恋愛小説の世界に転生したら王子が俺を溺愛してた件について

夏葉ひなた

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第一章

第10話 性格が色々アレなのでラブコメになっていない今日この頃

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「ナイルくんの愛が感じられる亀甲縛りだったよ……」

 絵面が流石に気になったので15分ほど野放しにしたのち、無理矢理解いた。俺の社会的評価が終了せずに済んだと思いたい。幸いコイツら以外に目撃者がいないからな。
 だが、元々かハイテンション状態が影響したのか『俺の愛が感じられる亀甲縛り』とか言い出すグラス。一回医者に診てもらった方が良いのではないだろうか。

「どんな亀甲縛りですか」

 そんなに興味があるわけではないが、グラスの心配も兼ねて聞いてみたところ、

「知りたい?」

 目を輝かせながら逆に聞き返された。アカンやつやこれ。

「いいです」
「ええー?」

 俺が『愛が感じられる亀甲縛り』を拒否すると、グラスは心底残念そうな嘆声を出す。残念ながらSMプレイに洒落込むつもりはない。
 そこそこショックだったのだろうか、顎に手をあて何かを考え始めた。ロクな事じゃないと良いが……
 すると、今度は弟がロクでもないことを言い出した。

「お兄ちゃん、これから毎日縛ってくれるよね?」
「うん、何で?」

 俺の精神と社会的地位潰す気なのかなこの子?
 弟はすっかりしょぼくれてしまっている。どうして俺の日課に弟への亀甲縛りを組み込めると思った。

「…………単純に好き好き言ってても駄目なのかな」

 先ほどまで何かを考えていた様子のグラスがぼそり、と何かを呟く。小さすぎて声が出たという事実しか把握できなかったが。

「おーい、グラスさーん?」
「何だ」

 オイオイ、亀甲縛り拒否しただけでやけに雰囲気変わったぞ。お前にとっての亀甲縛りって何? 人生か何かなの? 俺知らない間にグラスの人生全否定しちゃったのかな……スマン。

「え、いやあの、俺なんかした……かな」

 グラスの事を傷つけてしまったのだったら謝りたい、その一心で尋ねたのだが――

「ぎゃんかわああああああああああああああああ大丈夫だぞ」

 グラスが大丈夫じゃないと思うのだが。前半と後半のテンションの差が凄いぞ。例えるならナニ中と賢者モードレベルで違うぞ。

「あっ、それだったら大丈夫なんですけど」

 とりあえず俺の行動のせいではないみたいだ。それはいいのだがグラスの精神状態が心配である。王宮での暮らしってストレス溜まるのだろうか。

「し、心配してくれなくてもいいんだからねっ!」

 ……もしかしてツンデレのつもりなのだろうか。ほぼツンが無いからデレデレデレデレツンレベルになっているのだが。

「アンタなんか大嫌い! 嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い……好き♡」

 人間慣れない事はするもんじゃないな。ツンデレ風から一瞬でヤンデレに早変わりである。慣れてないためかヤンデレっていうチャチな表現では言い表せないレベルの恐怖を感じた。どっちかというと生命の危機。

「あのー……グラスさん?」

 とうとう根っこから先っちょまでおかしくなったのかと思い声をかけたら、

「嫌いからの好きのコンボ……これはオチたか?」

 意味不明な事をドヤ顔で言ってのけるいつも通りのグラスバカが居た。戻ってきたわ。

「オチてないです」

 俺も通常運転で答える。とりあえず大丈夫なのだろうか……?

「何……だと」

 この人もしかしてマジモンのバカなのだろうか。いや純度100%のバカだったわ。頭のいいバカである。なぜ俺がオチたと思った。

「ツンデレとヤンデレのコンボとか鼻血出して『萌ええええええええええええええ!』とか言ってイくべきでしょ!?」

 俺にそんな異次元の基準を持ち出さないで欲しい。こちとら常識人じゃい。

「いや、何でそうなる……。そもそもツンデレとヤンデレちょっと違うし」
「何だって!?」

 驚愕の表情で俺を見つめるグラス。いや気づけよ。ヤンデレとか生命の危機感じたわ。鳥肌モンだわ。

「じ、じゃあさ」

 そこでグラスはトチ狂ってるとしか思えないような提案をしてくる。

「ナイルくんがお手本見せてよ!」

 …………は?
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