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第一章

第7話 朝起きたら

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「おはよう、マイハニー」
「ニンニク臭ッ」
「昨日ニンニクラーメン食べたからね……。僕の口臭を充分に堪能してってね……」
「ていうか一国の王子が何でニンニクラーメン食べてるんですか」
「美味しいからね」

 そう言うのって食べさせてもらえないんじゃなかったの? 私が間違ってたの?

「キス……しよ?」
「何でニンニクラーメン食べてすぐの男とキスしなきゃいけないんですか。罰ゲームですか」
「それはニンニクラーメン食べてすぐじゃなかったらキスしてくれるっていう事でOKかな?」
「OKな訳ないでしょ」
「我儘なマイハニー♡ 大好きだよ♡」

 人の話聞け。

「ていうか昨日王城に帰らなかったんですか?」
「無論そうだよ」
「じゃあ私次に王城に行ったら『王子と一夜を共にした』って言われるんですか!?」
「イエス」
「『イエス』じゃないです!」
「一応一夜共にしてるけど……。ねえ、僕がどれだけ夜這いしたい衝動を抑えたか知ってる? 半殺しにされてたんだよ僕? 魔性! 魔性の女!」
「あなたが勝手に私の隣に来ただけでしょうが!」

 何故か逆切れされました。

「今から夜這いして良いですか」
「了承するとでも思ったか。というか今朝ですよ?」
「朝起きた時の口臭ってさ……。絶望的なモノがあるよね」
「しばくぞ」

 勝手に隣に凝られた挙句『キミ、朝起きた時口臭いね』と言われ、その男ニンニクラーメン食べた直後っていう状況なのだ。仮に私が猛烈にキレてもこれは罪に問えないと思う。

「僕さ、匂いフェチなんだ」
「誰もあなたの性癖なぞ訊いていませんけど」
「さあ。鼻腔に思いっきり吹っ掛けて! 口臭!!」
「するわけねぇだろ」

 すると、なぜか私の上に四つん這いになるカイル様。

「腰……動かしていい?」
「帰って貰って良いですか?」

 しょぼんとすると(´・ω・`)このかおで腰のみを動かし始めるカイル様。しばくぞ。

「はぁはぁ……♡ 好きだよぉ……♡」
「帰れ! それか一足先に留学してください!」
「一緒にイくぅ!」

 駄目だ字幕までおかしく……!

「ラミ……一緒に行こう?」

 あ、字幕が正常になった……!

『コンコン』
「失礼しまーす」
「ちょ、カイル様! 止めて! ていうか隠れて!!」
「ヤダ! 一緒にいくぅ!」
「…………………………朝食のご用意が出来ましたのでご用事が終わり次第食堂へお願いします。失礼いたしました」
「待って! 誤解だから! ねえ、ちょっと『大丈夫ですよ、誰にも言いませんから』的な視線やめて! そんなところで優しくしないで!」
「じゃあ手加減しねぇぜぇ……?」
「アンタは黙ってろ!」
「(´・ω・`)」

 やっと四つん這いをやめたカイル様。
 もっと早くにやめろ。

「ねえ、もう私の部屋出禁にしていい?」
「ごめんなさい反省してます」

 イケメンを一周回って無駄遣いしている男・カイル……!
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