追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

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第七章

毒魔凶龍テュポーン

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 レイたちは、ギガントマキアの構成員たちを全て倒し集まっていた。
 それぞれ、サリオの手当てを受け傷は治っている。
 上空にいたアピアも周囲を『鷹の眼』で、周囲に敵の存在がないことを確認。ワイバーンに命じ、地上に降りて仲間たちと合流した。
 レイは、満足そうに言う。

「みんな、お疲れ様」
「いや~……マジでオレら最強だぜ!!」
「調子に乗らないの。リンドブルムの『闘気』があったからこそ、こうして戦えたのを忘れないで。本来なら、あたしたちが太刀打ちできるような組織じゃないのよ? ここに転がってる雑魚だって、本来なら最低でもB級冒険者くらいの強さなんだからね」
「わ、わかってるよ」

 レノがムスッとする。
 すると、無傷のリンドブルムがボロボロの人間を引きずってきた。
 その人間を投げ、レイたちの前へ。

「ここに、学生がいるみたい。この人が言ってた」
「学生?」
「うん。チーム『アークライト』だって。イザベラ? とかいう人が連れて来たって」
「「「「アークライト!?」」」」

 全員の声が揃った。
 リンドブルムは首を傾げる。
 レイは、サリオに聞いてみた。

「アークライトって……キルトたちのチームよね」
「う、うん。リュウキくんの義弟、だよね」
「オイオイオイ、なんでそいつらがここにいるんだよ? まさか、オレらと同じ、ギガントマキアを潰しに来たんじゃねぇのか?」
「そう、なんでしょうか? 私にはどうも、別の意図があるような気がします……」

 全員が無言になる。
 リンドブルムは、レイの背中をパシパシ叩いた。

「とりあえず、お友達さがそ」
「あ、うん。そうね……みんな、宮殿内に踏み込むわ。リュウキも───……」

 と、次の瞬間……宮殿から爆破音が聞こえた。
 ギョッとして宮殿を見るレイたち。
 その音が、宮殿の反対側からリュウキが吹っ飛ばされた音だとは気付かない。
 だが、リンドブルムは気付いた。

「───ッッ!! みんな、ここはまずい、逃げ「逃げるなんてひどいなぁ」

 と───上空に、人が浮かんでいた。
 紫色の髪をなびかせた、美少年がそこにいた。
 
「や、リンドブルム」
「っ……って、テュポーン、お兄さま……」
「やれやれ。臆病なお前が、人間を連れて殴り込んでくるなんてね。人間の国でチヤホヤされながら、のんびり暮らしていればいいのに」
「……っ」

 レイたちは、動けなかった。
 目の前に浮かぶ『何か』は、レイたちを見ていない。
 リンドブルムが言った『お兄さま』という言葉で、少年がドラゴンだということは理解できた。理解、できてしまったのだ。
 最強生物。ドラゴン。
 リンドブルムの闘気をわずかに分けてもらったからわかる。
 これは、バケモノだ。
 勝つとか、負けるとか、そういう次元に存在しない生物。
 
「お、お兄さま……あの、エルフはどこ?」
「エルフ? ああ、エキドナが喰おうとしてるエルフか? それなら宮殿にいるよ」
「……そ、その、その子。返してもらうこと、できる?」
「…………」

 少年は無言になり、一瞬でリンドブルムの目の前へ。
 そして、その首をガシッと掴み、顔を近づけてにっこり笑った。

「お前、誰に、何を命令してる?」
「ち、ちが」
「スヴァローグが死んだの、お前も関わってるよな? 御父上の力を継承した人間、そんなに頼りになるのか? 最弱のドラゴンであるお前が、オレに、オレに命令できるほど強気になれるような、そんなやつなのか?」
「ち、ちが、違う……うっ!?」

 テュポーンに掴まれたリンドブルムの首が、ジュワジュワと音を立て溶けていく。
 さらに、リンドブルムは吐血。首筋に紫色の毒々しい模様が広がっていく……毒だ。
 八龍で唯一の毒を使うドラゴン、テュポーン。
 紫色の闘気が、ジワジワとあふれ出し、今まさにリンドブルムの首を溶かし、千切り飛ばそうとした。
 
 次の瞬間、宮殿の壁が吹き飛び、エキドナが地面を転がった。

 ◇◇◇◇◇

「いったぁ……」

 エキドナはむくりと起き上がり、頬を撫でつけた。
 
「おい、何してんだよ」
「あらテュポーン。ちょっとねぇ……ふふ、油断しちゃった」
「はぁ?」
「ぐ、が……」

 テュポーンは、ようやくリンドブルムを投げ捨てる。
 そして、宮殿を破壊しながら歩く、一人の少年……リュウキを見た。
 顔以外の身体が、鎧のような鱗に包まれている。

「あれが御父上の力を継承した人間か……へぇ、なかなか仕上がってんじゃん」
「ええ。感情を爆発させて、あれだけの力を引き出したみたい。ね、面白そうじゃない?」
「アレ使って遊ぶのか? 面白そうだけどさ」
「ええ。ふふふ、楽しくなりそうね」

 リュウキは翼を広げ、絶叫した。

『グゥォォォォォォォォォォォォォォォォォ───ッッッ!!』

 その叫びは、完全に理性を失った野生の獣のようだった。
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