追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

文字の大きさ
33 / 109
第四章

魔獣との戦い

「お願いします」
「……はい、確認しました。一学年チーム『リュウキ』の皆さんですね」
「は?」

 学園ダンジョンの入口に到着。
 サリオが入場許可証を受付に見せると、俺の名前を呼ばれた。
 すると、サリオが言う。

「ごめんごめん。入るのにチーム名が必要だって言われて」
「それで俺の名前かよ。レノでいいじゃん」
「チームレノじゃ言いにくいでしょ?」
「まぁ確かに」
「おいお前ら、勝手に人の名前を馬鹿にすんな」

 受付さんは苦笑し、咳払い。
 俺たちは慌てて受付さんの話を聞く。

「ダンジョン内での出来事は完全な自己責任です。怪我をしても、命を失っても、学園側に一切責任がありません。ですが、ダンジョン内で発見したアイテムは全てあなたたちのものです。では、いってらっしゃい」

 ダンジョンの入口……巨大な石門が、ゴゴゴと音を立てて開いた。
 レイが先頭に立ち、ニヤッと笑う。

「じゃあ、行くわよ」

 初めてのダンジョン……少しだけ、緊張してきた。

 ◇◇◇◇◇◇

 石門を抜けると、広い部屋に出た。
 部屋の先には大きな扉がある。

「じゃ、最終確認ね。絶対に無理はしない、一人で突っ走らない、仲間との連携を崩さない。そして……絶対に、お互いを裏切らないこと」
「「「「了解」」」」

 全員が頷く。
 
「戦闘時は常に『身体強化』を使うこと。魔力切れになりそうだったら、魔力回復薬エーテルを飲むこと。一本で魔力数値を1000くらい回復できるけど、飲みすぎると酔っちゃうから一日一本だけにしておくこと」
「「「「了解」」」」
「じゃあ───行くわよ」

 レイが先に進むドアを開ける……その先に広がっていたのは、横に広い煉瓦造りの通路だった。
 T字路になっているのか、先に進むと分かれ道になっている。

「いよいよだ。おいリュウキ、やられんなよ」
「そっちこそ」

 レノと前に立ち、真ん中にはアピア、後ろにレイとサリオがいる。
 すると、アピアが。

「ふふ、頼もしい背中です」
「そ、そうかな」
「はい。リュウキさんも、レノさんも、かっこいいです」
「「…………」」

 天然、恐ろしいな。
 俺はレノと顔を見合わせる。レノの顔は赤くなっていた。
 そして、T字路へ到着。

「右、左、どっちだ?」
「どっちでもいいわよ」
「どっちもって……」

 レイを見ると、本当にどうでもよさそうだ。

「まだ一階層よ? ここで悩んでも仕方ないし疲れちゃう。いい? ダンジョンの分かれ道は迷わないのがコツ。あからさまな罠だったり、ヒントがあるような場所だったら別だけど。ここは何もない分かれ道だし」
「なるほどな。じゃあ……右でいいか」
「いいぜ。じゃあ右な」

 右の通路を進む……確かに、何もない。
 通路奥にドアがあったので開けると、また広い空間だ。
 中に入り、ドアを閉めた瞬間。

「───……来るわよ」
「え?」

 ドアを閉めた瞬間、ドアが消えた。
 さらに、部屋の中に数体の魔獣が現れた。

「ここは特殊空間。魔獣を全滅させないと出られないトラップ部屋のようね」
「来る……リュウキ、やれるな!!」
「ああ!!」
「援護はお任せを!!」
「か、回復も!!」

 敵はゴブリンが五体。
 俺はミスリルソードを抜く。

「あ? 剣か?」
「武器はいろいろ使えるけど、剣は好きなんだ」

 勘違いさせて悪いが、拳で戦ってたのは武器が耐えきれないからだ。
 ミスリルソード、壊したくなかったしな。
 でも……今は違う。
 四人が『身体強化』を使った。
 そして、俺も。

