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騒然
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「ねぇ」
「ええ」
教室前の廊下でたむろする生徒たち。
「キレイ……」
退屈な授業が始まる前の楽しい級友との時間。
昨日あったことを笑いながら話し、それを聞いたものは「バカだな」と一緒に笑う。あるいは、今日も授業が始まる、と憂うつそうに話し、それに同意する者たちと様々だ。
普段ならそのまま授業開始の鐘が鳴るまで話し倒すのだが、今日は違った。
廊下にいる者たち全ての視線が一人の人物に注がれる。
「美しい……」
「キレイ……」
その者は、目を伏せ気味に、スクールバッグを両手を重ねて持ち、ゆっくりと歩む。
そのたびにバラとも、スズランとも、ジャスミンとも違うフレッシュな柑橘系の香りがただよう。
さらに金糸のようなサラサラした髪からも良い香りが。
「いい香り……」
廊下でたむろするもの全てが、その人物に魅了され、熱い吐息をもらす。激しく鳴り響く心臓をおさえて。
(だ、大丈夫だよね?ボク、変じゃないよね?)
その者ーーユリウス・ワーグナーは、立ち止まり薄く開いていた瞳を開けて、周囲を見る。
(……ぎゃあああ!!みんながボクを見てる!?……なんで?)
ユリウスはコテンと首を傾げる。
その仕草に、
「ま、まずい……」
「む、胸が苦しいぃぃ」
男性陣はどんどん激しく脈動する心臓をおさえ、茹で蛸のように顔を赤く染め上げる。
一方の女性陣は、
「く、、、」
「なんだか同じ女として悔しい……」
ハンカチを噛み締め、嫉妬からきつい目で睨みつけていた。
(ふぅぅぅ)
ボクは周りから向けられる視線に恐怖を覚えつつ、それでも、
(ボクは変わる!変わるぞ!)
顔を上げて目を開く。自分に向けられる視線に、体が震え踵を返して自室に戻るという考えが浮かんだけど、今朝自分に誓ったばかりの約束を思い出して、
(大丈夫、大丈夫、大丈夫!!)
自分のクラスへと歩を進めた。
「おい、あんな子いたか?」
「さ、さあ」
廊下を進む中、息を止めていたボクは、教室のドアの前に立つと、
「ふぅぅぅ」
静かに息を吐き出し、新鮮な空気を体内へと取り込む。
「よし!」
それから一拍おいて、ドアを横にスライドさせ、教室へと足を踏み入れた。
「……おい」
「だ、誰だ?」
扉を開くとクラスメイト全員の視線が注がれる。そして、皆、ボクから距離を取って、
「あんなヤツうちのクラスにいたか?」
「いや、いねえよ。転校生じゃねえの?」
「それにしても……」
「き、キレイ……」
「ふん!私より目立つなんて嫌味な子!」
ボクに見惚れる者、自身よりも目立つボクに嫉妬する者と様々な反応をひそひそとボクに聞こえるか聞こえないかという声音で話す。
(落ち着かない……)
いつもと違う反応にソワソワしながらも自身の席に腰かける。
「お、おいあの席って……」
「あ、ああ……でも、あいつは」
察しのいい男子は信じられないという顔をし、
「ユリウス様の席に座ったわよ」
「信じられない!なんて子なの!」
女子たちは自分たちの憧れの存在である者の席に腰掛けるという無礼極まりない行為に腹を立て怒る。
「はぁぁ、反応なかったから来ねえよな」
そのとき肩を落としながらスレインが教室へとやって来た。
「お、おはよう。スレイン」
そんなスレインに向かって、おずおずと手を挙げボクは挨拶した。
「……あー、一瞬誰だかわからなかったわ。おはよう、ユリウス」
いつもと変わらぬ挨拶を返してくれるスレイン。
そんなことないと思いつつも、「変な格好だな」とか言われたらどうしようと不安だったボクは、
「うん!おはよう!」
嬉しくて朗らかな笑みを浮かべ挨拶を返した。
「……うそぉぉ!!」
「あ、あの女が?!」
「ユリウス様ぁぁ!?」
そして、見知らぬ女生徒の正体がボクだと知ったクラスメイトたちの驚愕の声が学園中に響き渡った。
「ええ」
教室前の廊下でたむろする生徒たち。
「キレイ……」
退屈な授業が始まる前の楽しい級友との時間。
昨日あったことを笑いながら話し、それを聞いたものは「バカだな」と一緒に笑う。あるいは、今日も授業が始まる、と憂うつそうに話し、それに同意する者たちと様々だ。
普段ならそのまま授業開始の鐘が鳴るまで話し倒すのだが、今日は違った。
廊下にいる者たち全ての視線が一人の人物に注がれる。
「美しい……」
「キレイ……」
その者は、目を伏せ気味に、スクールバッグを両手を重ねて持ち、ゆっくりと歩む。
そのたびにバラとも、スズランとも、ジャスミンとも違うフレッシュな柑橘系の香りがただよう。
さらに金糸のようなサラサラした髪からも良い香りが。
「いい香り……」
廊下でたむろするもの全てが、その人物に魅了され、熱い吐息をもらす。激しく鳴り響く心臓をおさえて。
(だ、大丈夫だよね?ボク、変じゃないよね?)
