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第一章
第13話 ヤンデレのターン……? あれっ、ヤンデレ……?
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「まあまあ、天然ツンデレなナイルくんのためにヤンデレ選手権を開催してあげようじゃないか」
「だっ、誰が天然ツンデレ……ッ!」
「え? 事実じゃん」
グラスがイタズラっぽい笑みを浮かべて俺をからかう。
その様子を見ているとなんだか変な気持ちになってしまう。
「あれっ、何で赤くなってるのかな? 可愛いね」
「あうっ……うぅ……うるしゃいです……」
あまり口に力が入らない。グラスが帰ったら早めに休もう……
「さっ、待っててもかわゆいナイルくんからかわいい異論を永遠と聞くことになっちゃいそうなので開幕でーす」
うぅ……反論出来ない自分が恨めしい。
頭の回転が早いのだろう。そこは腐っても(?)第一王子というところか。
「そうやってイジワルするグラスさんなんか大っ嫌いです!」
「ヤダグラスさんショック!……でも言い方可愛い……んほお♡」
恍惚の表情を見せたグラス。キモっ。
とりあえず『嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い……好き。大好き。結婚して。ねえ、今すぐハンコ押して? どうして押せないの?』みたいなナチュラルに怖い感じにしようと思ったのだが……あんまり嫌いって言いたくないような……
いやいや、恋愛でもあるまいし。友情の上で『おーいそんな所くらい直してくれよー』くらいの軽いノリでの『嫌い』なら……
そもそもこれはヤンデレ選手権な訳だし……ああもう!
ええい、こうなったらヤケクソだ! やってやるぜグラスさんよォ!
俺は全力の嫌い攻撃を繰り出した!
「ええーっと……変態! 変態性溢れるところも魅力ですけど……ああ違うぅ……変態すぎてちょっとだけ嫌いです!」
「え、何この可愛い生物」
その言葉を口に出してしまったのを誤魔化すためか、口に手を当てて頬を赤く染めるグラス。
可愛いのはグラスだよ……
じゃない!
途中魅力的とか言っちゃったからツンデレ感みたいなの出ちゃったしヤンデレっぽさ全然ないし。てか俺ヤンデレそんなに知らないんだよな……
「嫌いっ!」
とにかく流れに持っていくために俺は叫んだ。
も、もういいよな? 好きモード入っていいよな?
うずくまってプルプルしてるグラスを心配しながらも好きモードに移行することに決めた。
「やっぱり好きっ! 大好きです! 変態性溢れるところも魅力的だし、基本的に優しいし、高スペックなのを鼻にかけることもないし、全部大好きです!」
あれっ、何か思ってたんと違う。
これヤンデレというよりかは青春恋愛ぽさが出てる。爽やかな学園青春純愛の告白シーンみたいになってるぞ。
コレジャナイ感が凄いのは気のせい……だよな?
すると、グラスはすっくと立ち上がり、
「僕も好きだよ。ナイルくん」
まっすぐに俺を見つめながら言葉を返す。
ヤバい、勘違いさせてしまった?
いやいや、友達としてだよな?
「グラスさーん……ヤンデレ選手権ですよねこれー?」
選手権だから仕方ない的な感じになるよねこれ?
しかしグラスはちょっとしょんぼりしたような表情を一瞬だけ浮かべた後、何でもないようないつもの顔に戻ると。
「うん、ヤンデレとは違ってる気がするけどヤンデレ選手権だね。これ」
健気なグラスの様子を見て、チクリ、と胸が傷んだ。
俺の勘違いだよな? だってこんな都合のいい事ある訳がーー
「じ、じゃあ戻りますよ……」
「うん」
俺は見逃す事が出来なかった。
ほんの一瞬、刹那という言葉で表すことの出来ないほどのほんの少し、グラスが泣きそうな顔をした事を。
……俺、本当に何やってんだろう。
「グラス」
俺はもう二度と、泣きそうな表情さえさせないと誓いながら呼び掛けた。
「何かな?」
少し笑みを浮かべたグラスが俺の次の言葉を待っていた。
その様子さえも愛おしくて、辛くなる。
ハリボテの笑顔なんかじゃない笑顔を見たい。
「好きだというのは本音です。だけど、この『好き』がどんな種類なのかまだよく分かってないんです」
俺の言葉が予想外だったのか、目を丸くさせ、驚愕するグラス。
当たり前だ。ヤンデレ選手権しようってなってどうしてこんな展開になる。いや、そもそもヤンデレ選手権を開催する展開も謎だからどっこいどっこいだろう。
「だから、よければ、失礼でなければーー」
どんな言葉を選んだらいいのか分からずに同じような言葉を三つも言葉を並べてしまった。
頬ーーというか顔が熱くなっているのが自分でも分かる。
だけど、言わなくちゃいけないんだ。
「俺がもう一度告白するその時まで待っててくれませんか?」
やった、言い切った!
