16 / 109
第二章
お勉強
「へぇ、基礎的な知識はあるのね」
「まぁ、ずっと勉強してたし」
「なら、過去問を解き続ければ筆記は大丈夫ね」
レイに勉強を教わりながら過去問を解く……よかった。公爵家で学んだところがけっこうある。
揺れる馬車の中で勉強するのは少し辛いけど。
「あとは、実技ね。リュウキ、魔力操作に自信は?」
「昔はあったけど、今は微妙……」
「あなたの魔力量、あたしとは比べ物にならないわ。しかも、なんというか……『濃い』のよね」
「濃い?」
「うん。魔力がサラサラな水だとしたら、あなたのは『ねばっこいヘドロ』みたいな、濃厚というか、ギトギトというか」
「あの、その例えやめてほしいんだけど」
「あはは。ごめんごめん」
ギトギトの魔力なんて言われて嬉しくはない。
というか、俺のは魔力じゃない……『闘気』だ。
せっかくなので、物知りなレイに聞いてみる。
「なぁレイ。『闘気』って知ってるか?」
「とうき?」
「ああ。ドラゴンの魔力だ」
「闘気……ドラゴンが持つ魔力のことね。人間とは比べ物にならない総量で、どんな魔法も楽々使用できるって。闘気で身体強化を使えば、それだけでA級冒険者になれるって聞いたこともある。まぁ、そもそもドラゴンなんて中央諸国にしかいないし、よくわからない。中央諸国なら、いろいろわかるかもね」
「……じゃあさ、エンシェントドラゴンって知ってるか?」
「始祖龍でしょ? おとぎ話にも出てくるじゃない。始まりのドラゴン、全てのドラゴンの父、ドラゴンの敵」
「……敵?」
「ドラゴンを滅ぼすドラゴンって聞いたことある。ま、作り話だろうけど」
「…………」
エンシェントドラゴン、お前は何をやったんだ。
レイに「そのエンシェントドラゴンが俺に闘気をくれた」なんて言って、信じ……信じないな。
その後も、夕方まで馬車の中で勉強した。
◇◇◇◇◇
馬車を街道脇に止め、野営の支度をした。
テントを組み、かまどの準備をするだけ。
料理などは、ルイさんが担当してくれた。
俺とレイは、軽く組み手をする。武器ナシの徒手空拳でだ。
驚いたことに、レイは格闘技もすごかった。
「いい? その馬鹿みたいな魔力を全開にした身体強化だと、一撃一撃なら最強に近いパワーを出せるけど、速度で翻弄するのには向かないわ。以前のコボルト退治の時、馬鹿みたいに剣を振ったり、力任せに地面を叩いてコボルトを吹き飛ばしたでしょ? あんな闘いじゃ、不意を突かれたら終わり。身体強化は漣のように、美しく丁寧に」
レイが身体強化を使う。
静かで淀みのない強化だ。身体全体を魔力で覆っている。
「あたしの魔力が『100』だと仮定して、これが『50』の身体強化。さ、あんたも」
「……ぬっ」
身体に蓋を造り、空けるイメージ……すると、闘気が俺の身体を覆い尽くす。
レイは、ルイから虫眼鏡のような物を借り、俺を見る。
「しんっじられない……なにこの魔力量」
「ど、どう、だ……めちゃくちゃ、押さえてる、ぞ!!」
「全然だめ。ってか、なにこの魔力。あんたの魔力が『100』だと仮定したら、『1以下』の身体強化よ? それであたしの『90』以上の強化をしてる」
「う、ぐ……っぷはぁ!!」
「うきゃっ!?」
我慢できず、闘気を解放した。
闘気が一気に噴き出し、レイの持つ虫眼鏡が砕け散った。
「あんた、魔力操作クッソ下手クッソ、クソすぎてマジでクソ」
「…………」
「ってか、そんなトイレ我慢してるような状態で動けると思ってる?」
「…………」
「あんたに繊細な魔力操作は無理ね。だったら、ギトギトの魔力で身体強化して問題なく動けるようになればいいってことね。じゃあ、あんたはこれから筋トレしなさい。魔力に負けない身体づくりをしなきゃ」
「わ、わかった。あとレイ、お前口悪すぎるぞ」
「あらそう? あ~お腹へった。兄さん、ご飯まだー?」
レイはルイさんの元へ。
俺は、レイに言われたことを反復する。
「繊細な魔力操作は、無理か」
昔、大賢者クラスの魔力を持っていたころは、魔力操作は得意だった。
だが……今この身体に流れている『闘気』は全く別物だ。蓋を開ければ大氾濫する洪水だ。その蓋を素手で押さえながら調整するのは難しい。
だったら……闘気という激流に耐え抜く身体を作るしかない。
「筋トレか……地味だけど、それが闘気を使いこなす道だな」
俺はさっそく腕立て伏せを始めることにした。
「まぁ、ずっと勉強してたし」
「なら、過去問を解き続ければ筆記は大丈夫ね」
レイに勉強を教わりながら過去問を解く……よかった。公爵家で学んだところがけっこうある。
揺れる馬車の中で勉強するのは少し辛いけど。
「あとは、実技ね。リュウキ、魔力操作に自信は?」
「昔はあったけど、今は微妙……」
「あなたの魔力量、あたしとは比べ物にならないわ。しかも、なんというか……『濃い』のよね」
「濃い?」
「うん。魔力がサラサラな水だとしたら、あなたのは『ねばっこいヘドロ』みたいな、濃厚というか、ギトギトというか」
「あの、その例えやめてほしいんだけど」
