追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

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第三章

結果発表

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 入学試験の結果は、その日にわかるようだ。
 筆記試験の会場に集められ、そこで合否の発表がある。さらに、クラス分けもそこでするようだ。
 レイ、俺、アピアの順に並んで座ると、二人が言う。

「あんた、マジでなんなの? 魔力量85とか、聖岩をブチ壊すパンチとか……」
「すごい一撃だした! 本当にすごい……」
「あー……魔力量は魔道具の故障だろ。で、聖岩が砕けたのは俺が最後だったから……うん」
「「へぇ~」」
「…………」

 レイは疑わし気に、アピアは尊敬のまなざしだ。
 二人だけじゃない。周囲の視線も強く感じる。
 疑わしげな視線、恐怖の視線、軽視する視線……どうも、聖岩を拳で破壊したことが「インチキ」と思われているようだ。別にいいけど。
 すると、試験会場内に、タンクトップに迷彩ズボン、ロングブーツを履いた、獅子のような男性が入ってきた。驚いたことに左腕が肩からない。

「あー!! これより合格者を発表する。ダメだった奴はまた来年来い!! がっはっは!!」

 え、誰この人?……という視線が集中する。
 獅子のような男性は、壇上にある魔道具の制御盤を操作した。
 すると、俺たちのテーブルに文字が浮かび上がる。

「ん?……合格」
「合格だって」
「合格ですわ!」

 テーブルに『合格』と文字が浮かび上がった。
 他の席でも同じようだ。喜ぶ者、落ちるて泣く者とわかりやすい。
 獅子男はゲラゲラ笑いながら言う。

「合格者は以上!! 落ちたヤツはまた来年!! じゃあ次はクラス分けだ!! そのままテーブルを良ーく見ておけ!!」

 再び魔道具を操作する……と、『D』という文字が浮かんだ。

「あたし、『A』だって」
「私も『A』です! 同じですね、レイ!」
「え、ええ。リュウキ、あんたは?」
「俺はD」
「そこに書かれた文字がクラスの番号だ!! わかったら、制服と教科書を受け取り、もろもろの必要事項を記入する用紙にサインして解散!!」

 それだけ言い、獅子男はゲラゲラ笑いながら去った……名前くらい教えて欲しかった。
 さっそく移動する。と……キルト、プリメラ、そしてもうできたのか……取り巻き連中がいた。

「いい気になるなよ。聖岩が砕けたのは偶然に過ぎない。フン、これからの学園生活が楽しみだな?」
「では……ごきげんよう、リュウキ」

 キルトとプリメラは取り巻きと共に去った。
 全く、面倒な連中だ。

「なにあれ? リュウキに宣戦布告?」
「不思議な方たちですねぇ」
「ま、ほっとけ。それより、制服と教科書取りに行こうぜ」
「お嬢様、お疲れ様です」
「うわびっくりした!?」
「ありがとう、セバスチャン」

 アピアの執事セバスチャンが試験会場の外で待っていた。
 さっそくアピアの背後を守るようについてくる。
 そして、制服を受け取り入学金を支払い、諸々を終わらせて学園の外へ。

「入学式は三日後だって。それまで、町で買い物したり観光しよっと」
「俺は鍛錬「駄目。少しは休みなさい」……お、おう」
「あの~……私も、ご一緒していいですか?」
「もち! ねぇねぇアピア、聖王国の美味しいご飯屋さんとか、面白そうなお店教えてよ!」
「はい! セバスチャン、店のリストを」
「ここに」

 セバスチャンさんが大きな羊皮紙をバサッと開く。どうやら聖王国の地図に、いろんな店をチェックしてあるようだ……準備いいな。
 レイとアピアはさっそく地図を見てキャッキャしてる。

「甘いの食べたいな~」
「でしたら、ここのカフェなど如何です? 平民のお店なんですけど、私はよく利用します」
「ほうほう。おススメは?」
「さつまいもです!」
「さ、サツマイモ?」
「はい! 私、サツマイモが大好きで……」

 セバスチャンさんをチラッと見ると、首を小さく振る……ああ、長くなるって意味ね。
 とりあえず、歩きながら話すことにした。

「なぁ、ちょっといいか?」
「なによ」
「セバスチャンさんの地図に、武器屋とかないかな。俺、いつまでも素手で殴るわけにもいかないし……剣、欲しい」
「武器屋、鍛冶屋、防具屋、装飾品屋のリストはこちらに」

 セバスチャンさんは、別の地図を見せてくれた。
 準備がいいなんてモンじゃないだろ。
 地図を見ると……あるわあるわ。

「すごい数の武器屋だな……」
「あんたの馬鹿力でも折れない剣ってあるの?」
「いや、作ってもらう」

 俺は、ドラゴンの牙を見せた。

「これを混ぜて剣を打つと、折れない剣になるんだろ?」
「ちょ、バカ!! そんなの町の往来で見せるな!!」
「うわっ!?」

 レイの手が牙を隠す。驚いたアピアは信じられないような声で言った。

「い、今のはドラゴンの牙……ですよね? すごい、初めて見ました」
「あはは……まぁ、内緒で」
「は、はい」
「それで、どこかいい鍛冶屋か武器屋「見つけたぁぁぁっ!!」……ん?」

 前方から現れたのは、ローブを羽織った女の子だった。
 長いエメラルドグリーンのキラキラした髪、同じ色の瞳、俺たちより少し年下だろうか、幼い感じがする。
 そんな子が、俺を指さしていた。

「……パパの牙」
「え?」
「パパの匂い」
「あ、あの……どなたです?」
「お前……パパに、何をした」
「え、あの」

 女の子は、俺をギロリと睨み───牙を剥き出しにした。
 そして、俺は感じた。

「なっ……これは」

 闘気。
 魔力じゃない、濃密な闘気が女の子を包み込む。

「ガァァァァァァーーーーーーッ!!」
「ッ!? 二人とも、下がれ!!」

 俺は全身に闘気を纏い、飛び掛かってきた女の子の両腕を掴む。
 こいつ、やばい……なんて力だ!!
 掴む腕が、ギシギシと軋む。
 女の子の目に殺意が灯る。そして、皮膚に鱗が生え、爪が伸び始めた。

「噓だろ、まさか……ど、ドラゴン!?」
「お前、パパをォォォォォォッ!!」
「待て!! パパ? エンシェントドラゴンのことか!?」

 やばいな、目立ち始めた。
 俺は女の子の身体にしがみつき、闘気を全開にして抑え込む。

「落ち着け!! 俺はエンシェントドラゴンのことを知ってる。あいつの死を看取ったんだ!!」
「───……え」
「頼む。話を聞いてくれ。ちゃんと話すから」
「パパ……」
「大丈夫。な?」
「…………」

 女の子の動きが止まった。
 なんとか一安心……と言いたいのだが。

「……リュウキ、どういうこと?」
「あの……もしかしてその方、真龍聖教の枢機卿では……?」

 どうやら、こっちにも話すことがありそうだ……。
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