と思えたのもつかの間だった。
「へえ? 将来告白する事が確定してるかのような言い方だね?」
しまった。
「わ、分かったタイミングで報告するだけです!」
苦し紛れの言い訳をする。
不確定なのは事実だが、もうほぼ確定してるんだよな……この感情……
「分かった分かった。ヤンデレ選手権もう仕事してないから最後に一言どうぞ」
「結婚して!」
嫌いからの好きでこの言葉を言おうと思ったが、どうやら俺にはヤンデレを演じるだけの狂気も持ち合わせていないらしい。
まあ、それはそれでいいかな。
満面の笑みを浮かべるグラスを見ながら俺はそんな楽観的かもしれない事を思えてきた。
そして、どうやらこんなタイミングで俺はこの感情の名前を知ってしまったらしい。
この感情の名前。それはーー
恋だ。
「だっ、誰が天然ツンデレ……ッ!」
「え? 事実じゃん」
グラスがイタズラっぽい笑みを浮かべて俺をからかう。
その様子を見ているとなんだか変な気持ちになってしまう。
「あれっ、何で赤くなってるのかな? 可愛いね」
「あうっ……うぅ……うるしゃいです……」
あまり口に力が入らない。グラスが帰ったら早めに休もう……
「さっ、待っててもかわゆいナイルくんからかわいい異論を永遠と聞くことになっちゃいそうなので開幕でーす」
うぅ……反論出来ない自分が恨めしい。
頭の回転が早いのだろう。そこは腐っても(?)第一王子というところか。
「そうやってイジワルするグラスさんなんか大っ嫌いです!」
「ヤダグラスさんショック!……でも言い方可愛い……んほお♡」
恍惚の表情を見せたグラス。キモっ。
とりあえず『嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い……好き。大好き。結婚して。ねえ、今すぐハンコ押して? どうして押せないの?』みたいなナチュラルに怖い感じにしようと思ったのだが……あんまり嫌いって言いたくないような……
いやいや、恋愛でもあるまいし。友情の上で『おーいそんな所くらい直してくれよー』くらいの軽いノリでの『嫌い』なら……
そもそもこれはヤンデレ選手権な訳だし……ああもう!
ええい、こうなったらヤケクソだ! やってやるぜグラスさんよォ!
俺は全力の嫌い攻撃を繰り出した!
「ええーっと……変態! 変態性溢れるところも魅力ですけど……ああ違うぅ……変態すぎてちょっとだけ嫌いです!」
「え、何この可愛い生物」
その言葉を口に出してしまったのを誤魔化すためか、口に手を当てて頬を赤く染めるグラス。
可愛いのはグラスだよ……
じゃない!
途中魅力的とか言っちゃったからツンデレ感みたいなの出ちゃったしヤンデレっぽさ全然ないし。てか俺ヤンデレそんなに知らないんだよな……
「嫌いっ!」
とにかく流れに持っていくために俺は叫んだ。
も、もういいよな? 好きモード入っていいよな?
うずくまってプルプルしてるグラスを心配しながらも好きモードに移行することに決めた。
「やっぱり好きっ! 大好きです! 変態性溢れるところも魅力的だし、基本的に優しいし、高スペックなのを鼻にかけることもないし、全部大好きです!」
あれっ、何か思ってたんと違う。
これヤンデレというよりかは青春恋愛ぽさが出てる。爽やかな学園青春純愛の告白シーンみたいになってるぞ。
コレジャナイ感が凄いのは気のせい……だよな?
すると、グラスはすっくと立ち上がり、
「僕も好きだよ。ナイルくん」
まっすぐに俺を見つめながら言葉を返す。
ヤバい、勘違いさせてしまった?
いやいや、友達としてだよな?
「グラスさーん……ヤンデレ選手権ですよねこれー?」
選手権だから仕方ない的な感じになるよねこれ?
しかしグラスはちょっとしょんぼりしたような表情を一瞬だけ浮かべた後、何でもないようないつもの顔に戻ると。
「うん、ヤンデレとは違ってる気がするけどヤンデレ選手権だね。これ」
健気なグラスの様子を見て、チクリ、と胸が傷んだ。
俺の勘違いだよな? だってこんな都合のいい事ある訳がーー
「じ、じゃあ戻りますよ……」
「うん」
俺は見逃す事が出来なかった。
ほんの一瞬、刹那という言葉で表すことの出来ないほどのほんの少し、グラスが泣きそうな顔をした事を。
……俺、本当に何やってんだろう。
「グラス」
俺はもう二度と、泣きそうな表情さえさせないと誓いながら呼び掛けた。
「何かな?」
少し笑みを浮かべたグラスが俺の次の言葉を待っていた。
その様子さえも愛おしくて、辛くなる。
ハリボテの笑顔なんかじゃない笑顔を見たい。
「好きだというのは本音です。だけど、この『好き』がどんな種類なのかまだよく分かってないんです」
俺の言葉が予想外だったのか、目を丸くさせ、驚愕するグラス。
当たり前だ。ヤンデレ選手権しようってなってどうしてこんな展開になる。いや、そもそもヤンデレ選手権を開催する展開も謎だからどっこいどっこいだろう。
「だから、よければ、失礼でなければーー」
どんな言葉を選んだらいいのか分からずに同じような言葉を三つも言葉を並べてしまった。
頬ーーというか顔が熱くなっているのが自分でも分かる。
だけど、言わなくちゃいけないんだ。
「俺がもう一度告白するその時まで待っててくれませんか?」
やった、言い切った!
と思えたのもつかの間だった。
「へえ? 将来告白する事が確定してるかのような言い方だね?」
しまった。
「わ、分かったタイミングで報告するだけです!」
苦し紛れの言い訳をする。
不確定なのは事実だが、もうほぼ確定してるんだよな……この感情……
「分かった分かった。ヤンデレ選手権もう仕事してないから最後に一言どうぞ」
「結婚して!」
嫌いからの好きでこの言葉を言おうと思ったが、どうやら俺にはヤンデレを演じるだけの狂気も持ち合わせていないらしい。
まあ、それはそれでいいかな。
満面の笑みを浮かべるグラスを見ながら俺はそんな楽観的かもしれない事を思えてきた。
そして、どうやらこんなタイミングで俺はこの感情の名前を知ってしまったらしい。
この感情の名前。それはーー
恋だ。
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