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第185話・強欲の無欲
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「…………ぃちち、あーもう、歯が折れたわ」
『よぉストライガーぁ、これからどーすんのよ?』
ストライガーは、ライトに殴られて腫れた頬を押さえながら、ヤシャ王国郊外をのんびりと歩いていた。
命からがら逃げ出し、何の準備もせずにヤシャ王国を飛び出してしまった。
目的地はとりあえず……。
「ウェールズ王国に戻ろう。ダンジョンも途中だし、金級か銀級冒険者を捕まえて、ダンジョンに潜って稼ぐさ」
『おいおいおいおい、カドゥケウスたちに復讐しねーのかよ?』
「しないって。というか、もう二度と関わりたくないね……」
腫れた頬をさすり、苦笑いする。
ストライガーは、ライトに恨みはない。今回の件は、上手く立ち回れなかった自分の責任とすら考えている。
「何度も言ってるだろ? オレが一番大事なのは自分の命。大罪神器を仲間にしてダンジョンを踏破、ウェールズ王国に屋敷を買って悠々自適な暮らしをするって夢は潰えたけど、そこそこ稼いでのんびり暮らすさ」
『やーれやれ……』
「というわけで、これからもよろしく頼むよ。ギルルダージュ」
『へいへい。ったく、オイラの契約者はつまんねーなぁ』
ストライガーは、自分の命が大事。
でも、ダンジョンに潜るのは……やはり、若者らしい刺激が欲しいから。
仲間はいくらでも作れるし、いざというときの『盾』もある。
「さぁて、行きますかね」
ストライガーは、もうライトの事を忘れていた。
殴られた恨みを晴らすとか、復讐に燃えることはない。
ちょっとした失敗。ただそれだけ。
大罪神器【強欲】のストライガーは、ウェールズ王国のダンジョンへ戻り、日銭を稼ぎながら過ごしていく。
◇◇◇◇◇◇
リンたちが記憶を取り戻して数日……ライトたちはまだマリアの別荘にいた。
朝。ライトは柔らかな感触を感じつつ目覚める。
「ん……おい、マリア、朝だぞ」
「んん……あ、おはようございます」
「ああ。起きろ」
ライトとマリアは共に裸。昨夜……というか、つい先程まで愛し合っていた。
記憶が戻ってから、マリアは積極的にライトに抱かれていた。
なんとなく、謝罪の意を込めているんだろうとライトは思う。リンもシンクも申し訳なさそうにしていた。
リンはライトとメリーに謝罪し、シンクは謝った後にお菓子をくれる。マリアはこうして寝室や入浴を共にし、ライトを満足させていた。
行為に『愛』はないが、お互いに満足していた。
「ライト……」
「お、おいっ、んっ……」
マリアは、夜だけでなく朝も求めるようになった。
柔らかな感触に抗えず、ついマリアを抱きしめてしまう。
「ライト、マリア、あさごはん」
「「……あ」」
シンクが部屋に入り、行為は中断……。
◇◇◇◇◇◇
「ライト、メリー、お菓子食べる?」
「ありがと」
「……シンク、もういい。ちゃんと謝ったんだから、気を遣うな」
「でも……」
朝食後、シンクはお小遣いで買ったお菓子をライトとメリーに渡す。
メリーはもらった飴玉をなめるが、ライトは受け取ってすぐにシンクに返した。
ストライガーの一件は、ライトたちの間にしこりを残した。
ライトは、洗い物をしていたリンにも言う。
「リン、お前もだ」
「っ……うん、わかってるけど……やっぱり、気にしちゃうよ」
「だから、気にすんなっての。マリアも、その……そんなに部屋に来なくてもいい」
「あら? わたしの身体に飽きてしまったの……?」
「ち、違う。来るならいつものお前のまま来い!! 互いに発散するだけの関係だろうが。謝罪の意味を込めなくていいってんだよ」
「…………」
ライトは、リンとシンクとマリアに言う。
「いいか。ストライガーはもう俺たちの敵じゃない。警告はしたし、もう二度と現れないはずだ。これでこの話はおしまい……これからどうするか決めるぞ」
ライトは、大きく息を吸って吐く。
「ふぅ……いいか、目的は最後の大罪神器の捜索と、女神の討伐だ。最後の大罪神器【傲慢】と、リリカとレイジ、女神をぶっ潰す……ファーレン王国が最後の目的地。その前に大罪神器を捜索するぞ」
リンたちは頷く。
ようやく吹っ切れたのか、いつもの雰囲気に戻って来た。
「で、これからどうしますの?」
「そうだな……もう少しヤシャ王国を捜索してから、ワイファ王国に行ってみるか」
「そうだね。順序的に行けば……」
しばらく、これからの予定を話した。
この間ずっと、メリーが床で熟睡していたのは、言うまでもないだろう。
『よぉストライガーぁ、これからどーすんのよ?』
