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2章 ミュラー青春の謳歌
社会の洗礼③
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そして軍曹の地獄のしごきは続いた。
「休めーーーーー!!!!」
今度はオルマがしでかした。
あまりに気を放出したせいで。
制御ができず気を暴走させてしまったのだ。
軍曹が容赦なく、渾身の力を込めてオルマの尻に丸太を叩き込む。
「ふぎゃあああ!!!!!!」
「オルマ!アンタはこの訓練2回目でしょ! いつになったら一人前の動き見せてくれるの!! あんたの小ぶりな尻を安産型にするまで叩きつけてあげるわ!!!!」
オルマの尻に何度も丸太が振り下ろされる。
「うぁあああああああああああ!!!!!!!!」
「アタシのおかげでいい形の尻になったじゃないの、感謝しなさい」
俺達は軍曹の地獄のようなしごきに戦慄し、ただただ恐怖し、ひたすら「気を付け」、「休め」この二つの号令を繰り返し、ただただ長い長い一日が終わることを望んでいた。
もちろん、今日も全員アナコンダの精力剤でヤク漬けにされている。
疲労と薬物のせいで意識が混濁していく中、ひたすら気タオを放出、そして制御して消す。この繰り返しだった。
その間は言葉にもしたくないようなしごきのフルコースだ。
ああ……もっと人間らしく生きていたい……。
先日食べたカサカサのパンが御馳走に思える。
なんで食事がアナコンダの精力剤なんだ。
途中から意識は途絶えていた。
それでも、号令の合図とともに、反射的に行われる気の操作。
全ての感覚が麻痺していた。
気づけば、夕日が暮れる。
すると、威勢のいい鬼軍曹の叫び声が響き渡った。
「今日の訓練、ここまで!!」
体から一気に力が抜け、俺はへなへなと身体の力を抜いた。
立ちっぱなしで何時間経ったんだ?
「何やってんの! 整列!!」
四人は這う這うの体で、整列する。
すかさず軍曹が声を上げる。
「こんなくらいの基礎訓練で遅れをとられても困るわよ! 地元じゃちょっとばかし力があるからって自信持ってたかもしれないけど、そんなチンケなプライド、クソの役にも立たないから、覚えておいて!」
なんの前ぶれもなくジラールのみぞおちに丸太を叩きこむ。
堪らずジラールは膝をついた。
「今のアンタたちじゃ、ハンターの現場に行ったところで、ただの足手まといどころか、真っ先に死ぬだけよ! 自分の命すら守れない奴はチームにはいらないわ!」
軍曹はジラールの背中をぐりぐりと踏みつける。
「こんな訓練も乗り越えられない奴はハンターの素質がないってこと、頭に刻んでおくことね! チームから一人も死人を出すわけにはいかないのよ! 素質がない奴は帰りなさい! 今すぐ!! はい、礼!!」
四人はすぐさま反応できず、バラバラな動きをした。
容赦なく丸太が投げつけられる。
「ちょっと気を抜くとこれね。最近の新人の中じゃ一番ひどい出来よ。アンタたち、何しに来たの?」
こうして訓練二日目は終了した……。
四人はその場から、糸が切れた人形のように崩れ落ちる。
ミュラーは倒れながら思う。
体も、頭も、限界だ……。
その時、ジラールが手を差し伸べてきた。
「やっと終わったんだ。帰ろうぜ。……立てるか?」
ジラールに助けられ、身体を起こすミュラー。
オルマが泣き言を言う。
「尾てい骨が折れてる! 立てない!」
ガタガタと身震いさせながらクロエも続く。
「薬の飲みすぎで、身体が言うことを聞いてくれないわ」
ジラールとミュラーは顔を見合わせてつぶやいた。
「……おぶってやるか」
四人は夕日を背に、帰路へと足を動かす。夜の街を潜り抜けて。
俺はふと街の明かりをぼんやりと眺める。
このままずっと夜が続けばいいのに……覚めない悪夢はまた明日も繰り返されるのか……。
明日の朝の起床ラッパを聞くことに、恐怖を覚えた。
不思議と腹は空いていない。
悲しいことに、アナコンダの精力剤で腹は満たされている。
今夜も深い眠りに就きそうだ。
あの悪魔の笑みを浮かべた少女のせいで、自分の中の自尊心が崩れていくのが分かる。
心の中の防波堤が、今盛大にひび割れているのを感じた。
これが、心が折れそうになるということか……。
俺はこんなにも弱い人間だったのか。
俺の目からあふれた涙を、ジラールが拭う。
「泣くな、男だろ。あの高慢ちきな女に男の恐ろしさを教えてやる。あいつぜってー処女だぜ、ハハ」
ジラールの笑いに俺もつられる。
すると、他の二人も笑い始めた。
笑い声が夜のベガスにこだまする。
下品な言葉だったが、ジラールの軽口で四人の心は温まった。
笑いながら、祈りのように指を重ねて、小さくつぶやく。
「俺はまだやれる」
こうして地獄のような日々が3週間過ぎた。
