追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

文字の大きさ
10 / 109
第一章

これから

しおりを挟む
 ジャコブは逮捕された。
 余罪が多くあったようで、一生鉱山での強制労働の刑らしい。
 冒険者ギルドに戻ると、ロイの両親が遺品を取りに来ていた。
 僕を見るなり、目に涙を浮かべて向かって来る。

「きみが、息子の最後を看取り、仇を討ってくれたリュウキくん、だね」
「……はい」
「本当に、ありがとう……息子も、浮かばれる」
「…………」

 僕は、何ていえばいいのかわからなかった。
 確かに、仇は討った。でも……ロイはもう、いない。
 ロイの母親が、僕に言う。

「息子は、どこに埋葬したの?」
「ゴブリンの住処だった、村の近くの森です……すみません、一人じゃどうしようもなくて、あそこに埋めるしかありませんでした」
「いや、いい。あとは私たちの役目だ。本当に、ありがとう」

 そして、父親が懐から大きな袋を取り、僕の手に乗せた。

「せめてもの気持ちだ。受け取ってくれ」
「いりません……僕は、何もできなかったんです。もらう資格なんて、ない」
「それを言うなら、私たちもだ。あの子が冒険者になると言ったのに、まともに聞きもしなかった……失って初めて後悔している。だから、これは償いなんだ。受け取ってほしい」
「…………」

 僕は、金貨が大量に詰まった袋を受け取った。
 お金が手に入ったのに、全く嬉しくなかった。

「ずいぶんとボロボロね。よかったら、うちの商会に来てくれない? 冒険者に必要な物、見繕ってあげるわ」
「…………」
「お願い。息子にしてあげられなかったこと、あなたにしてあげたいの」

 母親が僕の手を取り、優しく微笑む。

「……ぅ」

 僕は、涙が止まらなかった。
 悲しくて、胸に何かが混み上がり……止まらなかった。
 僕は、ロイの母親に優しく頭を撫でられ、しばらく泣き続けた。

 ◇◇◇◇◇

 ロイの実家こと総合商店にやってきた。
 ここは、普通の道具から魔道具、各種アイテムに装備品の販売。素材の買い取りなどを行っている。
 ロイの兄ことルイが、店の案内をしてくれる。

「冒険者なら、魔導バッグは必須だ。魔力によって拡張する袋でね、与えた魔力量に応じてレベルが上がる。さらに、魔力を与えた人にしか開けられないから鍵もいらない。それと着替えだね。装備品は? 武器は何を使う? 冒険者なら魔力回復薬にポーションは必須だ。この国じゃないところに行くなら旅の装備も必要だね」
「あ、あの」

 なかなか喋るのが早く、付いていくのに必死だ。
 店の従業員が僕の身体のサイズを測り、冒険者らしい装いの服を何着か用意してくれた。さらに生活用品や野営用の道具もだ。
 ルイさんは僕に聞く。

「ところで、武器は何を使う?」
「武器……一番得意だったのは剣です」
「剣ね。そうだな……このミスリル製の剣をあげよう」
「え!? み、ミスリルって高いんじゃ」
「……ロイに贈るつもりだった。きみが使ってくれるとありがたい」
「……わかりました」

 ミスリル製の剣を腰に下げる。
 ミスリル。魔力を送ることでキレ味など変わる剣だ。

「あとは……リュウキくん。このバッグに魔力を流してくれ」
「あ、はい。えーっと……」

 闘気でも大丈夫かな……念のため、少しだけ。

「ん?……お、おおお!? すごいぞ、一気に十段階まで拡張した!! いやはや、とんでもない魔力だな!!」
「は、はい」

 ルイさんがバッグを見て驚いている。
 そこに、旅の道具を大量に詰め込んでいた。
 準備が終わり、新しい服と装備に着替えた。
 お茶を出してくれたので飲んでいると……思い出した。

