言えよ」
「うっさいわね。で、どうすんの?」
「どうするもなにも、攻略するしかないだろ? 今回はお前たち七聖剣士がメインなのは間違いない。えーと……なんだっけ、聖剣騎士団の部隊長だっけ? その人たちはダンジョンに入れないんだろ?」
「ええ。何度か実験したみたいだけど、魔法的な障壁のせいか、ダンジョンに入れないの確定みたい」
「ふーん……なぁ、どうやって年齢確認してるんだ?」
「さぁ? 魔界貴族の魔法は何でもありなのかしらねー」
紅茶を飲みつつ、エレノアは店員を呼び「すみません、クッキーください」と、カラフルなフルーツクッキーを注文。けっこうな量がバスケットに入っていたが、エレノアは嬉しそうに食べ始めた。
「お前、そんなに食べて夕飯食えるのかよ?」
「当たり前でしょ。糖分なんて久しぶりだし、食べられるときに食べなきゃ。あ、そうだ聞いて! 殿下ってばさ、もしかしたらロセ先輩のこと気になってるのかも」
「あ、それありえる。俺さ、殿下たちの援護しに行ったじゃん? あの時の殿下、すっげえカッコよくてさ」
「あ!! ってか、『八咫烏』ってなに!? あんた、何してんのよ」
「いや、あれはその……不本意というか」
久しぶりに、ロイはエレノアとたっぷり話をした。
トラビア王国のすぐ近くにある『討滅城』のことを忘れ、エレノアと過ごす時間。
ティラユール家で過ごした時間は、いいものではなかった。でも……エレノアと話すのは、ロイにとって何よりも大事な時間だった。
その時間が、戻って来た。
『ふん、青春を謳歌するのもいいが、ダンジョンのことも忘れるなよ』
「わかってるよ」
「そうそう。ね、ロイ……今回も、ロイは来るの?」
「ああ。でも、年齢制限あるんだろ? 『八咫烏』がダンジョン内で目撃されたら、十五歳から十七歳の子供だってバレるかもしれないし、今回はこっそりバレないように援護するよ。エレノア、もし俺の狙撃が気付かれそうだったら、誤魔化してくれ」
そう言い、ケーキをようやく完食。
甘いモノを食べる機会が少ないロイは、お菓子に関してだけ食べるのがかなり遅かった。
エレノアは、クッキー最後の一枚を食べ、紅茶で流し込む。
「いいわ。ふふ……ロイ、あんたの援護、期待してるから」
「任せとけ。お前も、無茶するなよ」
「ええ!」
互いに笑い合う。
聖剣士と狙撃手。前衛と後衛という関係。
隣り合い、背中を合わせる関係ではない。でも、ロイはエレノアと一緒に戦えるのが嬉しかった。
すると、喫茶店のドアが開き……ユノが入って来た。
「あ、ロイ」
「あれ? ユノ、あんたお菓子買いに行くって」
「いっぱい買った。お腹減ったから来たの」
ユノはお腹を押さえ、ロイをジッと見る。
「エレノア、ロイとデートしてる」
「で、デートって……そそ、そんなんじゃないわよ。一緒に喫茶店に入って、ケーキ食べて、おしゃべりしただけっていうか」
「それ、デート……ずるい」
ロイは何も言えない。こういう時は、女子同士に任せるのがいい。
「わたしもデートしたい」
「そ、それはダメよ。ロイはこれから忙しくなるし」
「やだ。いっしょにごはん食べて、お買い物したい」
「いやいや、それならあたしが付き合うわよ」
「む……エレノア、わたしとロイをデートさせたくない?」
「いや、その」
「ふふーん。でもでも、わたしはロイともっとすごいことしてる」
「ッ!!」
猛烈に嫌な予感がして顔を上げたが、すでに遅かった。
「わたし、ロイと一緒にお風呂入ったもん」
「……は?」
「ちょ、ユノ!? いや、それh「ちょっとロイ」……は、はい」
エレノアにジロっと睨まれたロイは縮こまってしまう。
「それ、ほんと?」
「あ、いやー……その、たまたまというか、偶然というか」
「経緯説明」
「は、はい」
ロイは、湯屋でのことを話した。なぜか胸を張って誇らしげなユノを隣に座らせて。
「で、見たの? ユノの」
「…………はい」
「わたしも見た」
「…………ふーん」
エレノアの機嫌が悪い。
ムスッとして、そっぽ向く……機嫌が悪い時のエレノアは、身体は正面を向いているが、首はそっぽ向いている。昔からの癖は健在だった。
「ロイのスケベ」
「……返す言葉もございません」
「ま、別にいいけど。あんた、あたしの胸を見て喜んでたし」
「ぅぐぅ」
何も言い返せないロイ。
こんな時の対処法をロイは脳内で検索。すぐに実行する。
「す、すみませーん!! ケーキのおかわりお願いします!!」
「あ、わたしも」
「あたし、二つ食べるから」
「四つお願いします!!」
こうしてロイは、お腹いっぱいなのに甘いケーキを食べることになった。
◇◇◇◇◇◇
エレノアから「ダンジョン、たぶんクラスの上位成績者から入るの選ばれるかも」と聞き、この日は別れた。一緒にユノが帰りたそうにしていたが、エレノアが引きずって行った。
残されたロイは、お腹を押さえつつ言う。
「うっぷ……甘いの好きだけど食いすぎた「あれー?」
と、いきなり背後から聞き覚えのある声。
振り返ると、そこにいたのはララベルだ。しかも、ロセを連れている。
「あ、ら、ララベル先輩」
「やっほ、ロイ」
「あらら。一年生ですか? ララベルのお知り合い?」
「ええ。女神の聖木の子」
「……???」
妙な紹介にロセは首を傾げる。
ロイの腰には木刀形態のデスゲイズがあり、ララベルは木刀を指さしながら「これこれ」と言う。
「知ってる? 女神の聖木って、お風呂に浮かべると美容効果のある成分がじんわり滲み出てくるの!」
「まぁ」
(……今更だけどデスゲイズ、マジ?)
