追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

文字の大きさ
63 / 109
第六章

まさかの出来事

しおりを挟む
 鉱山奥へ進んでいると、レイが立ち止まる。
 いきなり立ち止まったので、すぐ後ろを歩いていたサリオがレイの背中にぶつかった。

「あいたっ」
「…………」
「れ、レイさん。いきなり立ち止まらないで……って、どうしたの?」
「……これ」

 レイはしゃがみ込み、何かを拾う。
 小さな紙の筒だ。みんなが顔を近づけると、レノが言う。

「煙草じゃねぇか。それがどうかしたか?」
「あのね。見てわかんない?」
「???」

 レノは首を傾げる。
 俺、アピアもよくわからない。だが、サリオがハッとした。

「え、どうして……煙草、だよね」
「ええ。おかしいわ」
「待て待て。おいサリオ、わかるように説明しろよ」
「……あり得ないんだ」

 サリオは煙草をレイから受け取る。

「鉱山内で煙草は吸えないんだよ。粉塵に着火すれば爆発の危険があるからね。こんな坑道のど真ん中に、紙巻き煙草の吸殻が落ちているなんておかしい」
「……これ吸ったの、作業員じゃないわね。見て、紙が真新しい。アピア、この鉱山が閉鎖されたのって、いつ?」
「……もう三ヶ月以上前です」
「鉱山が閉鎖されてるなら、粉塵も起きない。堂々と煙草を吸えるわ……間違いなく、ここに誰かいる。誰かが来ている」
「「「「…………」」」」
「確認するけど、あたしたち以外の冒険者が入った可能性は?」
「な、ないと思います……ムーン公爵様は、私たちに頼むと言いましたから」
「……決まりね。オリハルコン狙いの泥棒がいる。ロックワームを恐れず、堂々と鉱山を歩くことのできる実力者。たぶん、複数名」
「おいおいおい。犯罪かよ……オレらの手に余るんじゃねぇか?」
「……」

 レイは考えこみ、俺を見た。

「盗賊の数にもよるけど……奥で確認だけはした方がいいわ。四人以上なら手を出さず撤退。それ以下なら……あたしたちで仕留めるわ」
「仕留めるって、殺すのかよ」
「……身の安全を確保する場合。それと明確に命を狙われている場合、命を奪っても罰せられないわ」
「……マジかよ」
「できないなら援護だけして。あたしがやるから」
「ば、馬鹿言うな!! できるっての!!」
「……アピアは、無理しないでね」
「大丈夫です」
「リュウキ、あんたは?」
「問題ない。俺もやれる……それに、命を奪う心得は習った」

 それこそ、嫌と言うほどな。
 俺に戦い方を教えてくれた師匠たちは「命を奪うなら、奪われることを覚悟しろ」って言っていた。俺は、奪う覚悟も、奪われる覚悟もある。
 俺たちは全員で鉱山奥へ。そして、やはり落ちていた……紙巻き煙草の吸殻。
 それだけじゃない。鉱山の最奥は広い採掘場になっていた。

「───……撤退、か?」

 採掘場手前の入口で、青ざめたレノがポツリと呟く。
 採掘場再広場には、十五名ほどの人間がいた。
 レイは口を押さえ首を振る。喋るなということだ。

「…………?」

 俺は気付いた。
 広場奥に、檻がある。
 そこに、何人か女性が閉じ込められていた。全員、服を着ておらずがっくり項垂れている。
 察した───ここにいる連中、全員が男だ。そういうことか。
 すると、リーダー格らしき男が言う。

「チッ……おい、救援はまだか?」
「へい。そろそろだと思うんですが……」
「ついてねぇぜ。冒険者ギルドの連中、覚えていやがれ……オレら『ギガントマキア』を舐めた報い、テュポーン様とエキドナ様にお願いして、目にモノ見せてやるぜ」

 ギガントマキア……?
 すると、レイとアピアがギョッとしたのが見え、俺に向かって何度も首を振る。
 アピアも何かを知っているようだ。
 とりあえず、今は撤退───。

「───むぐ!?」
「動くな」
「「「「っ!!」」」」

 油断した。
 俺たちの背後から男が現れ、アピアの首を掴んでナイフを突きつけた。

「動くなよ? スキルも使うな。お前らがスキル使うのと、このナイフが嬢ちゃんの首かっ切るの、どっちが速いかわかるよな?」
「……くっ」
「おい!! ガキどもを捕まえたぞ!!」