ストライガーは、ライトに殴られて腫れた頬を押さえながら、ヤシャ王国郊外をのんびりと歩いていた。
命からがら逃げ出し、何の準備もせずにヤシャ王国を飛び出してしまった。
目的地はとりあえず……。
「ウェールズ王国に戻ろう。ダンジョンも途中だし、金級か銀級冒険者を捕まえて、ダンジョンに潜って稼ぐさ」
『おいおいおいおい、カドゥケウスたちに復讐しねーのかよ?』
「しないって。というか、もう二度と関わりたくないね……」
腫れた頬をさすり、苦笑いする。
ストライガーは、ライトに恨みはない。今回の件は、上手く立ち回れなかった自分の責任とすら考えている。
「何度も言ってるだろ? オレが一番大事なのは自分の命。大罪神器を仲間にしてダンジョンを踏破、ウェールズ王国に屋敷を買って悠々自適な暮らしをするって夢は潰えたけど、そこそこ稼いでのんびり暮らすさ」
『やーれやれ……』
「というわけで、これからもよろしく頼むよ。ギルルダージュ」
『へいへい。ったく、オイラの契約者はつまんねーなぁ』
ストライガーは、自分の命が大事。
でも、ダンジョンに潜るのは……やはり、若者らしい刺激が欲しいから。
仲間はいくらでも作れるし、いざというときの『盾』もある。
「さぁて、行きますかね」
ストライガーは、もうライトの事を忘れていた。
殴られた恨みを晴らすとか、復讐に燃えることはない。
ちょっとした失敗。ただそれだけ。
大罪神器【強欲】のストライガーは、ウェールズ王国のダンジョンへ戻り、日銭を稼ぎながら過ごしていく。
◇◇◇◇◇◇
リンたちが記憶を取り戻して数日……ライトたちはまだマリアの別荘にいた。
朝。ライトは柔らかな感触を感じつつ目覚める。
「ん……おい、マリア、朝だぞ」
「んん……あ、おはようございます」
「ああ。起きろ」
ライトとマリアは共に裸。昨夜……というか、つい先程まで愛し合っていた。
記憶が戻ってから、マリアは積極的にライトに抱かれていた。
なんとなく、謝罪の意を込めているんだろうとライトは思う。リンもシンクも申し訳なさそうにしていた。
リンはライトとメリーに謝罪し、シンクは謝った後にお菓子をくれる。マリアはこうして寝室や入浴を共にし、ライトを満足させていた。
行為に『愛』はないが、お互いに満足していた。
「ライト……」
「お、おいっ、んっ……」
マリアは、夜だけでなく朝も求めるようになった。
柔らかな感触に抗えず、ついマリアを抱きしめてしまう。
「ライト、マリア、あさごはん」
「「……あ」」
シンクが部屋に入り、行為は中断……。
◇◇◇◇◇◇
「ライト、メリー、お菓子食べる?」
「ありがと」
「……シンク、もういい。ちゃんと謝ったんだから、気を遣うな」
「でも……」
朝食後、シンクはお小遣いで買ったお菓子をライトとメリーに渡す。
メリーはもらった飴玉をなめるが、ライトは受け取ってすぐにシンクに返した。
ストライガーの一件は、ライトたちの間にしこりを残した。
ライトは、洗い物をしていたリンにも言う。
「リン、お前もだ」
「っ……うん、わかってるけど……やっぱり、気にしちゃうよ」
「だから、気にすんなっての。マリアも、その……そんなに部屋に来なくてもいい」
「あら? わたしの身体に飽きてしまったの……?」
「ち、違う。来るならいつものお前のまま来い!! 互いに発散するだけの関係だろうが。謝罪の意味を込めなくていいってんだよ」
「…………」
ライトは、リンとシンクとマリアに言う。
「いいか。ストライガーはもう俺たちの敵じゃない。警告はしたし、もう二度と現れないはずだ。これでこの話はおしまい……これからどうするか決めるぞ」
ライトは、大きく息を吸って吐く。
「ふぅ……いいか、目的は最後の大罪神器の捜索と、女神の討伐だ。最後の大罪神器【傲慢】と、リリカとレイジ、女神をぶっ潰す……ファーレン王国が最後の目的地。その前に大罪神器を捜索するぞ」
リンたちは頷く。
ようやく吹っ切れたのか、いつもの雰囲気に戻って来た。
「で、これからどうしますの?」
「そうだな……もう少しヤシャ王国を捜索してから、ワイファ王国に行ってみるか」
「そうだね。順序的に行けば……」
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この間ずっと、メリーが床で熟睡していたのは、言うまでもないだろう。
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追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
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