かわいいものが好きなボクは、ボクを否定する王子を「ざまぁ」して胸を張って生きていきます。

さくしゃ

文字の大きさ
12 / 33

仲良くしたいです①

しおりを挟む
 朝のホームルーム。先生が、

「季節はずれの風邪が流行っているので、みんな気をつけるように」

 と、注意事項を伝える。

「なんだろうな。10年ぶりに見たけど、やっぱりお前はそっちの方がしっくりくるわ」

 隣の席に座るスレインは、先生の話を聞くフリをしてボクに話しかけてくる。

 いつもなら無言でコクリと頷いて返答して終わりなんだけど、

「ありがとう」

 今日は微笑み返した。

 なんでだろう。人の目は未だに怖いし、緊張で手が震えているし、自信だってない。だけど、前よりも自分に胸を張れてる気がする。

「か、かわいい……」

「あいつは男!あいつは男なんだ!!」

「新たな扉が今開いた」

 男子たちが何やらザワザワとし出す。

「お前たち静かにしろ!」

 そんな男子たちに先生からお叱りが飛ぶ。

「気持ち悪い……」

「バカな男どもがモテはやすからって調子にのんな」

「ブス」

 そんな男子達とはうってかわり、女子達からは鋭い視線が向けられる。

「そういえばお前ってそんなふうに笑うやつだったな」

 スレインも笑った。

 そうしてホームルームが終わり、1時間目は魔法工学の実習で校庭集合。

 各々が運動服を手に更衣室へ行き、校庭へ移動する。

「一人で大丈夫か?無理なら俺が声かけてきてやってもいいんだぞ?」

 深緑の運動服に、深緑の髪と、全身ほぼ緑のスレインが冷や汗を流して、ボクと校庭へ向かう女子達を交互に見て焦る。

「ううん。それじゃ意味がない。ボク一人で声をかけないと」

 ボクは頬を叩いて、

「いってくるよ」

 心配顔のスレインに告げる。

「お、おう!何があっても骨は俺が拾ってやるからな!心配せず砕けてこい!」

「そこは『頑張ってこい!』くらいでいいと思うけど……もし砕けて落ち込んだらその時はお願い!」

 スレインに背中を押され女子達のもとへ。

(誰に声をかけよう……)

 前をいく十五人の女子。それぞれがいつものメンバーと楽しそうに話す。はたから見て、今さら別の人物がその仲に入れる余地なんてなさそう。

(……って、まだ話しかけてもいないのに諦めるなんて、こんなんじゃ今までと変わらない!)

 ボクは首を振り、

「でさ、今日の放課後あいつに渡そうと思うんだ」

「ついにか……頑張れ!」

「私も応援してるよ!頑張れ!」

 と話す3人組の女子に、

「あ、あの……」

 思いきって。弱々しくはあったけど、声をかけた。

(は、話しかけちゃった!)

 ボクの声に3人組の女子が振り返る。

(どうしよう!この後なんて話を続けたらいいんだろう……)

 緊張を悟られないように努めて自然に振る舞う。だけど、足と喉の震えが止まらない。

(そうだ!まずは今日の調理実習について話そう!)

 女子達が完全に振り返る前に「話題」について当たりをつけたボクは、静かに息を吐き、笑顔を作る。

「「「……」」」

 三人組の女子は無言でしばらくボクのことを見つめる。そして一人の女子が他の二人に目配せすると頷き、

「どんな反応してくれるかな?」

「そりゃ喜ぶでしょ!」

「そうそう!私だったら嬉しいよ!」

 ボクに背を向けて歩き出した。まるで、ボクが話しかけたことがなかったかのように。

「……え?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

処理中です...