『知るか』
ちょっと素っ気ない返事だった。
すると、ロセがポンと手を叩く。
「そうそう、自己紹介。はじめまして~、私は聖剣レジェンディア学園の生徒会長、ロスヴァイセです。ふふ、長いし言いにくいからロセでいいわ~」
「あ、ど、どうも……ロイです」
握手。
意外にも硬い手だが、肌はスベスベしていた。
身長もロイよりも、ララベルよりも小さい。だが……胸がデカい。
「なーに見てんのよ、このスケベ」
「え!? あ、いや」
「ふふ、ロイくん。女の子はね、そういう視線に敏感だから、気を付けようね?」
「…………はい」
そういえば、エレノアにも言われた。そんなことをロイは思い、反省するのだった。
「ま、可愛いし、男だし、胸デカいアンタが悪いんだし許してあげる。ね、せっかくだしお茶しない?
アタシたち、会議終わって糖分補給しに行くのよ」
「ララベル、また勝手に。というか『胸デカいアンタが悪い』の意味わからないんだけど~……?」
「いいでしょ別に。ね、いいでしょロイ。ちょっとアタシたちの愚痴に付き合ってよ。ね?」
「うわっ」
なんと、ララベルはロイの腕を掴んで歩きだした。
引っ張られ、すぐ近くにあったエレノアたちと入った喫茶店ではない店に入る。
入るなり、ララベルは座りもせず店員に「ケーキいっぱい、あと果実水ね!」と注文、そのまま窓際の席に座った。
ロセは店員に謝り、ちゃんと注文をして席へ。
「もう、あなたは……注文は席に座ってからが基本でしょ!」
「はいはい。いやー疲れたわ……ね、ロイ、愚痴聞いてくれる?」
「はい、俺でよければ」
「ララベル、さすがに機密情報は」
「あんなデカいダンジョン目の前にあるし、魔族が『年齢制限』してる以上、アタシらには手も出せないんだし、いいでしょ別に」
「……あの、ララベル先輩たちは入れないんですか?」
「そーなのよ。アタシもロセも、十八だしね。サリオスたちに頑張ってもらわないとね」
「あの、ダンジョンって……やっぱり、成績上位の生徒しか入れないんですか?」
ここで、ケーキが運ばれてきた。
ララベルが食べ始めたことで、ロセが代わりに応える。
「そうね。まだ発表されてないけど、明日にでも選抜始まるんじゃないかしら。成績上位者にダンジョンへ入るか入らないか聞いて……」
「でも、それだとダンジョンに入れない子たちがねぇ……文句出ちゃうと思うんだけどぉ」
「ダンジョンの財宝は全部提出って話だし、大丈夫じゃない? それに……そんな甘い考えでクリアできるほど、ダンジョンは甘くないわ。でも、死を覚悟しろって脅して、及び腰になるのもねぇ」
いろいろ難しいようだ。
念のため、ロイは質問してみた。
「あの、無断で入ることとかは」
「無理ね。入口は聖剣騎士団が守ってるし……ちょっと、やめなさいよ?」
「だ、大丈夫です」
「はー、いろいろ面倒だわ。『八咫烏』の件もあるし」
「ララベル」
「あっ……あー、ロイ、おかわりいる?」
「いや、大丈夫です。はい」
八咫烏。
ララベルが口を滑らせたのだろう、ロセが小突いた。
ロイは、聞かなかったことにする。
「とりあえず、明日にはいろいろ発表されると思うから、まぁ楽しみにしてなさい。ほらケーキ食べて」
「はい……うっぷ、さすがにもう」
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