追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

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第四章

脱出

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 オーガを倒した。
 全員、ぽかーんとしている。

「すげ……」
「な、なんか……めちゃくちゃ強くなってない?」

 レノ、サリオが驚いている。

「A級冒険者くらいの実力はあるわね」
「……すごい」

 レイ、アピアも驚いていた。
 俺も、俺の力を驚く。闘気の流れが変わっていた。荒れ狂う濁流が、静かで清らかな流れに。おかげで調整もしやすいし、呼吸と同じく自然に『闘気開放』できる。
 これなら、もっともっと戦える。強くなれる。
 
「よし、みんな行こう!!」

 俺は拳を強く握り、次の階層へ続く階段へ進んだ。
 階段を進むと、ひときわ大きなドアが見えた。
 なんというか、今までと雰囲気が違う。

「……とんでもなくヤバいのいるんじゃね?」
「そ、そういうの言わないでよ、レノ」
「わ、悪い」

 レノが言い、サリオが杖でレノの背中を軽く叩く。
 
「…………っ」
「大丈夫。リュウキに頼りっぱなしだけど……あたしもいるから」
「レイ……ありがとうございます」

 不安そうなアピアを励ますレイ。アピアはほんの少し笑顔になった。
 俺は扉に手をかけ、ゆっくり開ける。
 扉の先に待っていたのは───……何もない部屋。
 いや、何もないわけじゃない。
 部屋の中央に、宝箱があった。

「「「「「……宝箱?」」」」」

 全員の声が揃った。
 まず、俺がゆっくり部屋に踏み込む。ドアを閉め、全身に闘気を漲らせ構えを取る。
 だが───……何も起こらない。
 試しに、床を思い切り踏んでみた……わずかに亀裂が入るが、何も起こらない。
 構えを解き、全員に言う。

「何もない。ここ、この宝箱の部屋みたいだ」
「……もしかして」

 レイが部屋の中央にある宝箱へ近づく。
 俺も、サリオたちも近づき、宝箱を囲んでみた。

「これ、ダンジョンの秘宝かも」
「マジで!? おいおい、やったじゃねぇか!! 開けてみようぜ!!」
「待った」

 宝箱に手を伸ばすレノの手を、槍の腹でピシッと叩くレイ。
 
「あいでっ!? な、何すんだよ」
「見て。この部屋には次の扉のドアがない。たぶん、この部屋で終わりなのは間違いない。これがダンジョンの秘宝である可能性は高いわ」
「だったら取ろうぜ」
「忘れたの? ダンジョンの秘宝は、ダンジョンの命そのもの。これを取れば、この学園ダンジョンは崩壊しちゃう」
「あ」
「あんたもわかるでしょ?」
「ああ。ダンジョンの秘宝を回収する場合は、ギルドの許可が必要……だろ?」
「ええ。つまり、これを発見したことを学園に報告しなくちゃいけないの」
「あ、あの……レイ、ダンジョンの秘宝を回収すると、ダンジョンは消滅してしまうんじゃ」
「そうなのよ。そこが問題……学園ダンジョン、なくなっちゃうのよね」

 アピアを見ながら「うーん」と唸るレイ。
 サリオも考え込み、宝箱を見つめながら言う。

「でも、回収しないとぼくたちダンジョンから出れないよね……」
「だったら開けるしかねぇだろ。ほい」
「あ!?」

 なんと、レノが宝箱を開けた。
 レイが止める間もなかった。
 中に入っていたのは……ん、なんだこれ?
 俺が中に入っていた物を掴み、持ち上げる。

「古い羊皮紙……? どれどれ」
「え、ちょっと待った。リュウキ、待った!!」
「なになに、スキル、『スキルイーター』……? うおっ!?」

 読んだ瞬間、羊皮紙が燃え上がった。
 同時に、俺の中に生暖かい『何か』が流れ込んでくる。

「び、びっくりした……なんだ、今の?」
「ば、バカ!! あんた、今の……」
「え?」
「オレでもわかったぞ。今の……スキルだ」
「え」
「す、スキルが秘宝だったんだね。でも、リュウキくん……」
「え、え」
「どんなスキルだったのでしょうか?」
「……えっと」

 すると、レイが荷物を漁り、大きな虫メガネを取り出す。
 それで俺を見ると、盛大にため息を吐いた。

「ばっっっちりインストールされてるわ。リュウキ、あんたにスキルがね」
「え」
「おい、見せろ……なになに、『スキルイーター・レベル0』って、なんじゃこりゃ? レベル0」

 レノがレイから虫メガネを借りて俺を見る。サリオ、アピアも順に見た。
 俺は見れない。だが、スキルを入力してしまったようだ。

「スキル、イーター? どんなスキルだ?」
「……この『スキル名鑑定レンズ』は、スキルの名前しか鑑定できないの。スキルの効果を調べるには、スキル屋に行かないとね」
「あの……秘宝、だよな? これ大丈夫か?」
「知らないわ……ん?」

 すると、宝箱の台座周辺が輝きだす。
 床に魔方陣が描かれ、俺たちの身体がふわりと浮かんだような気がした。

「なな、なんじゃこりゃ!?」
「これ、転移魔方じ───」

 不思議な浮遊感に包まれた瞬間、俺たちの視界が黒くなった。

 ◇◇◇◇◇◇

「「「「「…………」」」」」

 どこかに着地した……ような、気がした。
 俺は目を開けると、そこは。

「……え、ここ、セーフエリアか?」

 見覚えのあるセーフエリアだ。
 道具屋やカフェのあるセーフエリア……そして、階段が二つ。
 ここ、危険階層に繋がるセーフエリアだ。
 管理者さんが数名の冒険者と話していて、俺たちを見て仰天、駆け寄ってきた。

「おーい!! お前ら、無事だったか!!」

 管理者さんは俺に言う。

「よかった。危険階層への鎖が反対の階段に移動させられてたから、お前たちが危険階層に行ったと思ってよ……今、なんとか冒険者をかき集めようと思ってたんだ」
「そ、そうですか」
「で、大丈夫なのか!? 怪我は!?」
「だ、大丈夫です。あの……管理者さんは、どこに?」
「……すまん。全てオレの責任だ」

 管理者さんは、襲われたそうだ。
 そして、何者かが危険階層を塞いでいた鎖を外し、通常階層への道と入れ替えたらしい。
 
「お前ら、狙らわれる心当たり、あるか?」
「……………」

 俺の脳裏に浮かんだのは───ニヤケ顔の義弟だった。
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