追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

文字の大きさ
19 / 109
第二章

聖王国クロスガルド

しおりを挟む
 聖王国クロスガルド。
 世界最大の王国。この辺り一帯にある小国を束ねる国。
 小国と言っても、王様が国を治めているのではない。クロスガルド王国貴族が独立し国を治めているらしく、クロスガルド貴族だけど一国の王様という、よくわからん事情らしい。
 小国の数は三十以上。そして、その国の中心にある大国家が。

「聖王国、クロスガルド……」
「でっかいわね。圧倒されるわ……」

 俺とレイが見ているのは、クロスガルドにそびえ立つ巨大な『塔』だ。
 ルイさんが説明してくれる。

「聖王国クロスガルド。国の総面積は、ぼくたちの故郷ハイゼン王国の十五倍。あそこに見える巨大な『塔』が、クロスガルドの象徴である『クロスガルド聖王城』だ」
「塔が、城?」
「うん。昔、偉大なる『真龍エンシェントドラゴン』を呼ぶための塔として建造されたんだ。エンシェントドラゴンがクロスガルド聖王一世と語り合った場所として、そのまま城にしたようだよ」
「え、エンシェントドラゴンが……?」

 エンシェントドラゴン、あいつは何をしてたんだ?
 そういえば、あいつのこと……あんまり知らないな。暇な時、図書館とかで調べたらわかるかも。

「そして、あっちに見えるのが『クロスガルド・エンシェント教会』だ。エンシェントドラゴンを祀る教会で、『真龍聖教』という教えを広めている。そして……あそこの枢機卿は、ドラゴンなんだってさ」
「「え?」」
「ドラゴン。エンシェントドラゴンの子供が枢機卿なんだ。人の姿をしたドラゴンらしい」
「へぇ~、ドラゴンなんだ。大丈夫なの?」
「うん。もう何千年も枢機卿らしいけど、人に危害を加えたことはないらしい」
「…………」
「ん、どうしたのリュウキ」
「い、いや」

 ドラゴンの枢機卿……なんだろう、嫌な予感がする。
 到着したのは、小さな宿。馬車を止め、ルイさんが受付をする。
 なんとか三部屋確保し、それぞれの荷物を置いてルイさんの部屋へ。

「さて、入学試験の受付はぼくがしてるから、二人は休んでてくれ」
「いいの? 兄さん」
「ああ。せっかくだ、二人で食事でもしてきたらいい。はは、デートだデート」
「に、兄さん!! もう……」

 ルイさんは行ってしまった。
 レイは俺を見て、ドアを指さす。

「じゃ、ご飯……行こっか」
「ああ。腹減ったしな」
「あのね……ったく」
「何食べる?」
「そうね……」

 談笑しながら宿の外へ。
 町を歩きながら飲食店を探してみる……いやはや、栄えてる栄えてる。
 飲食店が多いのはもちろん、武器防具屋、魔法屋、スキル屋、八百屋にパン屋、道具屋……ん? なんだろう、よくわからん店が多い。

「なぁ、魔法屋? スキル屋? ってなんだ?」
「その名の通り。魔法とスキルを売ってるのよ。でも、レベルは低いし、生活系のスキルや魔法しかないわ。地元住民が自衛のために買うようなものばかりね」
「……へぇ~」
「なに、興味あるの? あたしたちみたいなのが買うスキルはもっと高級店に行かないとないわよ。それこそ、レアスキルやエピックスキルなんてのはオークションじゃないと買えないし。そもそも、あたしたちは十六歳じゃないからスキルを宿せないし、宿す許可が出てもスキルは一個しか宿せないわよ」
「じょ、情報多い……」
「冒険者なら当たり前。そういえばあんたのこと何もしらないわね……家族は?」
「…………まぁ、そのうち話すよ」
「ふーん」

 レイはそれほど興味がないのか、すぐに飲食店へ目を向ける。

「お、みてみて。焼肉屋だって。入学試験前に気合いれましょ」
「肉いいな。よし、肉にしよう」
「賛成ッ!!」

 レイはパチンと指を鳴らす。
 さっそく焼肉屋へ向かいうと───……。

「いでっ」
「おっと」

 肩がぶつかってしまった。
 男性三人組の一人と肩がぶつかった。
 俺は素直に頭を下げる。

「申し訳ない。大丈夫か?」
「いっでぇなぁ!! このガキ……ほぉ、いい女連れてるな。よし、その女置いていけ。それで許してやる」
「何?」
「女置いてけってんだ。それで許してやるよ」
「……悪いけど、それは無理。ぶつかったのは悪かったけど、あんたも前方不注意だ。両成敗ってことで、これで終わりにしよう」
「あぁぁ!? ガキ、舐めんじゃねぇぞ!!」
「お、リュウキ。喧嘩売るなんてやるわね。どうする? 路地裏行く?」
「んー、来て早々に問題起こすのも。それに、入学試験前に面倒事は……」

 さて、どうしようか……そう思っていると。

「セバスチャン」
「かしこまりました。お嬢様」

 俺の横を誰かが通り抜けた。
 老人。一瞬で男三人の首筋に刺突を叩き込み、足払いをして転ばせた。
 速いな。俺は見えたけど、レンはどうだろう。

「え、え……いつの間に」
「レディ、お怪我はございませんか?」
「あ、ありがとう、ございます……」

 老人は笑顔で一礼した。
 俺は老人ではなく、後ろを振り返る。
 そこにいたのは、ドレスを着て日傘を差している少女だ。水色のドレス、水色のロングヘア、水色の日傘、水色の瞳……とにかく水色の少女だ。

「大丈夫ですか?」
「お心遣いありがとうございます」
「まぁ」
「ほう」

 しまった。貴族令息としての一礼で返してしまった……自分で言うのもなんだけど、礼は綺麗だとよく言われる。
 少女はクスっと笑い、日傘を畳む。

「お二方。よろしければ、ご一緒にどうですか?」
「「え……」」

 少女が誘ったのは、まさかの焼肉屋だった。
 少女は「あら、私としたことが」と呟き、ドレスの裾を持ち上げる。

「お初にお目にかかります。私はアピア。聖王国クロスガルド。マーキュリー侯爵家の者です」
「え。貴族のお嬢様? なんであたしたちに?」
「おい、言葉遣い」
「あ」
「ふふ。構いませんわ。その……お二方が『入学試験』や『冒険者』とお話しているのが聞こえまして。その……私も、試験を受けるのです」
「そうなんだ……」

 と、ここでレイのお腹が「ぎゅるる!」と鳴った。
 
「あ、あはは……その」
「ふふ、では親睦を深めるために、ご一緒にお食事しましょうか」

 ご一緒にお食事って……もろ普通の焼肉屋なんだけどなぁ。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

処理中です...