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第三章
闘気の拳
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平均、1000~3000の魔力量。
平均、3000~4000の攻撃力。
「ふぅ~ん……」
ミランダは、それぞれの名前、魔力量、攻撃方法や武器、ユニークスキルなどを確認する。
豊作。この一言しかない。魔力量、攻撃力共に高水準だ。現在、学園に通っている上級生でも、これほどの実力を持つ生徒は全体の六割くらいしかいない。
中でも突出しているのは六人。
「キルト。この子は別格ね……アピア、レイ、プリメラは同格ってところかしら。あと二人もいい線いってる。キルトは膨大な魔力とスキルがいい相性みたい。ユニークスキルじゃないみたいだけど……まだ十五歳よねぇ? まぁいいわぁ。それと、アピアちゃんは才能の塊みたいな子ね。レイちゃんは才能と努力の子。プリメラはスキルに依存した強さ。まぁ、強いのに変わりないし……」
他の生徒も、なかなか悪くない。
今年の受験生は総勢千名。全員合格でも構わないとミランダは思っている。
経験を積めば、いい冒険者になれるだろう。
「クラスの振り分け、面倒くさいわぁ」
アマンダは、受験生の技を見ながら小さく呟く。
そして……最後の一人。
「……んん?」
リュウキが舞台に上がり、魔力量を測定する。
『魔力量・85』
今までの受験生たちが優秀過ぎたのか。
魔道具の故障、ミランダは本気でそう思った。
◇◇◇◇◇◇
「ぷ……ぎゃぁぁっはっはっは!! ま、魔力量……は、85ぉ? おいおい、雑魚が何しに来たんだっての!!」
キルトが叫ぶと、周りの受験生も笑いだす。
笑いは伝染し、受験生の大半が俺を嘲笑った。
そうか。これ……『魔力』を計る魔道具だ。『闘気』は計れない。きっと、俺の中にある搾りカスのような魔力に反応したんだ。
すると、レイが叫ぶ。
「あり得ない!! 魔道具の故障よ!! もう一回計りなさいよ!!」
「は、はい」
審査員がもう一度測っても、魔力量は85のままだ。
「おいおいおい、これ失格じゃねぇの!!」
「そうだそうだ!!」「キルトさんの言う通りよ!!」
ブーブーと、「帰れ!! 帰れ!!」とのコールが巻き起こる。
レイが何かを叫ぶが声が掻き消されて聞こえない。
アピアも心配そうに俺を見ていた。
俺は全てを無視し、ミランダさんに聞く。
「あの、攻撃力を計っていいですか?」
「いいけどぉ……大丈夫?」
「はい……あの、本気でいいんですか?」
「ええ。そうじゃないと、試験にならないから」
「……わかりました」
ド肝抜いてやる。
俺はゆっくり聖岩に近づき、そっと手を当てる。
ひんやりツルツルした綺麗な岩だ。
俺は拳を構え、静かに集中する。
「スゥ───……」
「ぎゃぁぁっはっはっは!! 何しても無駄だ無駄!!」
全身に闘気を纏う。
温かな闘気が全身を包み込む……その闘気を、右手に集中。
全ての闘気が右腕に集まった。服の下で、腕に鱗が生えている感覚がする……これ以上はまずい。
「……えっ」
ミランダさんは何かに気付いた。
圧力と言えばいいのか。目には見えない『力』が、集まっていく。
エンシェントドラゴンの力を、目の前にある聖岩に……叩き付ける!!
「『真龍拳』!!」
『龍拳』よりも強い、今の俺に出せる最強の拳。
力を溜めるのに時間がかかる弱点があるけどな。
すると───……聖岩に、亀裂が入った。
「うそ」
ミランダさんが言うと、聖岩が砕け散った。
「っつ……っはぁ、いてぇ」
拳から血が出ていた。
だけど、やった。壊してやったぞ。
『攻撃力・測定不能』
こうして、俺の入学試験は終わった。
◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇◇
聖王国クロスガルドにある豪華絢爛な教会。
ここは、真龍を祀り崇める『クロスガルド・エンシェント教』の総本山。『真龍聖教』という宗教を普及する、歴史ある教会である。
この『真龍聖教』の枢機卿、リンドブルムはベッドから飛び起きた。
「今のは───……」
間違いなく感じた『闘気』
懐かしい闘気だった。もう、感じることはできない闘気。
「───……パパ?」
リンドブルムは裸だった。
十四歳ほどの少女にしか見えないが、エンシェントドラゴンによって生み出された伝説の『八龍』の一体にして、人の世界で暮らし、エンシェントドラゴンがいかに素晴らしいかをヒトに教えている。
裸のまま窓を開け、クンクンと匂いを嗅いだ。
「……うそ、パパ? パパ? パパの匂いっ!?」
リンドブルムはポロポロと泣きだした。
こうしてはいられない───……すると、ドアがノックされ、侍女が入ってきた。
「リンドブルム枢機卿、今日の予定は「ごめん今日はお休み!!」……え?」
「わたし、行かなきゃ!!」