思い出しただけで吐き気をもよおす日々だった。
「休めーーーーー!!!!」
今度はオルマがしでかした。
あまりに気を放出したせいで。
制御ができず気を暴走させてしまったのだ。
軍曹が容赦なく、渾身の力を込めてオルマの尻に丸太を叩き込む。
「ふぎゃあああ!!!!!!」
「オルマ!アンタはこの訓練2回目でしょ! いつになったら一人前の動き見せてくれるの!! あんたの小ぶりな尻を安産型にするまで叩きつけてあげるわ!!!!」
オルマの尻に何度も丸太が振り下ろされる。
「うぁあああああああああああ!!!!!!!!」
「アタシのおかげでいい形の尻になったじゃないの、感謝しなさい」
俺達は軍曹の地獄のようなしごきに戦慄し、ただただ恐怖し、ひたすら「気を付け」、「休め」この二つの号令を繰り返し、ただただ長い長い一日が終わることを望んでいた。
もちろん、今日も全員アナコンダの精力剤でヤク漬けにされている。
疲労と薬物のせいで意識が混濁していく中、ひたすら気タオを放出、そして制御して消す。この繰り返しだった。
その間は言葉にもしたくないようなしごきのフルコースだ。
ああ……もっと人間らしく生きていたい……。
先日食べたカサカサのパンが御馳走に思える。
なんで食事がアナコンダの精力剤なんだ。
途中から意識は途絶えていた。
それでも、号令の合図とともに、反射的に行われる気の操作。
全ての感覚が麻痺していた。
気づけば、夕日が暮れる。
すると、威勢のいい鬼軍曹の叫び声が響き渡った。
「今日の訓練、ここまで!!」
体から一気に力が抜け、俺はへなへなと身体の力を抜いた。
立ちっぱなしで何時間経ったんだ?
「何やってんの! 整列!!」
四人は這う這うの体で、整列する。
すかさず軍曹が声を上げる。
「こんなくらいの基礎訓練で遅れをとられても困るわよ! 地元じゃちょっとばかし力があるからって自信持ってたかもしれないけど、そんなチンケなプライド、クソの役にも立たないから、覚えておいて!」
なんの前ぶれもなくジラールのみぞおちに丸太を叩きこむ。
堪らずジラールは膝をついた。
「今のアンタたちじゃ、ハンターの現場に行ったところで、ただの足手まといどころか、真っ先に死ぬだけよ! 自分の命すら守れない奴はチームにはいらないわ!」
軍曹はジラールの背中をぐりぐりと踏みつける。
「こんな訓練も乗り越えられない奴はハンターの素質がないってこと、頭に刻んでおくことね! チームから一人も死人を出すわけにはいかないのよ! 素質がない奴は帰りなさい! 今すぐ!! はい、礼!!」
四人はすぐさま反応できず、バラバラな動きをした。
容赦なく丸太が投げつけられる。
「ちょっと気を抜くとこれね。最近の新人の中じゃ一番ひどい出来よ。アンタたち、何しに来たの?」
こうして訓練二日目は終了した……。
四人はその場から、糸が切れた人形のように崩れ落ちる。
ミュラーは倒れながら思う。
体も、頭も、限界だ……。
その時、ジラールが手を差し伸べてきた。
「やっと終わったんだ。帰ろうぜ。……立てるか?」
ジラールに助けられ、身体を起こすミュラー。
オルマが泣き言を言う。
「尾てい骨が折れてる! 立てない!」
ガタガタと身震いさせながらクロエも続く。
「薬の飲みすぎで、身体が言うことを聞いてくれないわ」
ジラールとミュラーは顔を見合わせてつぶやいた。
「……おぶってやるか」
四人は夕日を背に、帰路へと足を動かす。夜の街を潜り抜けて。
俺はふと街の明かりをぼんやりと眺める。
このままずっと夜が続けばいいのに……覚めない悪夢はまた明日も繰り返されるのか……。
明日の朝の起床ラッパを聞くことに、恐怖を覚えた。
不思議と腹は空いていない。
悲しいことに、アナコンダの精力剤で腹は満たされている。
今夜も深い眠りに就きそうだ。
あの悪魔の笑みを浮かべた少女のせいで、自分の中の自尊心が崩れていくのが分かる。
心の中の防波堤が、今盛大にひび割れているのを感じた。
これが、心が折れそうになるということか……。
俺はこんなにも弱い人間だったのか。
俺の目からあふれた涙を、ジラールが拭う。
「泣くな、男だろ。あの高慢ちきな女に男の恐ろしさを教えてやる。あいつぜってー処女だぜ、ハハ」
ジラールの笑いに俺もつられる。
すると、他の二人も笑い始めた。
笑い声が夜のベガスにこだまする。
下品な言葉だったが、ジラールの軽口で四人の心は温まった。
笑いながら、祈りのように指を重ねて、小さくつぶやく。
「俺はまだやれる」
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思い出しただけで吐き気をもよおす日々だった。
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