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第一章
第14話 恋愛に性別も種族も関係ありません
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「か~わ~い~い~」
グラスが間延びした声でツンツンと俺の頬をつつく。完全に部活の先輩(女)の絡み方だ。頬はつつかない場合も多いけどな。
はぁー……。どうしてこうなった。
「あんな可愛い声で『結婚して』って……プロポーズなの? 指輪買ってきた方が良いの?」
ニヤニヤとしながら冗談交じりに俺に問うグラス。
やり返すために俺も乗っかってやることにした。
「いやいや、まだ早いですよ」
イタズラっぽく言ってやった。
さて、果たして気が付いてくれるのか?
「……ん?」
一瞬だけ固まった後、水を得た魚のように――
「ねえねえ、今、まだって言った? まだって言ったよね!?」
目を大きく見開かせて俺に詰め寄って来た。
思った以上の反応だな。
やたら詰め寄ってきただけに、俺とグラスの距離はグラスの匂いがすぐそばで感じられる距離になっていた。近い近い!
「言いましたよ?」
内心の動揺を悟らせないために余裕たっぷり風に言い放った。
「じゃあ今からカタログ取り寄せとくね?」
【朗報】指輪の購入、決まる
結局結婚準備が進んだだけだった――!
いやいや、王家がそんな事していいのかよ?
男色的な? それだったらちょっと、いやだいぶ悲しいのだが……
「ああ、正妻の指輪を選ぶのがこんなに楽しい事だとは思わなかったよ!」
違った。コイツ本気だ。
一瞬でも疑ってしまった自分が憎い。これからはこんな事絶対に思わないようにしよう。
「……うん、やっぱりカタログじゃ駄目だ」
「え? どういう事だ?」
俺の言葉を待ってたかのように、グラスは言葉を紡ぐ。
「明日宝石店見に行こう!」
…………え?
「い、いや、嬉しいのですが王子という立場上マズいのでは」
身分差も確かにそうなのだが、男二人で結婚指輪でワイワイ言うのは政敵に付け込まれる要因に成り得るのでは、という心配も兼ねてのことだったが。
「いやだなぁ、そんな心配しなくても大丈夫だよ? 貸し切りにするから」
さすが王家。格が違う。
俺と指輪を吟味するためだけに何も貸し切りにしてくれなくてもいいのだが、言っても聞かなそうだしやめた。
「じゃあ、僕は店を吟味してくるね! また明日!」
「あ、はい!」
今日はやたら人間関係(グラスとの関係)が進展したな……
「イヤッフゥ――ッ!」
「王子、落ち着いてください」
俺はやたらテンションの高いグラスとSP的な人を見送った後、弟の様子を見に行くために医務室へと向かった。
「おーい、大丈夫か?」
「お、お兄ちゃん……大丈夫だよ」
ちょっと具合が悪そうではあるが、だいぶ回復ている様子だ。明日までには治っているだろう。
とりあえず心配する域から外れた事に安堵した。
「ところでっ!」
まだ体調が完全に回復している訳でもないのに、ずいっと身体を近づける弟。何だ?
「あの後王子とは何にもなかったんだよね?」
す、すごい迫力だ……
だが、何にもなかったと言えば嘘になるんだよなぁ。どうする、俺?
「…………何にもなかったと言えば嘘になる」
たっぷり悩んでから、本当のことを言う事に決めた。
ここで嘘を吐いてしまったら失礼だと思うから。
「ッ!」
たじろいだ弟。見るからに動揺している。
恐らく『まー、何にもないだろうけど一応聞いとくかー』レベルだったんだろう。予想にもしていなかったから余計に驚いて――
「うっ……ぁ……」
ショックを受けてしまったのだろう。
静かにぽろぽろと涙を流す弟――ルートに俺は何と言って良いか分からずオロオロするばかりだった。
「……私、少し休憩してきますね。何かあったら休憩室まで連絡をください」
「は、はい」
立て込むと予想したのか、そっと退出してくれる看護師さん。
まあ、他に患者はいないようだし、ルートの状態が悪くなっても俺がいるから大丈夫だろう。休憩も大事だしな。
「……ねぇ、どんな事があったの?」
こ、これは何と答えるべきか。
不用意に『婚約成立寸前まで行ったよ☆』とか『明日指輪選びに行くよ☆』とか言わない方が良いだろう。いやでも嘘吐くのもなぁ。
そうだ。これなら嘘になっていない。
ここから徐々に俺とグラスの関係に慣れて行ってもらおう。流石に今回は超展開すぎるからな。
「好きな人が出来た」
まあ個人名は出してないけど『あの後王子と何も無かったんだよね?』という質問からここに辿り着いている訳だから誰を好きになったのかは分かるはずだが……いっそ直接言った方がルートにとっても幸せだったんじゃないのか?
