追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

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第四章

魔獣との戦い

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「お願いします」
「……はい、確認しました。一学年チーム『リュウキ』の皆さんですね」
「は?」

 学園ダンジョンの入口に到着。
 サリオが入場許可証を受付に見せると、俺の名前を呼ばれた。
 すると、サリオが言う。

「ごめんごめん。入るのにチーム名が必要だって言われて」
「それで俺の名前かよ。レノでいいじゃん」
「チームレノじゃ言いにくいでしょ?」
「まぁ確かに」
「おいお前ら、勝手に人の名前を馬鹿にすんな」

 受付さんは苦笑し、咳払い。
 俺たちは慌てて受付さんの話を聞く。

「ダンジョン内での出来事は完全な自己責任です。怪我をしても、命を失っても、学園側に一切責任がありません。ですが、ダンジョン内で発見したアイテムは全てあなたたちのものです。では、いってらっしゃい」

 ダンジョンの入口……巨大な石門が、ゴゴゴと音を立てて開いた。
 レイが先頭に立ち、ニヤッと笑う。

「じゃあ、行くわよ」

 初めてのダンジョン……少しだけ、緊張してきた。

 ◇◇◇◇◇◇

 石門を抜けると、広い部屋に出た。
 部屋の先には大きな扉がある。

「じゃ、最終確認ね。絶対に無理はしない、一人で突っ走らない、仲間との連携を崩さない。そして……絶対に、お互いを裏切らないこと」
「「「「了解」」」」

 全員が頷く。
 
「戦闘時は常に『身体強化』を使うこと。魔力切れになりそうだったら、魔力回復薬エーテルを飲むこと。一本で魔力数値を1000くらい回復できるけど、飲みすぎると酔っちゃうから一日一本だけにしておくこと」
「「「「了解」」」」
「じゃあ───行くわよ」

 レイが先に進むドアを開ける……その先に広がっていたのは、横に広い煉瓦造りの通路だった。
 T字路になっているのか、先に進むと分かれ道になっている。

「いよいよだ。おいリュウキ、やられんなよ」
「そっちこそ」

 レノと前に立ち、真ん中にはアピア、後ろにレイとサリオがいる。
 すると、アピアが。

「ふふ、頼もしい背中です」
「そ、そうかな」
「はい。リュウキさんも、レノさんも、かっこいいです」
「「…………」」

 天然、恐ろしいな。
 俺はレノと顔を見合わせる。レノの顔は赤くなっていた。
 そして、T字路へ到着。

「右、左、どっちだ?」
「どっちでもいいわよ」
「どっちもって……」

 レイを見ると、本当にどうでもよさそうだ。

「まだ一階層よ? ここで悩んでも仕方ないし疲れちゃう。いい? ダンジョンの分かれ道は迷わないのがコツ。あからさまな罠だったり、ヒントがあるような場所だったら別だけど。ここは何もない分かれ道だし」
「なるほどな。じゃあ……右でいいか」
「いいぜ。じゃあ右な」

 右の通路を進む……確かに、何もない。
 通路奥にドアがあったので開けると、また広い空間だ。
 中に入り、ドアを閉めた瞬間。

「───……来るわよ」
「え?」

 ドアを閉めた瞬間、ドアが消えた。
 さらに、部屋の中に数体の魔獣が現れた。

「ここは特殊空間。魔獣を全滅させないと出られないトラップ部屋のようね」
「来る……リュウキ、やれるな!!」
「ああ!!」
「援護はお任せを!!」
「か、回復も!!」

 敵はゴブリンが五体。
 俺はミスリルソードを抜く。

「あ? 剣か?」
「武器はいろいろ使えるけど、剣は好きなんだ」

 勘違いさせて悪いが、拳で戦ってたのは武器が耐えきれないからだ。
 ミスリルソード、壊したくなかったしな。
 でも……今は違う。
 四人が『身体強化』を使った。
 そして、俺も。

