転生したら村人Dだっただ

流星 ひかり

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第2章 繰り返される世界

繰り返される世界 Part4

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「村人D!!今日村に【カタリベ】が来てるよ!広場に行こうよー。」

弟が僕を呼びに来た。
遂にこの日がやってきた。
リリー達を救えたかが確かめられる日。
2週目の世界では、作物の痛みがやや多かったり、弟が転んで軽い怪我をしたり、昨夜はかなり近くで大きな落雷があったりと一週目と少し違う出来事が僕の周りでも起きていたが、カタリベがこの村に来る周期や勇者達の冒険のペースはほとんど変わらないようだ。
一周目ではちょうど今日のこのタイミングで臨時ニュースとしてカタリベからリリーの死が伝えられた。
今回はそうはならない!
今日全てが決着する!
あの老人はリリー達を救えないと断言した。
それが間違いだと証明してみせる。

「よお、村人D!来てたのかあ‼︎」

「村長お久しぶりです。」

「村長この間はガルフ鍋ご馳走様!美味しかったなあ。」

この会話一周目でもあったな。

「村人D、見えた悪い未来変わってると良いな。」

村長は相変わらず心配してくれて良い人だ。
僕の話しも信用してくれているらしい。
ただこの間、勇者達が村に来た時、気になった事がある。
ビリっと村の皆が操られている時、僕を除いて村長だけは村の人と違って自分の意思があったように感じた。
村長は勇者達が中々リリーを迎えに来ないので様子を見に来たり、他の皆は決まった台詞を何かの力に喋らされている様子なのに村長は勇者ジャンやカインと「会話」がちゃんと成立していた。
考え過ぎだろうか?

「お集まり頂きありがとうございます。」

カタリベが話し出した。

あれ?テンションが前と違って低い。
嫌な寒気がした。

「勇者ジャン、焔髪の盗賊王カイン、聖犬クルス、エンシャン族の巫女リリー、王宮魔術師ジーカネルは激しい戦いの末ギクロムの殺人鬼を討伐しました。
魔王の追撃を察知した勇者達御一行は1人だけ対象者を訪れた事のある遠くの場所へ転送出来る移動魔法アイテム【ランバスの天翼】を使用しエンシャン族の巫女、リリー様をエソの町に転送して匿おうとしました。
しかし魔王には何故かリリー様の場所がバレており、魔王はすぐさまエソの町へと向かったのです。
魔王の空を舞う速さは太陽の光が世界を照らす早さよりも夜の闇が世界を覆うよりも早いと伝え聞きます。」

ああ、もう駄目だ。僕は役立たずだ。
リリーを救えない。

「そして誠に残念な事にリリー様はお亡くなりになりました。
18歳の若さでした。
エソの町で魔王はリリー様に漆黒の雷(いかずち)という黒魔術を放ちました。
これによりリリー様が隠れていた宿の周辺にいた200名あまりの住民が死亡、20棟の建物が全壊しました。」

僕の両目から涙が溢れでた。
これが絶望。



その頃、昨夜突然訪れた絶望の悲しみに暮れるエソの町の空の下で老人は目を閉じ、広い空を仰いでいた。

「おお、感じるぞ。可愛い人形。悲しんでおる。絶望しておる。不甲斐ない自分を憎んでおる。
ならばわしはお前に鞭を与え続けよう。
可愛い可愛い人形よ。
今こそ試練の時。
その憎しみを試練に向け、乗り越えよ!
これを乗り越えればお前は女神に近づける最高傑作の人形に。
失敗すればゴミ箱へ捨てられる出来損ないの人形に。
さあ始めるぞ!」

老人は白い一枚の羽を銀色の四角い箱に乗せた。

「ランバスの天翼よ!希望への絶望を我が愛しの人形の元へ!」

老人がそう唱えると銀色の箱と羽が白く光り消えた。


Part5へ続く








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