「『闘気解放エンシェント』」

 リンドブルムとの特訓で、身体強化並みの強化を可能にした。
 それだけじゃない。数日の訓練で、ちょっとはできるようになったんだ。

「へへ、行くぜ!!」

 レノが走り出し、拳を握る。
 ゴブリンの武器は棍棒。レノは振り下ろされる棍棒を紙一重で躱し、ゴブリンのボディに強烈な一撃をおみまいする。

『ギュェッ!?』
「ッしゃぁ!!」
『ブガァッ!?』

 ゴブリンの頭が落ちた瞬間、強烈なアッパーカットで顎を砕いた。
 倒れたゴブリンが消滅する。
 そして、レノの背後に迫っていたゴブリンの頭に、弾丸が叩き込まれた。

「サンキュな!!」
「いえ、お任せを」
「次ぃ!!」

 レノは三体目のゴブリンへ向かう……強い。
 戦い慣れている。荒々しい動きだ。指導を受けていると言っていたが、もともとは喧嘩で慣らした腕なのだろう。だが、レノのスタイルによく合っている。
 アピアの銃の腕前も見事なものだ。
 右にはリボルバータイプという8発装填の銃。左にはオートマチックタイプという倍の16発式の銃が二丁。背中に背負っているのはスナイパータイプという、遠くを狙うための銃らしい。他にも、魔導カバンに予備がいっぱいあるとか。
 おっと、人のこと見てる場合じゃないな。
 俺だって、少しは強くなったんだ。

『ギャァァァァゥ!!』

 振り下ろされる棍棒……よーく見える。
 『闘気解放』と『身体強化』の違いが出た。
 身体強化では、腕力の向上や足腰の強化により、パワーとスピードが上がる。
 でも、闘気解放は全てが向上する。五感全てが向上するのだ。
 闘気解放の状態で塩を舐めたら、あまりのしょっぱさに死にそうになった。砂糖を舐めたら甘すぎて吐いた……肌も敏感になるし、耳もよくなる。
 今の俺の動体視力なら、ゴブリンの棍棒なんて止まって見える。

「剣技、『四閃刀』!!」

 剣技の先生に習った技。縦に二回、横に二回斬る技だ。
 ゴブリンは溶けたバターのように両断され消滅。
 そして、もう一体。
 修行の成果、見せるぞ。

「『闘気精製ドラゴンスフィア』───……っく」

 黄金の闘気が右手に集まる。
 闘気が形となり、小さく不格好、でこぼこだらけの『細く尖った何か』になる。
 ナイフを想像したんだけど……今の俺じゃこれが精いっぱい。
 そのでこぼこの細い何かを掴み、ゴブリンに向けて投擲した。

『ギャッ!?』

 ゴブリンの頭を貫通し、ゴブリンは消滅した。
 レノの方を見ると、ちょうど二体目を倒した瞬間だった。

「へ、楽勝」
「レノ、血が出てる」
「あ? ああ、棍棒、カスっちまったか」
「動かないで。スキル『キュア』」
「お……」

 サリオが杖を向けると、レノの擦り傷が綺麗に消えた。

「おお、すげぇな」
「レベル1だし、小さい擦り傷しか治せないけどね」
「サンキュな。おいリュウキ、お前は?」
「こっちも終わった。楽勝楽勝」

 拳を向けると、レノも拳を向ける。
 アピアに怪我がないか確認する。

「アピア、怪我は?」
「私は大丈夫です。リュウキさん、ありがとうございます」

 にっこり微笑む。
 大丈夫そうでよかった。
 すると、ずっと見守っていたレイが言う。

「……まぁまぁね。でもレノ、ゴブリンの棍棒如き躱しなさいよ」
「む」
「リュウキも……というか、さっきの剣技なに?」
「剣技の先生が教えてくれた技だけど」
「……どこかで見た剣だけど。まぁいいわ。アピア、サリオは特に問題ないわね。ゴブリンなんて序盤も序盤。さ、気合入れて進むわよ」
「「「「了解」」」」

 俺たちは、次の階層に向かって歩き出した。
感想 33

あなたにおすすめの小説

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~

リーフレット
ファンタジー
​「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」 ​帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。 アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。 ​帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。 死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。 ​「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強

こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」  騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。  この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。  ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。  これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。  だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。  僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。 「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」 「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」  そうして追放された僕であったが――  自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。  その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。    一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。 「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」  これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。