その者ーーユリウス・ワーグナーは、立ち止まり薄く開いていた瞳を開けて、周囲を見る。
(……ぎゃあああ!!みんながボクを見てる!?……なんで?)
ユリウスはコテンと首を傾げる。
その仕草に、
「ま、まずい……」
「む、胸が苦しいぃぃ」
男性陣はどんどん激しく脈動する心臓をおさえ、茹で蛸のように顔を赤く染め上げる。
一方の女性陣は、
「く、、、」
「なんだか同じ女として悔しい……」
ハンカチを噛み締め、嫉妬からきつい目で睨みつけていた。
(ふぅぅぅ)
ボクは周りから向けられる視線に恐怖を覚えつつ、それでも、
(ボクは変わる!変わるぞ!)
顔を上げて目を開く。自分に向けられる視線に、体が震え踵を返して自室に戻るという考えが浮かんだけど、今朝自分に誓ったばかりの約束を思い出して、
(大丈夫、大丈夫、大丈夫!!)
自分のクラスへと歩を進めた。
「おい、あんな子いたか?」
「さ、さあ」
廊下を進む中、息を止めていたボクは、教室のドアの前に立つと、
「ふぅぅぅ」
静かに息を吐き出し、新鮮な空気を体内へと取り込む。
「よし!」
それから一拍おいて、ドアを横にスライドさせ、教室へと足を踏み入れた。
「……おい」
「だ、誰だ?」
扉を開くとクラスメイト全員の視線が注がれる。そして、皆、ボクから距離を取って、
「あんなヤツうちのクラスにいたか?」
「いや、いねえよ。転校生じゃねえの?」
「それにしても……」
「き、キレイ……」
「ふん!私より目立つなんて嫌味な子!」
ボクに見惚れる者、自身よりも目立つボクに嫉妬する者と様々な反応をひそひそとボクに聞こえるか聞こえないかという声音で話す。
(落ち着かない……)
いつもと違う反応にソワソワしながらも自身の席に腰かける。
「お、おいあの席って……」
「あ、ああ……でも、あいつは」
察しのいい男子は信じられないという顔をし、
「ユリウス様の席に座ったわよ」
「信じられない!なんて子なの!」
女子たちは自分たちの憧れの存在である者の席に腰掛けるという無礼極まりない行為に腹を立て怒る。
「はぁぁ、反応なかったから来ねえよな」
そのとき肩を落としながらスレインが教室へとやって来た。
「お、おはよう。スレイン」
そんなスレインに向かって、おずおずと手を挙げボクは挨拶した。
「……あー、一瞬誰だかわからなかったわ。おはよう、ユリウス」
いつもと変わらぬ挨拶を返してくれるスレイン。
そんなことないと思いつつも、「変な格好だな」とか言われたらどうしようと不安だったボクは、
「うん!おはよう!」
嬉しくて朗らかな笑みを浮かべ挨拶を返した。
「……うそぉぉ!!」
「あ、あの女が?!」
「ユリウス様ぁぁ!?」
そして、見知らぬ女生徒の正体がボクだと知ったクラスメイトたちの驚愕の声が学園中に響き渡った。
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