「あの、ルイさん。ここって買い取りとかもしてるんですよね」
「ああ。何か持っているのかい?」
「はい。これ、なんですけど」

 見せたのは、エンシェントドラゴンの牙。
 一番小さな牙を見せる。ルイさんは「どれどれ」と言って掴み、小さなルーペで覗き込む。

「───………え」
「あの、どうです?」
「……………………」

 そして、ガタガタ震え出した。
 震える手で牙をテーブルに置き、そのままダッシュでトイレに駆け込んでしまう。
 戻ってきたのは五分後だった。

「す、すまない。ちょっと現実を直視できず嘔吐してた」
「は、はぁ……」
「ふぅぅぅぅぅぅ……すまん、手が震える。あの、リュウキくん……これ、どこで?」
「龍の森、近くの平原です……」

 なんとなく、龍の森とは言えなかった。
 ルイさんは、震える声で言う。

「どど、ドラゴンの牙だね。うん。うん……これ、国宝レベルの大きさだよ? 普通、ドラゴンの爪の先っちょとかでも、白金貨五千枚とかで取引される。これ、完全な牙。やばい」

 最後はカタコトだった。
 エンシェントドラゴンは「売れば金になる」とか言ってたけど、相当にヤバい。

「すまない。これ、買い取れない……というか、買い取れる国は存在しない。ドラゴンの牙って、それほど貴重な品なんだ。ほんの一センチの大きさでも、削って飲めば万病の霊薬になるし、金属に混ぜれば絶対に折れない無敵の剣になるし、魔法屋に持って行けばレア魔法を生成してもらえるし」
「……レア魔法」

 またよくわからない言葉が出た。
 とりあえず、僕は提案する。

「じゃあ、牙を一センチだけ買ってくれませんか?」
「無理無理。この店まるごと渡しても釣り合わない」
「お願いします。俺、路銀が欲しいんです。言い値で一センチ売りますので」
「路銀って、やっぱり旅に?」
「はい。中央諸国へ行って、勉強と鍛錬をしたいんです」
「修行と鍛錬? ああ、中央最大の聖王国クロスガルドへ行くのかい? あそこの聖王国魔法学園なら、文武両道鍛えられるし、冒険者とって最高の学び舎だね」
「…………」

 最高の情報だった。それこそ、牙をまるごと上げてもいいような。

「……本当に、言い値でいいのかい?」
「はい」
「わかった。じゃあ……白金貨二百枚で買う。すまん、これ以上は出せない」
「そ、そんなにですか!? あ、ありがとうございます!!」
「い、いや……これ、出すところに出せば遊んで暮らせるけど」
「いえ、遊ぶつもりはいまのところないので」
「……ははは」

 冒険者カードに、白金貨一枚分のお金が入金された。
 残りはバッグに入れておく。大金を全部カードに入れておくと、無くした時に無一文になるからだ。

「ありがとうございます」
「いや、礼を言うのはこっちだよ……ほんとうに、ドラゴンの牙が手に入るなんて」

 こうして、旅支度は整った。
 向かうは、中央諸国にある『聖王国クロスガルド』だ。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活

アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
 名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。  妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。  貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。  しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。  小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい

桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

【完結】緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長

五城楼スケ(デコスケ)
ファンタジー
※本編を加筆修正しますので、一旦一部公開とさせていただいています。 〜花が良く育つので「緑の手」だと思っていたら「癒しの手」だったようです〜 王都の隅っこで両親から受け継いだ花屋「ブルーメ」を経営するアンネリーエ。 彼女のお店で売っている花は、色鮮やかで花持ちが良いと評判だ。 自分で花を育て、売っているアンネリーエの店に、ある日イケメンの騎士が現れる。 アンネリーエの作る花束を気に入ったイケメン騎士は、一週間に一度花束を買いに来るようになって──? どうやらアンネリーエが育てている花は、普通の花と違うらしい。 イケメン騎士が買っていく花束を切っ掛けに、アンネリーエの隠されていた力が明かされる、異世界お仕事ファンタジーです。 ※本編を加筆修正する予定ですので、一旦一部公開とさせていただいています。 *HOTランキング1位、エールに感想有難うございました!とても励みになっています! ※花の名前にルビで解説入れてみました。読みやすくなっていたら良いのですが。(;´Д`)  話の最後にも花の名前の解説を入れてますが、間違ってる可能性大です。  雰囲気を味わってもらえたら嬉しいです。 ※完結しました。全41話。  お読みいただいた皆様に感謝です!(人´∀`).☆.。.:*・゚

処理中です...