リンドブルムはローブを掴み、教会の最上階にある私室から飛び出した。
平均、3000~4000の攻撃力。
「ふぅ~ん……」
ミランダは、それぞれの名前、魔力量、攻撃方法や武器、ユニークスキルなどを確認する。
豊作。この一言しかない。魔力量、攻撃力共に高水準だ。現在、学園に通っている上級生でも、これほどの実力を持つ生徒は全体の六割くらいしかいない。
中でも突出しているのは六人。
「キルト。この子は別格ね……アピア、レイ、プリメラは同格ってところかしら。あと二人もいい線いってる。キルトは膨大な魔力とスキルがいい相性みたい。ユニークスキルじゃないみたいだけど……まだ十五歳よねぇ? まぁいいわぁ。それと、アピアちゃんは才能の塊みたいな子ね。レイちゃんは才能と努力の子。プリメラはスキルに依存した強さ。まぁ、強いのに変わりないし……」
他の生徒も、なかなか悪くない。
今年の受験生は総勢千名。全員合格でも構わないとミランダは思っている。
経験を積めば、いい冒険者になれるだろう。
「クラスの振り分け、面倒くさいわぁ」
アマンダは、受験生の技を見ながら小さく呟く。
そして……最後の一人。
「……んん?」
リュウキが舞台に上がり、魔力量を測定する。
『魔力量・85』
今までの受験生たちが優秀過ぎたのか。
魔道具の故障、ミランダは本気でそう思った。
◇◇◇◇◇◇
「ぷ……ぎゃぁぁっはっはっは!! ま、魔力量……は、85ぉ? おいおい、雑魚が何しに来たんだっての!!」
キルトが叫ぶと、周りの受験生も笑いだす。
笑いは伝染し、受験生の大半が俺を嘲笑った。
そうか。これ……『魔力』を計る魔道具だ。『闘気』は計れない。きっと、俺の中にある搾りカスのような魔力に反応したんだ。
すると、レイが叫ぶ。
「あり得ない!! 魔道具の故障よ!! もう一回計りなさいよ!!」
「は、はい」
審査員がもう一度測っても、魔力量は85のままだ。
「おいおいおい、これ失格じゃねぇの!!」
「そうだそうだ!!」「キルトさんの言う通りよ!!」
ブーブーと、「帰れ!! 帰れ!!」とのコールが巻き起こる。
レイが何かを叫ぶが声が掻き消されて聞こえない。
アピアも心配そうに俺を見ていた。
俺は全てを無視し、ミランダさんに聞く。
「あの、攻撃力を計っていいですか?」
「いいけどぉ……大丈夫?」
「はい……あの、本気でいいんですか?」
「ええ。そうじゃないと、試験にならないから」
「……わかりました」
ド肝抜いてやる。
俺はゆっくり聖岩に近づき、そっと手を当てる。
ひんやりツルツルした綺麗な岩だ。
俺は拳を構え、静かに集中する。
「スゥ───……」
「ぎゃぁぁっはっはっは!! 何しても無駄だ無駄!!」
全身に闘気を纏う。
温かな闘気が全身を包み込む……その闘気を、右手に集中。
全ての闘気が右腕に集まった。服の下で、腕に鱗が生えている感覚がする……これ以上はまずい。
「……えっ」
ミランダさんは何かに気付いた。
圧力と言えばいいのか。目には見えない『力』が、集まっていく。
エンシェントドラゴンの力を、目の前にある聖岩に……叩き付ける!!
「『真龍拳』!!」
『龍拳』よりも強い、今の俺に出せる最強の拳。
力を溜めるのに時間がかかる弱点があるけどな。
すると───……聖岩に、亀裂が入った。
「うそ」
ミランダさんが言うと、聖岩が砕け散った。
「っつ……っはぁ、いてぇ」
拳から血が出ていた。
だけど、やった。壊してやったぞ。
『攻撃力・測定不能』
こうして、俺の入学試験は終わった。
◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇◇
◇◇◇◇◇◇
聖王国クロスガルドにある豪華絢爛な教会。
ここは、真龍を祀り崇める『クロスガルド・エンシェント教』の総本山。『真龍聖教』という宗教を普及する、歴史ある教会である。
この『真龍聖教』の枢機卿、リンドブルムはベッドから飛び起きた。
「今のは───……」
間違いなく感じた『闘気』
懐かしい闘気だった。もう、感じることはできない闘気。
「───……パパ?」
リンドブルムは裸だった。
十四歳ほどの少女にしか見えないが、エンシェントドラゴンによって生み出された伝説の『八龍』の一体にして、人の世界で暮らし、エンシェントドラゴンがいかに素晴らしいかをヒトに教えている。
裸のまま窓を開け、クンクンと匂いを嗅いだ。
「……うそ、パパ? パパ? パパの匂いっ!?」
リンドブルムはポロポロと泣きだした。
こうしてはいられない───……すると、ドアがノックされ、侍女が入ってきた。
「リンドブルム枢機卿、今日の予定は「ごめん今日はお休み!!」……え?」
「わたし、行かなきゃ!!」
リンドブルムはローブを掴み、教会の最上階にある私室から飛び出した。
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