追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~

さとう

文字の大きさ
94 / 109
第八章

学園祭の打ち合わせ

しおりを挟む
「まず、学園祭の実行委員を決めたいと思います。希望する方は手を上げてください」

 午後になり、ホスホル先生が教壇の前で眠そうな声を出す。
 学園祭。つまり、このクロスガルド王立学園のイベントの一つだ。
 チーム『アークライト』の解散、学園生徒の『ギガントマキア』関与による不祥事で開催を見送るなんて話もあったようだが、反対意見が多かったため開催するようだ。
 すると、アキューレが振り向く。

「がくえんさい、ってなに?」
「えーと……なんて言うか、学園が開催するお祭りみたいなモンか」
「お祭り……楽しそう! はい! わたしとリュウキ、実行委員やる!」
「え」
「はい。ではアキューレさん、リュウキくんが実行委員ですね。ではお二人は前へ」
「え、ちょ」
「リュウキ、行こ」
「…………」

 強制的に実行委員になってしまった……もう拒否できないじゃん。
 サリオは「あはは」と苦笑し、レノは「ヒューヒュー!」と楽しそうに笑う。レノ……あとで覚えておけよ。
 教壇の前に立つと、アキューレは言う。

「ね、何言えばいいの?」
「…………」

 ああ……もう、この時点で俺が苦労するの確定じゃん。

 ◇◇◇◇◇

 とりあえず自己紹介。そして、教壇にあった資料を読んでみる。
 学園祭。
 各クラスによる出し物。まず、教室内に限定した出し物と、闘技場内でやるクラス代表による出し物の二種類あるのか。教室内の出し物はともかく、闘技場の出し物って……めちゃくちゃ注目されそうだな。
 とりあえず、まずは教室内の出し物かな。

「えー、教室内の出し物と、闘技場内でやる出し物の二種類を決める。まずは教室内の出し物だけど、何かやりたい出し物あるか?」

 すると、レノが挙手。

「はいはい!! 『休憩所』なんてどうだ?」
「……休憩所?」
「ああ。学園祭当日は大勢のお客さん来るんだろ? 歩き疲れて休むスペースもたくさん必要になるはずだ。そんなとき、この教室が休憩所だったらどうよ? 店で買ったメシ広げて食うのもよし、他のクラスの出し物で遊んで、その内容を語るもよし、ただ疲れたからのんびりするのもよし……うんうん、休憩所があれば嬉しいことだらけだぜ」
「…………それ、出し物か?」
「ああ。休憩所っつー出し物だぜ」

 こいつ、サボりたいだけじゃないだろうな……でも、意外と的を得てるからタチ悪い。
 他に意見を聞くと、出てこない。
 レノの意見、筋が通っているせいかみんな納得してる。
 アキューレも、黒板に『休憩所』って書いてるし。ホスホル先生を見ると……なんと、寝ていた。
 え、本当にいいのか?

「え、えー……じゃあ、Dクラスの出し物は『休憩所』で」
「うっしゃぁ!!」

 マジか。Dクラス休憩所って、他のクラスに馬鹿にされそうだぞ。
 まぁ……決まったもんは仕方ない。
 
「じゃあ次。次は、闘技場内でやる出し物だ。これは代表者四名による出し物だって」
「じゃあ、チーム《エンシェント》でいいんじゃね?」

 と、クラスの誰かが言った。
 チーム《エンシェント》って……お、俺らかよ?

「そうよね、新入生最強チームが四人もいるし」
「ほかに適任いないよな」
「そうよね」「うんうん、決まりだな」
「頼むぞ、チーム《エンシェント》!!」
「お、おい待てって。まずは」
「おいリュウキ、ご使命だぜ!! オレたちの出番だってよ!!」
「…………」

 レノがすでにやる気だった。
 こいつ、休憩所とか言ったくせに、なんで闘技場の出し物はやる気になってるんだよ。
 一応、確認してみた。

「あー……じゃあ、闘技場内の出し物はチーム《エンシェント》でいいのか? 賛成なら拍手」

 パチパチパチパチ───……と、教室内に拍手の雨が降った。
 マジかよ……これ。また決まりじゃん。

「よっしゃ!! へへ、チーム《エンシェント》で出し物とか面白そうだな」
「……ぼくは微妙だけど」
「リュウキ、がんばろうね」
「……おお」

 こうして、Dクラスの出し物は『休憩所』で、闘技場内でやる出し物はチーム《エンシェント》に決まった……全く、マジでどうなってんだよ。
しおりを挟む
感想 32

あなたにおすすめの小説

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

処理中です...