中途半端な優しさ程人を傷つけるものはないとか言うしな。
俺が言い方に悩んでいると、ルートは悟ったように一言、
「そっか」
と言った。
とても落ち着いていて、静かな声だった。
更に俺が何と言って良いか迷っていると。
「ごめん、お兄ちゃん。ちょっとだけ一人にしてくれないかな?」
「あ、ああ」
素直に医務室から出た。
しばらく看護師さんを呼ぶのはやめておこう。
だって――
『あっ……うぅぅ……ああああああああああああああああ!』
こんな姿、誰にも見られたくないだろうからな。
グラスが間延びした声でツンツンと俺の頬をつつく。完全に部活の先輩(女)の絡み方だ。頬はつつかない場合も多いけどな。
はぁー……。どうしてこうなった。
「あんな可愛い声で『結婚して』って……プロポーズなの? 指輪買ってきた方が良いの?」
ニヤニヤとしながら冗談交じりに俺に問うグラス。
やり返すために俺も乗っかってやることにした。
「いやいや、まだ早いですよ」
イタズラっぽく言ってやった。
さて、果たして気が付いてくれるのか?
「……ん?」
一瞬だけ固まった後、水を得た魚のように――
「ねえねえ、今、まだって言った? まだって言ったよね!?」
目を大きく見開かせて俺に詰め寄って来た。
思った以上の反応だな。
やたら詰め寄ってきただけに、俺とグラスの距離はグラスの匂いがすぐそばで感じられる距離になっていた。近い近い!
「言いましたよ?」
内心の動揺を悟らせないために余裕たっぷり風に言い放った。
「じゃあ今からカタログ取り寄せとくね?」
【朗報】指輪の購入、決まる
結局結婚準備が進んだだけだった――!
いやいや、王家がそんな事していいのかよ?
男色的な? それだったらちょっと、いやだいぶ悲しいのだが……
「ああ、正妻の指輪を選ぶのがこんなに楽しい事だとは思わなかったよ!」
違った。コイツ本気だ。
一瞬でも疑ってしまった自分が憎い。これからはこんな事絶対に思わないようにしよう。
「……うん、やっぱりカタログじゃ駄目だ」
「え? どういう事だ?」
俺の言葉を待ってたかのように、グラスは言葉を紡ぐ。
「明日宝石店見に行こう!」
…………え?
「い、いや、嬉しいのですが王子という立場上マズいのでは」
身分差も確かにそうなのだが、男二人で結婚指輪でワイワイ言うのは政敵に付け込まれる要因に成り得るのでは、という心配も兼ねてのことだったが。
「いやだなぁ、そんな心配しなくても大丈夫だよ? 貸し切りにするから」
さすが王家。格が違う。
俺と指輪を吟味するためだけに何も貸し切りにしてくれなくてもいいのだが、言っても聞かなそうだしやめた。
「じゃあ、僕は店を吟味してくるね! また明日!」
「あ、はい!」
今日はやたら人間関係(グラスとの関係)が進展したな……
「イヤッフゥ――ッ!」
「王子、落ち着いてください」
俺はやたらテンションの高いグラスとSP的な人を見送った後、弟の様子を見に行くために医務室へと向かった。
「おーい、大丈夫か?」
「お、お兄ちゃん……大丈夫だよ」
ちょっと具合が悪そうではあるが、だいぶ回復ている様子だ。明日までには治っているだろう。
とりあえず心配する域から外れた事に安堵した。
「ところでっ!」
まだ体調が完全に回復している訳でもないのに、ずいっと身体を近づける弟。何だ?
「あの後王子とは何にもなかったんだよね?」
す、すごい迫力だ……
だが、何にもなかったと言えば嘘になるんだよなぁ。どうする、俺?
「…………何にもなかったと言えば嘘になる」
たっぷり悩んでから、本当のことを言う事に決めた。
ここで嘘を吐いてしまったら失礼だと思うから。
「ッ!」
たじろいだ弟。見るからに動揺している。
恐らく『まー、何にもないだろうけど一応聞いとくかー』レベルだったんだろう。予想にもしていなかったから余計に驚いて――
「うっ……ぁ……」
ショックを受けてしまったのだろう。
静かにぽろぽろと涙を流す弟――ルートに俺は何と言って良いか分からずオロオロするばかりだった。
「……私、少し休憩してきますね。何かあったら休憩室まで連絡をください」
「は、はい」
立て込むと予想したのか、そっと退出してくれる看護師さん。
まあ、他に患者はいないようだし、ルートの状態が悪くなっても俺がいるから大丈夫だろう。休憩も大事だしな。
「……ねぇ、どんな事があったの?」
こ、これは何と答えるべきか。
不用意に『婚約成立寸前まで行ったよ☆』とか『明日指輪選びに行くよ☆』とか言わない方が良いだろう。いやでも嘘吐くのもなぁ。
そうだ。これなら嘘になっていない。
ここから徐々に俺とグラスの関係に慣れて行ってもらおう。流石に今回は超展開すぎるからな。
「好きな人が出来た」
まあ個人名は出してないけど『あの後王子と何も無かったんだよね?』という質問からここに辿り着いている訳だから誰を好きになったのかは分かるはずだが……いっそ直接言った方がルートにとっても幸せだったんじゃないのか?
中途半端な優しさ程人を傷つけるものはないとか言うしな。
俺が言い方に悩んでいると、ルートは悟ったように一言、
「そっか」
と言った。
とても落ち着いていて、静かな声だった。
更に俺が何と言って良いか迷っていると。
「ごめん、お兄ちゃん。ちょっとだけ一人にしてくれないかな?」
「あ、ああ」
素直に医務室から出た。
しばらく看護師さんを呼ぶのはやめておこう。
だって――
『あっ……うぅぅ……ああああああああああああああああ!』
こんな姿、誰にも見られたくないだろうからな。
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