追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

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第三章

校内散策

 午前の内容が終わり、お昼になった。
 学園案内、簡単な自己紹介で午前中は終わった。俺としては無難な自己紹介ができたと思う。
 サリオもレノ。二人の自己紹介も普通だった。名前、出身地だけ言って終わり。
 レノはくだらなそうに言う。

「自己紹介なんてくだらねぇぜ。ただ同じ教室で授業受けるだけの仲じゃねぇか」
「まぁ、そうだけどね。でも、名前くらい知っててもいいんじゃない?」
「それがなんだ? 別に、一緒にメシ食ったりするわけでもねぇだろが」

 レノはそう言い、サリオの意見を却下した。
 三人で学生食堂へ。
 全校生徒が使うだけあって広い。すると、レイとアピアが来た。

「おーい、リュウキ……って、お友達?」
「んだテメェ……Aクラスか?」
「あ? なにあんた、喧嘩売ってんの? その口の利き方、ムカつくんだけど」

 会うなり、レノとレイが険悪だ。
 というか、今のはレノが悪い。

「おいレノ。誰彼構わず喧嘩するような態度、やめろよ」
「チッ……おいリュウキ、お前Aクラスの女とツルんでんのか?」
「ツルむも何も、友達だ」
「……ケッ」

 レノはいきなり不機嫌になり、離れてしまった。 
 サリオが申し訳なさそうに言う。

「ご、ごめん。レノのやつ、A組が贔屓されてるって思いこんでて」
「贔屓って……」
「昔から言われてるんだ。A~B組は優秀な生徒、C組は一般的、D組は落ちこぼれ。そんなことはないと思うんだけど……やっぱり、そういう捉え方をする生徒はいるみたい」
「……くだらない」
「ぼくもそう思う。ごめん、レノのところに行くよ」

 サリオは行ってしまった。
 残されたのは、俺とレイとアピア。
 アピアは、サリオの後姿を見送り言う。

「とりあえず、ご飯にしましょうか?」

 ◇◇◇◇◇◇

 食事を終え、午後になった。
 レノ、サリオと合流し、学園内にあるスキル屋へ向かう。
 スキル屋、というか学園内の店関係は、全て地下にあるようだ。学生専用のショッピングモールとでもいえばいいのか、大勢の生徒がいた。
 新入生だけじゃない。上級生もいるようだ。

「へぇ、すごいねぇ」
「……だな」

 レノが不機嫌だ。
 さすがに、この態度は俺も少しイライラする。

「おいレノ。あまりイライラするなよ……」
「ふん。Aクラスの連中は贔屓されてるんだよ。頭にきて当然だろうが」
「お前な、入学したてで贔屓とか何言ってんだ? Aクラスの何をお前は見たんだ?」
「うっせぇ」
「……レイとアピアは俺の友人だ。レイは試験勉強も手伝ってくれた、アピアは焼肉をご馳走してくれた。お前がAクラスに偏見を持つのはいい。でも……俺の友人を貶めるなら、もうお前とは一緒に行けない」
「…………チッ」

 レノは一人で行ってしまった。
 サリオはため息を吐く。

「ごめん。レノもわかっているんだよ。でも……現に、レノのお兄さんは、Aクラスの生徒に差別や嫌がらせ行為をされて、学園を退学した。日々憔悴するお兄さんを間近で見てたし、AクラスがDクラスの生徒をいじめ、馬鹿にしていたって聞いてたから……だから、Aクラスに対する想いが強いんだよ」
「……そうなのか」
「でも、実際にAクラスは───」

 と、ここでざわめきが聞こえた。
 サリオと前を見ると……なんと、キルトがレノに絡んでいた。

「おい劣等生、お前みたいな貧乏人がスキル屋で何買うんだ? Dクラスのくせに、才能もないくせに」
「何だと!? この野郎……!!」
「お前みたいなカスがスキル屋に入るんじゃねぇよ。あっちのカフェでお子様ランチでも食ってな」

 キルトが言うと、取り巻きの男女がバカにしたように笑う。
 レノの額に青筋が浮かび、魔力が集まる。
 すると、キルトの取り巻きの一人が一瞬でレノの背後へ回り、レノの身体に絡みつくように拘束した。

「キシシ、キルト様ぁ。こいつ、怪しい動きしてましたぜ」
「おいおい劣等生、知らないのか? ショッピングモールでスキルや魔法、身体強化の類は使用禁止だ。入学早々、ルール破るなんて最低だぜ? まぁ、教師に報告するだけで済ませてやるよ。ははは、運が悪けりゃ退学だろうなぁ?」
「なっ……そんなのあり得ねぇだろうが!!」
「いやいや、劣等生Dクラスと、優等生のAクラス主席のオレ、教師はどっちを信じる?」
「なっ……」
「はははは!! ま、お前みたい「ギャァァァァッ!?」

 俺は、レノに絡みついていた男子の頭を鷲掴みし、ギリギリ締め上げた。
 メキメキと頭蓋骨が軋む音が響く。
 男子が泡を吹いたところで解放してやる。

「な……テメェ」
「キルト、いい加減にしろよ」
「あぁ? ハッ……残念だったな? どんなペテンを使ったのか知らねぇが、お前がこの学園でいくら目立っても、いくら結果を出しても、もう公爵家の後継はオレに決まった。お前に帰る家なんかねぇんだよ」
「…………お前、馬鹿か?」
「……あぁ?」

 キルトの額に青筋が浮かぶ。
 
「俺が公爵家に戻りたいと、本気で思ってるのか? 俺を追い出した家に、イザベラのいる家に。あの家に恨みこそあれ、戻りたいなんて欠片も思っちゃいない」
「はっ、負け惜しみか?」
「そもそも……俺が、お前に負けると思うか?」
「魔力のねぇカスが何言ってやがる?」

 俺はキルトを馬鹿にしたように笑い……近くのカフェのテーブルに置いてあったフォークを一本掴む。

「俺の魔力は全て、お前にやるよ」
「…………」
「今はもう、未練はない。それと、覚悟しておけよ? お前も、イザベラも……俺の『敵』だ」

 フォークを折り曲げ、掌で包み込み……ギュッと握る。
 手を開くと、指先よりも小さく握りつぶされたフォークが、床に転がった。
 キルトはギョッとする。

「ふん。面白れぇ……まぁ、その機会はすぐ来るかもなぁ?」

 そう言って、キルトは取り巻きを連れて去った。
 俺はため息を吐き、レノの肩を叩く。

「レノ、スキル屋行こうぜ」
「…………リュウキ」
「サリオが言ってた。お前、スキルに詳しいんだろ? いろいろ教えてくれよ」
「…………」

 サンキュな。
 レオはポツリと呟き、俺の背中を叩いて歩き出した。
 合流したサリオは、俺に言う。

「まだまだわだかまりはあるけど……リュウキのことは、信用してると思うよ」
「……そうだな」

 さて、遅れたけどスキル屋に行こうか。
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