「あはは。ごめんごめん」
ギトギトの魔力なんて言われて嬉しくはない。
というか、俺のは魔力じゃない……『闘気』だ。
せっかくなので、物知りなレイに聞いてみる。
「なぁレイ。『闘気』って知ってるか?」
「とうき?」
「ああ。ドラゴンの魔力だ」
「闘気……ドラゴンが持つ魔力のことね。人間とは比べ物にならない総量で、どんな魔法も楽々使用できるって。闘気で身体強化を使えば、それだけでA級冒険者になれるって聞いたこともある。まぁ、そもそもドラゴンなんて中央諸国にしかいないし、よくわからない。中央諸国なら、いろいろわかるかもね」
「……じゃあさ、エンシェントドラゴンって知ってるか?」
「始祖龍でしょ? おとぎ話にも出てくるじゃない。始まりのドラゴン、全てのドラゴンの父、ドラゴンの敵」
「……敵?」
「ドラゴンを滅ぼすドラゴンって聞いたことある。ま、作り話だろうけど」
「…………」
エンシェントドラゴン、お前は何をやったんだ。
レイに「そのエンシェントドラゴンが俺に闘気をくれた」なんて言って、信じ……信じないな。
その後も、夕方まで馬車の中で勉強した。
◇◇◇◇◇
馬車を街道脇に止め、野営の支度をした。
テントを組み、かまどの準備をするだけ。
料理などは、ルイさんが担当してくれた。
俺とレイは、軽く組み手をする。武器ナシの徒手空拳でだ。
驚いたことに、レイは格闘技もすごかった。
「いい? その馬鹿みたいな魔力を全開にした身体強化だと、一撃一撃なら最強に近いパワーを出せるけど、速度で翻弄するのには向かないわ。以前のコボルト退治の時、馬鹿みたいに剣を振ったり、力任せに地面を叩いてコボルトを吹き飛ばしたでしょ? あんな闘いじゃ、不意を突かれたら終わり。身体強化は漣のように、美しく丁寧に」
レイが身体強化を使う。
静かで淀みのない強化だ。身体全体を魔力で覆っている。
「あたしの魔力が『100』だと仮定して、これが『50』の身体強化。さ、あんたも」
「……ぬっ」
身体に蓋を造り、空けるイメージ……すると、闘気が俺の身体を覆い尽くす。
レイは、ルイから虫眼鏡のような物を借り、俺を見る。
「しんっじられない……なにこの魔力量」
「ど、どう、だ……めちゃくちゃ、押さえてる、ぞ!!」
「全然だめ。ってか、なにこの魔力。あんたの魔力が『100』だと仮定したら、『1以下』の身体強化よ? それであたしの『90』以上の強化をしてる」
「う、ぐ……っぷはぁ!!」
「うきゃっ!?」
我慢できず、闘気を解放した。
闘気が一気に噴き出し、レイの持つ虫眼鏡が砕け散った。
「あんた、魔力操作クッソ下手クッソ、クソすぎてマジでクソ」
「…………」
「ってか、そんなトイレ我慢してるような状態で動けると思ってる?」
「…………」
「あんたに繊細な魔力操作は無理ね。だったら、ギトギトの魔力で身体強化して問題なく動けるようになればいいってことね。じゃあ、あんたはこれから筋トレしなさい。魔力に負けない身体づくりをしなきゃ」
「わ、わかった。あとレイ、お前口悪すぎるぞ」
「あらそう? あ~お腹へった。兄さん、ご飯まだー?」
レイはルイさんの元へ。
俺は、レイに言われたことを反復する。
「繊細な魔力操作は、無理か」
昔、大賢者クラスの魔力を持っていたころは、魔力操作は得意だった。
だが……今この身体に流れている『闘気』は全く別物だ。蓋を開ければ大氾濫する洪水だ。その蓋を素手で押さえながら調整するのは難しい。
だったら……闘気という激流に耐え抜く身体を作るしかない。
「筋トレか……地味だけど、それが闘気を使いこなす道だな」
俺はさっそく腕立て伏せを始めることにした。
あなたにおすすめの小説
土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~
にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。
「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。
主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~
リーフレット
ファンタジー
「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」
帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。
アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。
帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。
死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。
「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。