かわいいものが好きなボクは、ボクを否定する王子を「ざまぁ」して胸を張って生きていきます。

さくしゃ

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仲良くしたいです②

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「まあ、元気出せって」

「……」

 放心状態でベンチに腰掛けるボクの肩にスレインが優しく手を置く。

「ほら、熱いうちに食べないとせっかく買ったばかりの『猪肉のブラウンソース煮込み』が冷めちまうぞ」

「……いただきます」

 スレインからお皿を受け取り、小声で食材へ感謝を述べ、フォークを使って猪肉を一口大にさく。

「んっ」

 猪肉に塩コショウを振り、煮込む前に焼く。猪肉の旨みを内側に閉じ込めるために。そうすることで食べた時に、豊かな肉汁が楽しめる。

 さらに、肉と野菜の旨みが溶け出したブイヨンに、バターで炒めた小麦粉を入れることで、味の幅が広がりトロトロとした最高のソースが出来上がる。

 そのソースは肉の旨みを高め、二段階も上の味へと仕上げる。

 と、料理好きな通常時のボクなら感動している。

 だけどーー。

「美味しくねえのか?」

「うん」

 今のボクはそれどころではなかった。

「なぁ、たまたまだって! 女の子の日で機嫌が悪かっただけだって!」

 ボクの背中をバシバシ叩きながら、スレインは「だから気にするな」と励ましてくれる。

「……」

 あのあと、3人組の女子に声をかけて無視された後、

(……)

 ショックを受けたボクは、目尻に涙が浮かんだ。だけど……、

(こんなことで落ち込んでちゃいけない!まだ一回声をかけただけじゃないか!)

 諦めそうになるボクの脳裏にオルナさんの笑顔が浮かんだ。

 あんなに小さな身体で、自身の倍以上大きはスライスに立ち向かった。臆することなく。

 そんな姿を思い出したら、落ち込んでなんていられないと思った。

「まだまだ!」

 奮起したボクは、別の女子生徒に声をかけた。

「……」

 その度に無視されたけど、めげずに「まだまだ!」と声をかけた。だけど、、、

「……」

 全員に無視された。普通に話しかけるのがいけないのかと思い、

 明るく話しかけてみたり、

 授業についてわからなかったところを質問してみたり……いろんな工夫をしてみた。

 けれど、一人としてボクに答えてくれる人はいなかった。

「あんまり深く考えんな。とにかく今は飯を食え」

「うん……」

 スレインに促されるままに猪肉を食べる。

「諦めな」

 そのとき入り口の方から女性の冷ややかな声がした。

 猪肉に視線を落としていたボクは顔を上げる。

「オルナさん……」

 その人物はオルナさんだった。

 オルナさんは、きつい顔でボクを見つめ、

「無視される程度のことで諦めようとするぬるい覚悟のヤツには無理」

 そんなことを言った。

「……おい。なんでお前にそこまで言われなきゃいけないんだよ」

 隣で聞いていたスレインは、くっきりとした青筋を浮かべると立ち上がり、オルナさんへと詰め寄る。

「お前にこいつの何がわかんだ?」

「何も」

 険しい表情で睨み合う二人。

「なら、横から口出しすんな!」

「うるさいやつだな。私はあんたに言ってんじゃなくて、そこでしょぼくれてるやつに言ってんだよ」

 一触即発。どちらも拳を握り臨戦体勢。

 緊迫した空気が場を支配する。そんななか、

「ボクが全員から無視されたって、なんで知ってるの?」

 ボクは空気を読まずにオルナさんへと尋ねた。

(オルナさんはA組で、ボクはC組。それにオルナさんは、授業は受けずに保健室で過ごす。そんなオルナさんがなんでボクが全員から無視されたって知っているんだ?おかしい……)

「た、たまたま!たまたま噂で聞いただけ……」

 慌てた様子でボクから目を逸らし、オルナさんはそう答え、

「じゃ、じゃあね!」

 少しして屋上から走り去っていった。 

「な、なんだったんだ?」

 スレインは困惑した顔で、オルナさんがいなくなった入り口を見つめる。

 その横でボクは、

(オルナさんは見ていてくれたんだ。ボクのことをーー)

 本人が口にしたわけではないから百パーセント正しいかと問われると言い切れないけど、それでも「好きな人が見ていてくれてる」と思うと、体の内側から力が湧いてきた。

「よーし!落ち込んでいられない!スレイン!早く食べちゃお!」

 元気を取り戻したボクは、豪快に猪肉を喰らう。

「……急に元気になりやがった。どうなってんだ…」
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