「『闘気解放エンシェント』」

 リンドブルムとの特訓で、身体強化並みの強化を可能にした。
 それだけじゃない。数日の訓練で、ちょっとはできるようになったんだ。

「へへ、行くぜ!!」

 レノが走り出し、拳を握る。
 ゴブリンの武器は棍棒。レノは振り下ろされる棍棒を紙一重で躱し、ゴブリンのボディに強烈な一撃をおみまいする。

『ギュェッ!?』
「ッしゃぁ!!」
『ブガァッ!?』

 ゴブリンの頭が落ちた瞬間、強烈なアッパーカットで顎を砕いた。
 倒れたゴブリンが消滅する。
 そして、レノの背後に迫っていたゴブリンの頭に、弾丸が叩き込まれた。

「サンキュな!!」
「いえ、お任せを」
「次ぃ!!」

 レノは三体目のゴブリンへ向かう……強い。
 戦い慣れている。荒々しい動きだ。指導を受けていると言っていたが、もともとは喧嘩で慣らした腕なのだろう。だが、レノのスタイルによく合っている。
 アピアの銃の腕前も見事なものだ。
 右にはリボルバータイプという8発装填の銃。左にはオートマチックタイプという倍の16発式の銃が二丁。背中に背負っているのはスナイパータイプという、遠くを狙うための銃らしい。他にも、魔導カバンに予備がいっぱいあるとか。
 おっと、人のこと見てる場合じゃないな。
 俺だって、少しは強くなったんだ。

『ギャァァァァゥ!!』

 振り下ろされる棍棒……よーく見える。
 『闘気解放』と『身体強化』の違いが出た。
 身体強化では、腕力の向上や足腰の強化により、パワーとスピードが上がる。
 でも、闘気解放は全てが向上する。五感全てが向上するのだ。
 闘気解放の状態で塩を舐めたら、あまりのしょっぱさに死にそうになった。砂糖を舐めたら甘すぎて吐いた……肌も敏感になるし、耳もよくなる。
 今の俺の動体視力なら、ゴブリンの棍棒なんて止まって見える。

「剣技、『四閃刀』!!」

 剣技の先生に習った技。縦に二回、横に二回斬る技だ。
 ゴブリンは溶けたバターのように両断され消滅。
 そして、もう一体。
 修行の成果、見せるぞ。

「『闘気精製ドラゴンスフィア』───……っく」

 黄金の闘気が右手に集まる。
 闘気が形となり、小さく不格好、でこぼこだらけの『細く尖った何か』になる。
 ナイフを想像したんだけど……今の俺じゃこれが精いっぱい。
 そのでこぼこの細い何かを掴み、ゴブリンに向けて投擲した。

『ギャッ!?』

 ゴブリンの頭を貫通し、ゴブリンは消滅した。
 レノの方を見ると、ちょうど二体目を倒した瞬間だった。

「へ、楽勝」
「レノ、血が出てる」
「あ? ああ、棍棒、カスっちまったか」
「動かないで。スキル『キュア』」
「お……」

 サリオが杖を向けると、レノの擦り傷が綺麗に消えた。

「おお、すげぇな」
「レベル1だし、小さい擦り傷しか治せないけどね」
「サンキュな。おいリュウキ、お前は?」
「こっちも終わった。楽勝楽勝」

 拳を向けると、レノも拳を向ける。
 アピアに怪我がないか確認する。

「アピア、怪我は?」
「私は大丈夫です。リュウキさん、ありがとうございます」

 にっこり微笑む。
 大丈夫そうでよかった。
 すると、ずっと見守っていたレイが言う。

「……まぁまぁね。でもレノ、ゴブリンの棍棒如き躱しなさいよ」
「む」
「リュウキも……というか、さっきの剣技なに?」
「剣技の先生が教えてくれた技だけど」
「……どこかで見た剣だけど。まぁいいわ。アピア、サリオは特に問題ないわね。ゴブリンなんて序盤も序盤。さ、気合入れて進むわよ」
「「「「了解」」」」

 俺たちは、次の階層に向かって歩き出した。
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