追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

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第二章

聖王国への道のり

「え、うそ……なんで?」

 早朝。レイの驚く声に反応する俺。
 現在、俺は早朝トレーニングで筋トレをしていた。
 上半身裸で、木の枝に足を引っかけての腹筋だ。完全に身体を伸ばしきってからの上体起こしは中々腹筋に効く。それに、なんだか調子がいい。
 レイは、俺を見上げながら言う。

「あんた、昨日はへとへとだったのに、もう大丈夫なの?」
「ふっ……!! ああ、なんだか調子がいいんだ。それに、筋肉の張りもないし、体力は万全。今日も進みながらトレーニングするぞ!!」
「……バケモノね」

 なんとなく、俺は気付いた。
 あっという間に筋肉の疲労が取れた。しかも、今も腹筋を重ねているのに疲労が少ない。闘気を燃料にしているのではなく、純粋に体力や筋力が上がっている。
 恐らく、これはエンシェントドラゴンの肉による効果。
 俺の身体が、強くなった。
 鍛えれば鍛えるほど強くなるのは誰もが同じ。だが、その成長速度が俺は普通の人の比ではない。

「そろそろ朝ごはんよ。あと、来る前にちゃんと汗流してから来なさいよね」
「ああ!! ふっ……!!」

 早朝腹筋は、二百回まで続いた。

 ◇◇◇◇◇◇

 午後は、聖王国へ向かいながら走り込み。
 そして、闘気のコントロール訓練。

「そう、魔力を押さえて……静かな湖のように、力を制御するの」
「…………」

 わかる。
 体内でギトギトした闘気が暴れている。
 身体に蓋を作るイメージで、少しずつ闘気を取り出す。そして、血管に闘気を流すように、全身に通わせる……不思議だ。前は全く制御できなかった。でも、今は少しだけ……少しだけ、いける。

「まだ荒い。まったく、魔力制御もできないようじゃ、実技試験を突破できないわよ」
「……わかって、る」

 駄目だ───……抑えきれない!!

「っぐ、あっ!!」

 闘気が爆発するように俺の全身を包み込む。
 俺は両足で思いきり踏ん張り、蓋を無理やり閉じた。

「覇ッ!!」
「きゃぁっ!?」
「うおっ!?」

 ビシャァン!! と、広範囲に渡って亀裂が入る。
 荷車を引く馬が怯えてしまい、この日は先に進めず俺はレイの説教を受けた。
 そして翌日。
 この日は訓練を休み、馬車の中でひたすら試験勉強をする。
 昨日、全く進めなかったので、今日はひたすら馬車で進むのだ。

「過去問、これで終わりか?」
「ええ。正解率七割くらい。まぁ、大丈夫でしょう……ってか、あんた算術満点じゃない」
「へへへ。計算は得意なんだ」
「く……なんかくやしい」

 レイは、算術が苦手らしい。
 歴史、平民の文化、周辺国の政治関連、有名な将軍、偉人などの暗記は俺と同じくらい。テーマを元に書く論文などはルイさんにコツを教えてもらった。
 この日は、とにかく過去問を解いた……こればかりは『闘気』があっても意味がない。

 ◇◇◇◇◇◇

 聖王国まで一か月の道のりは、勉強と鍛錬漬けだ。
 そして、二十五日目。
 俺は巨大な岩石を背負いながらダッシュする。今は馬車と並走している。

「リュウキくん、もう少しペースを落として!!」
「あ、はい」
「ったく……どんな身体してんのよ。二十日でここまで鍛えるなんて」

 始めた頃の五倍以上の石を背負ってもいける。
 腹筋も千回以上連続でできるし、身体つきも変わってきた。
 それだけじゃない。

「───……リュウキ!! 魔獣!!」
「わかった、任せろ!!」

 岩石を投げ捨て、走り出す。
 街道を塞ぐように立っていたのは、オークという豚の魔獣。
 手には棍棒を持ち、部下のゴブリンを引き連れている。

「レイ、一人じゃ危険だ、お前も!!」
「大丈夫よ。あいつ、少しづつだけど魔力を使いこなしてる。リュウキ、やっちゃいなさい!!」
「了解!!」

 この二十五日の鍛錬で、闘気の扱いは完ぺきではないが慣れてきた。
 そして、レイのアドバイス。
『上位の冒険者は、スキルを応用した技を編み出すの。あたしも「磁界」を使った技をいくつも編み出したわ。あんたも、その魔力を応用して何か技を考えたら?』
 
『ギャァァァァーッゥ!!』『ギャッギャ!!』
「邪魔!!」

 ゴブリン程度なら、鍛えぬいた拳で十分!!
 ゴブリンを殴り倒し、オークへ向かって跳躍。
 右拳に『闘気』を集め、全力で殴りかかった。

「『龍拳インパクト』!!」

 闘気によって強化された拳が、オークを彼方に吹き飛ばした。
 ふと気付く。俺の腕に、龍の鱗が生えていることに。
 
「やばっ」

 慌てて闘気を消す。
 闘気を解放しすぎると、腕に鱗が生えたり爪が伸びたりするんだよな……エンシェントドラゴンの肉を食べた影響かもしれない。
 レイの元へ戻り、ハイタッチする。

「おつかれ。形になってきたじゃない」
「ああ。剣もだけど、拳のが戦いやすいな」
「ってか、剣じゃあんたの力に耐えられないのよ」
「だよなぁ……でも、ずっと習ってたし、剣は捨てたくない」
「まぁ、あんたの力に耐える剣、探せばあるんじゃない? だって……ほら」
「あ」

 レイが指さした先を見ると……見えてきた。
 
「聖王国クロスガルド。ふふ、暴れてやろうじゃない」

 ついに見えた聖王国。
 エンシェントドラゴン、俺……頑張るから。見ててくれ!!
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