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第一章
婚約者
屋敷を出ると、門兵に押し出されるように突き飛ばされた。
屋敷の門がガシャンと閉まり、リュウキは完全に締め出される。
もう、屋敷には戻れない……幸い、父の情けの金貨がある。
「…………はぁ」
リュウキは、城下町へ向かって歩きだす。
まず、宿を取る。
それから、今後どうするかを考えよう。そう思っていると、一台の馬車が止まった。
「リュウキ?」
「……プリメラ」
亜麻色の長い髪。桃色のドレスを着た十五歳の少女、プリメラだ。
リュウキの婚約者でもあり、侯爵家令嬢でもある。
買い物にでも行くのか、ちょうど公爵家向かい側の屋敷から馬車が出た。向かい側はプリメラの屋敷。リュウキとプリメラは幼馴染でもあり、婚約者でもあった。
「なに、その荷物? 買い物でも行くの?」
「……追い出されたんだよ」
「え? お、追い出されたって……」
プリメラはすぐに察した……リュウキが魔力を持っていないことを知っていた。
リュウキは、寂しそうに笑う。
「プリメラ、ちゃんとお別れしたかったけど……ごめん。僕はもう公爵家の人間じゃない。婚約も解消だよ」
「…………」
「今までありがとう、さようなら」
「待って!!」
去ろうとするリュウキを、プリメラが呼び止める。
馬車のドアが開いた。
「乗って。町まで行きましょう」
「プリメラ。でも……」
「いいから!!」
「わ、わかったよ」
馬車に乗り込むと、走り出す。
プリメラは、さっそく聞いた。
「何があったの?」
「見ての通りさ。僕の消えた魔力、もう回復の見込みはないようでね、次期当主の座をキルトに譲って、僕は追放、除名だって」
「そんな……」
「わずかな餞別だけもらって、さよならだってさ」
金貨袋を見せ、リュウキはため息を吐いた。
プリメラは、リュウキに聞く。
「これからどうするの……? その、私は……力になれないかも」
「わかってる。僕を匿ったりしたらプリメラが危険だ。大丈夫、算術は得意だし手先も器用だからさ、城下町で仕事を見つけて暮らすよ……」
「リュウキ……」
「プリメラ、改めて……今までありがとう。後日、正式に婚約破棄になると思う。きみが婚約者で、僕は本当にうれしかったよ」
「…………」
城下町に到着した。
馬車のドアが開く。ここからは歩きで行く。
最後に、リュウキはもう一度プリメラにお礼を言おうとした……が。
「えっ」
「ごめんね、リュウキ」
ドン!!───と、リュウキはプリメラに突き飛ばされた。
「うわっ!?」
馬車から落ち、地面に叩きつけられる。
そして、見た。
今まで見たことがないくらい、プリメラの目が冷えていた。
「魔力がないのはまだ許せたけど……次期当主の座がなくなったなら、もう用はないわ」
「ぷ、プリメラ……?」
「ドラグレード公爵夫人になれるならって我慢してたけど、もういいわ。婚約破棄はこっちからお願いする。ああ……キルトの婚約者になればいいのかなぁ?」
「ぷ、プリメラ……どういう」
「まだわかんないの? 大賢者レベルの魔力を持ってるし、次期当主だっていうから婚約者になったのよ? それを両方失って、あんたに価値あると思う?」
「……え」
「あんたみたいなダサい男、こっちから願い下げ。ああ……これ、手切れ金代わりにもらっておくわ」
プリメラの手には、金貨袋があった。
リュウキが胸元を確認すると……ない。父からもらった金貨が、ない。
「じゃ、せいぜい死なないでね~」
「プリメラ、待った!! その金貨は───」
馬車は走り去ってしまった。
荷物のカバンを載せたまま行ったので、本当に何もなくなってしまった。
「…………」
全てを失った絶望で……僕はしばらく動けなかった。
屋敷の門がガシャンと閉まり、リュウキは完全に締め出される。
もう、屋敷には戻れない……幸い、父の情けの金貨がある。
「…………はぁ」
リュウキは、城下町へ向かって歩きだす。
まず、宿を取る。
それから、今後どうするかを考えよう。そう思っていると、一台の馬車が止まった。
「リュウキ?」
「……プリメラ」
亜麻色の長い髪。桃色のドレスを着た十五歳の少女、プリメラだ。
リュウキの婚約者でもあり、侯爵家令嬢でもある。
買い物にでも行くのか、ちょうど公爵家向かい側の屋敷から馬車が出た。向かい側はプリメラの屋敷。リュウキとプリメラは幼馴染でもあり、婚約者でもあった。
「なに、その荷物? 買い物でも行くの?」
「……追い出されたんだよ」
「え? お、追い出されたって……」
プリメラはすぐに察した……リュウキが魔力を持っていないことを知っていた。
リュウキは、寂しそうに笑う。
「プリメラ、ちゃんとお別れしたかったけど……ごめん。僕はもう公爵家の人間じゃない。婚約も解消だよ」
「…………」
「今までありがとう、さようなら」
「待って!!」
去ろうとするリュウキを、プリメラが呼び止める。
馬車のドアが開いた。
「乗って。町まで行きましょう」
「プリメラ。でも……」
「いいから!!」
「わ、わかったよ」
馬車に乗り込むと、走り出す。
プリメラは、さっそく聞いた。
「何があったの?」
「見ての通りさ。僕の消えた魔力、もう回復の見込みはないようでね、次期当主の座をキルトに譲って、僕は追放、除名だって」
「そんな……」
「わずかな餞別だけもらって、さよならだってさ」
金貨袋を見せ、リュウキはため息を吐いた。
プリメラは、リュウキに聞く。
「これからどうするの……? その、私は……力になれないかも」
「わかってる。僕を匿ったりしたらプリメラが危険だ。大丈夫、算術は得意だし手先も器用だからさ、城下町で仕事を見つけて暮らすよ……」
「リュウキ……」
「プリメラ、改めて……今までありがとう。後日、正式に婚約破棄になると思う。きみが婚約者で、僕は本当にうれしかったよ」
「…………」
城下町に到着した。
馬車のドアが開く。ここからは歩きで行く。
最後に、リュウキはもう一度プリメラにお礼を言おうとした……が。
「えっ」
「ごめんね、リュウキ」
ドン!!───と、リュウキはプリメラに突き飛ばされた。
「うわっ!?」
馬車から落ち、地面に叩きつけられる。
そして、見た。
今まで見たことがないくらい、プリメラの目が冷えていた。
「魔力がないのはまだ許せたけど……次期当主の座がなくなったなら、もう用はないわ」
「ぷ、プリメラ……?」
「ドラグレード公爵夫人になれるならって我慢してたけど、もういいわ。婚約破棄はこっちからお願いする。ああ……キルトの婚約者になればいいのかなぁ?」
「ぷ、プリメラ……どういう」
「まだわかんないの? 大賢者レベルの魔力を持ってるし、次期当主だっていうから婚約者になったのよ? それを両方失って、あんたに価値あると思う?」
「……え」
「あんたみたいなダサい男、こっちから願い下げ。ああ……これ、手切れ金代わりにもらっておくわ」
プリメラの手には、金貨袋があった。
リュウキが胸元を確認すると……ない。父からもらった金貨が、ない。
「じゃ、せいぜい死なないでね~」
「プリメラ、待った!! その金貨は───」
馬車は走り去ってしまった。
荷物のカバンを載せたまま行ったので、本当に何もなくなってしまった。
「…………」
全てを失った絶望で……僕はしばらく動けなかった。
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