 すると、広場にいた盗賊たちが全員こちらを見た。
 レノが左右を見て歯を食いしばっている。すると。

「カッ……」
「れ、レノ、っが」
「レノ、サリオ!!」

 レノとサリオが倒れた。いつの間にか背後にいた男が、人差し指で二人の首を突いた瞬間、二人はいきなり気絶し倒れた。
 なんだ、こいつ……強いぞ。

「殺したのか?」
「いや、眠らせた。無鉄砲なガキは面倒だからな。そっちのお前と、そこの女はなかなかやるようだ……まぁ、もう動けんがな。仲間を見殺しにはできまい」

 盗賊が、レノとサリオの身体を引きずり、鎖で縛り牢の近くへ転がした。
 レイは武器を投げ捨て両手を上げる。俺も、持っていた武器を全て捨てた。

「いやぁ!!」
「へへへ、動くんじゃねぇよ。おい、そっちの女も脱がしちまえ。男は……いいや」
「アピア「リュウキ、動かないで」

 アピアの服が脱がされていく。アピアは泣いていた。
 そして、レイも羞恥に耐えながら脱がされた。俺は顔を反らし、こみ上げる怒りと闘気を必死に押さえた……ダメだ。皆殺しにはできるけど、アピアたちが。
 俺は背中を蹴られ、広場へ。
 裸にされ、両手を拘束されたレイとアピアは、牢に入れられた。
 俺は鎖で両手を拘束され、レノたちの傍へ。
 そして、ガタイのいいスキンヘッドの男が、俺をジッと見ていた。

「さて、質問しよう。お前たちはなんだ?」
「……冒険者だ。鉱山を所有する公爵家の依頼で、この鉱山に住み着いている魔獣を退治しに来た」
「魔獣退治? ふふ、お前たちのような子供が? 笑わせる」
「……あんたたちは、何なんだ? 冒険者か?」
「冒険者? く、ははははは!! 我々は『ギガントマキア』……偉大なるテュポーン様と、エキドナ様に力を与えられた選ばれし者である。それと、魔獣?……ククク、魔獣とはこいつのことか?」
「……え」

 今、気付いた。
 広場の天井には、無数の穴が空いていた。しかも、穴の一つ一つがかなり大きい。
 リーダー格の男が口笛を鳴らす。すると……穴から、巨大な緑色の大蛇が現れた。
 でかい、でかすぎる。しかも、普通の蛇じゃない。鱗が鉱石なのか、濃い緑色のゴツゴツした鱗に包まれ、大きな口を開けると長い舌がシュルシュル出た。
 リーダー格の男は言う。

「エキドナ様にいただいたスキル、『マスターテイム』の力でモノにした魔獣だ。この大蛇は『大罪魔獣』の一体。『傲慢なる大蛇』ミドガルズオルムだ。ふふ、まさかこの鉱山をねぐらにしていたとは、組織にいい土産ができた」
「…………」
「まぁいい。少年、きみたち三人はミドガルズオルムの餌に、女は奴隷として売らせてもらう。恨むなら、きみたちをここに送った公爵家を恨むんだな」
「奴隷……?」
「ああ。西の地で見つけたエルフだ。くく、エルフはいい金になる」

 檻を見ると、若い女性たちがいた。
 よく見ると、女性は全員、耳が長い。
 そういえば、俺に弓を教えてくれた師匠もエルフだったっけ。
 さて……そろそろいけるかな。

「詰めが甘かったな」
「なに?」
「裸にして、両手を拘束して檻に閉じ込めれば安心か? 気絶させれば安心か? 鎖で拘束すれば安心か? 子供だから何もできないと思って安心してるか?」
「あぁ?」
「子供だと思って舐めるなよ───『龍人変身ドラゴライズ』」

 両手を拘束していた鎖がはじけ飛び、俺は変身した。

「スキルイーター、ストック……『樹龍闘気』」

 リンドブルムの闘気をセットし、地面に闘気を流し込む。
 すると、倒れているレノとサリオを包むように蔦が伸び、レイたちのいる檻に細い枝が絡みつく。これでもうこいつらは手が出せない。

「この、『獣化』だと!? お前ら、このガキを始末───……って、おい。その姿、まさかオブァ!?」

 俺はリーダー格の男をぶん殴る。男は吹き飛ばされ壁に激突した。
 すると、天井の穴から巨大なヘビ……ミドガルズオルムが現れ、大きな口を開け威嚇した。
 そして、十五人の盗賊たち。起き上がったリーダー格の男は、鼻血をダラダラ流しながら怒り叫ぶ。

「殺せ!!」
「やってみろ。さぁ……やろうか」

 レイとアピアを辱めて、レノとサリオを気絶させた報いを受けさせてやるよ。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

処理中です...