追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

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第七章

始まる成り上がり

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 キルトは、絶好調だった。
 冒険者等級がAに上がり、チームに入りたいという新入生はもちろん、学園に通っていないフリーの冒険者や、キルトと同格のA級冒険者まで加入の打診をしてきたのだ。
 王都のど真ん中にアジトを構え、メンバーを増やし、徐々に名を上げていく。
 いずれは、クロスガルド最高の冒険者として名を残し、ドラグレード公爵家の後継者として領地を発展……もしかしたら、ハイゼン王国の王に手が届くかもしれない。
 ハイゼン王国。現在の国王は、元S級冒険者であり、妻はいるが子はいない。後継者を探しているという話も聞いた。
 キルトは、婚約者のプリメラと共にAクラス校舎へ向かう。
 
「キルト様、注目されてますわね」
「そりゃそうだろ」
「ふふ。昨日、討伐レートAの『ダイダロス』を討伐したという話、もう学園中に伝わっているようですね」
「かもな。ま、Aレートの魔獣なんて、オレからすれば雑魚も雑魚」

 キルトは、A級冒険者。
 現在宿しているスキルは三つ。どれもイザベラのツテで手に入れた、高レベル、最上級のスキルだ。
 いずれ、S級にも手が届く、今年度最大の逸材と呼ばれていた。
 キルトは、視線を浴びながら笑う。

「ククク、いい気分だぜ」
「ええ、本当に」
「そういやプリメラ、お前もB級に上がったんだっけか?」
「はい。先日、お義母様から新しいスキルをいただきました」
「そっか。母上に礼をしなきゃな。夏の長期休暇、手土産を持って帰るか」
「はい!」

 プリメラは、キルトに寄り添いAクラス教室へ。
 きっと、教室に入れば歓声が沸き、賞賛の嵐だろう。
 キルトの人生は、まばゆく輝いていく。
 そう思い、教室のドアを開けた。
 入るなり、キルトの元にチームメンバーの少年が慌ててきた。

「き、キルト様!! たた、大変です!!」
「あ? んだよ、もう噂になってんのか?」
「ご、ご存じでしたか!!」

 今日も周りが騒がしい、だが悪い気はしない……キルトはそう思っていた。
 だが。

「で、Dクラスの、あのリュウキが……たた、大罪魔獣の一体を討伐して、東方のエルフの姫君を『ギガントマキア』から救い出したそうです!!」
「……は?」

 キルトは、目の前にいる少年が何を言っているのか、まるで理解できなかった。

 ◇◇◇◇◇

 ◇◇◇◇◇

 ◇◇◇◇◇

「…………」
「えへへ」

 現在……俺の席の隣に、アキューレは座っていた。
 隣はサリオだったんだけど、レノの隣に移動。本来アキューレが座る席には、レノの隣にいたクラスメイトが座っている。
 アキューレは、俺をジーッと見ていた。

「……授業中だぞ」
「うん。ね、ね、あとでいっぱいお話したい」
「あ、ああ。どういう経緯でここに来たのか俺も知りたい……ところで、ルルカさんは?」
「ルルカなら、メイドとしてリュウキのアジトで働くって。普段はわたしの部屋でメイドをするけど」
「え」

 そういえば、学生寮、貴族は個室なんだっけ。
 アキューレはエルフの姫君。メイドや使用人は当然いるだろう。
 他にもきになることが多い。あの、近くの村に預けたメイドとかどうなったのかな。
 でも、今は授業中だ。
 午後も部門別の授業があるし……話を聞くのは、放課後になってからだな。

 ◇◇◇◇◇

 放課後。
 俺たちは、アキューレを連れてアジトへ。
 出迎えたのは、セバスチャンさんとルルカさん……メイド服だ。
 レイは頭を抱えた。

「あのさ、セバスチャンさん……部外者を入れるのは」
「申し訳ございません。ムーン公爵様のご命令でして」
「んー……まぁ、いいか」

 さっそくアジト内へ。リビングに集まって座り、セバスチャンさんとルルカさんが淹れた紅茶で喉を潤す……と、レイが言った。

「で、なんであんたがここにいるの?」
「留学したの。東方のフリーデン王国から、中央諸国のクロスガルドに」
「留学って、昨日の今日で?」
「うん」

 と、ここでアピアが言う。

「……ムーン公爵様が手を回したんですね。この対応の速さ、他に考えられません」
「うん。公爵様、いい人」
「……ま、いいわ。で、あんた」
「あんたじゃない、アキューレ」
「……アキューレ、あなたはこれからどうしたいの?」
「冒険者になる。で、このチームに入る」
「……そんな気ぃしてたわ」

 レイが頭を押さえる。すると、レノがクッキーを食べながら言う。

「別にいいんじゃね? な、アキューレは戦えるのか?」
「弓なら得意。精霊も『原初なる風の精霊シルフィード』と契約してる」
「へー……せいれい、ね」

 レノはわかっていない。俺もだけど。
 すると、サリオが説明してくれた。

「精霊は、エルフ族しか契約できない、目に見えない生物だよ。ぼくら人間はスキルを宿さないと身体強化くらいしかできないけど、エルフは精霊の力を借りて、スキルなしでも魔法を使えるんだ。契約した精霊の格が高いほど、大規模な魔法を使えるんだよ」
「おお、あなた物知り」
「サリオだよ。よろしく……東方のエルフや魔法には興味があって調べたんだ」
「なるほど。今の説明でばっちり。わたし、風魔法と弓が得意。リュウキ、パーティーに入れて」
「みんながいいなら俺はいいけど……」

 レイを見ると、ちょっと不満そうだった。
 でも、ため息を吐いて頷く。

「ま、いいわ……弓なら中衛、後衛で活躍できそうだしね。あたしも前線で戦える」
「あれ? 冒険者チームって五人までしか」
「それはダンジョンの話。通常の依頼なら何人でも受けられるから大丈夫よ

 俺の疑問にすぐ答えてくれた。
 アキューレは、俺の腕をガシッと掴んで胸を当ててくる。

「やった。リュウキ、これからよろしくね」
「あ、ああ……あの、離れて」
「ちょっとリュウキ、デレデレすんの禁止!!」
「だ、駄目ですよリュウキくん!!」
「いや、俺は何も」

 こうして、俺たちのチームにエルフのアキューレが加わった。
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