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オルナさんと異変
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『レードンと魔の森の王女様』
20年前に、オーガニクス王国内で発行された大人気ベストセラーで、ひょんなことから知り合った旅人のレードンと王女の恋愛物語。
"縛られることが嫌いな旅人のレードンが、最後は魔の森を出ることができない王女を思って森に残るの"
本を紹介してくれたグレイスさんはうっとり顔で遠くを見つめ、1人だけの、正確には、本を元にした妄想の世界へと意識が飛んでいき、
「やだ!レードン様ったら!」
と赤面し、隣にいるボクの背中を何度もバシバシ叩いた。
「まだヒリヒリする」
ボクは体育館ほどの広さの図書館の中を進む。
借りた本は各自で元の場所に返すことになっているので、ボクは借りた「ボンデッド。世界が燃えた日」を返却しに図書館の端っこにある本棚を目指して歩き、階段を登った。
階段を登りながら、右手でスカートの裾を押さえる。なぜなら下からボクに視線を向ける男子生徒にスカートの中身を見られないために。
「あれが男って信じられねぇ……」
「俺はどっちでもいい。あんなに可愛ければいける」
下世話な会話と、背筋がゾワゾワする視線が向けられる。
(はぁぁ……)
ため息しか出ない。
なんでいちいちスカートの中身を覗いてくるのかが理解できない。それに見ず知らずの人に向かってイケるイケないと話すこと自体、失礼にも程がある。
「気にしてもしょうがないか」
と思いを心中ではなくて、口に出す。
心中で「あーでもないこーでもない」と無理にでも思考を変えようと頭の中で押し問答していると、よくないことばかりを考えるようになって憂鬱な気持ちになってしまうので、口に出していうようにしている。
うんざり顔でぶつぶつと呟きながら階段を登っていると、
「あっ……」
と階上から声がした。
「……オルナさん」
声のした方に顔を向けるとそこにはスクールバッグを背負ったオルナさんがいた。目の周りを真っ赤に染めて。
◇◇◇
(よ、よりによってなんてタイミング……)
私は、今もっとも顔を合わせたくないーー正確に言えば、顔が合わせづらい相手、ユリウスの出現に困惑。
「あ……」
モジモジと恥ずかしそうにするユリウスが顔を朱に染めながら声を絞り出した。
「……!」
そして勇気を振り絞って顔を上げて何かを言おうとしていた。が、私は、ユリウスが顔を上げると同時に二階の手すりに足をかけ、階下へと飛び降りた。
「え……」
呆気に取られたユリウスと目があった。
それから1秒にも満たない浮遊感のあと、すぐに床へ到達。猫のようにしなやかに無音の着地を決めた。
「ええええ!!」
2階の方からユリウスが驚く声あげながら手すりに捕まって顔を出した。
「……」
そんなユリウスに私は何も言わず、背を向けて図書館出口へと走った。
(……なんで逃げてるんだ)
自分でも自分の行動に驚きが隠せない。
なぜか胸につまりのようなものを感じた瞬間、手すりに足をかけて飛んでいた。
(とにかく今は1人になりたい)
図書館を出た私は、
「待って!オルナさん!」
私を追いかけてくるユリウスを振り切るために、校内を走り、中庭を通って、屋上へ登る階段を駆け上がった。
(この時間、あそこは誰もいない)
屋上は7階、さすがの私も階段を登りきる頃には、
「はぁはぁ」
多少は息を切らしていた。
(……まけたな)
階段を登って来るものはいない、足音もしない。
「ふぅ……」
1人になれた、と一安心の私は扉を開く。
「はぁはぁ……やっぱりここに来ると思った。オル」
バタン。
(……?今のって……?)
私は首を傾げつつ、ガチャッ、ともう一度扉を開く。恐る恐るゆっくりと。
「なんで……」
すると、扉を開いた瞬間に隙間から手が出現、扉の端っこを掴むと、
「閉めるのー!」
ヌルッとユリウスが姿を現した。
「ぎゃあああ!!」
長い前髪の隙間から見開いた目がこちらを覗く。そして身にまとう黒いオーラとそれによって強調された白い肌……その姿はまさに、
「化け物ー!!」
「ひどいー!!」
と叫びながら私に迫るユリウスを、
「来るなー!!」
制服の襟首と袖を持って背負い投げ。
「ぐえっ……!」
ユリウスは、背中を床に強打し、苦悶の声を上げた後、
「な、投げなくても……」
というと白目を剥いて気絶した。
「……や、やりすぎたー!!」
私は慌てて白目を剥くユリウスに駆け寄った。
20年前に、オーガニクス王国内で発行された大人気ベストセラーで、ひょんなことから知り合った旅人のレードンと王女の恋愛物語。
"縛られることが嫌いな旅人のレードンが、最後は魔の森を出ることができない王女を思って森に残るの"
本を紹介してくれたグレイスさんはうっとり顔で遠くを見つめ、1人だけの、正確には、本を元にした妄想の世界へと意識が飛んでいき、
「やだ!レードン様ったら!」
と赤面し、隣にいるボクの背中を何度もバシバシ叩いた。
「まだヒリヒリする」
ボクは体育館ほどの広さの図書館の中を進む。
借りた本は各自で元の場所に返すことになっているので、ボクは借りた「ボンデッド。世界が燃えた日」を返却しに図書館の端っこにある本棚を目指して歩き、階段を登った。
階段を登りながら、右手でスカートの裾を押さえる。なぜなら下からボクに視線を向ける男子生徒にスカートの中身を見られないために。
「あれが男って信じられねぇ……」
「俺はどっちでもいい。あんなに可愛ければいける」
下世話な会話と、背筋がゾワゾワする視線が向けられる。
(はぁぁ……)
ため息しか出ない。
なんでいちいちスカートの中身を覗いてくるのかが理解できない。それに見ず知らずの人に向かってイケるイケないと話すこと自体、失礼にも程がある。
「気にしてもしょうがないか」
と思いを心中ではなくて、口に出す。
心中で「あーでもないこーでもない」と無理にでも思考を変えようと頭の中で押し問答していると、よくないことばかりを考えるようになって憂鬱な気持ちになってしまうので、口に出していうようにしている。
うんざり顔でぶつぶつと呟きながら階段を登っていると、
「あっ……」
と階上から声がした。
「……オルナさん」
声のした方に顔を向けるとそこにはスクールバッグを背負ったオルナさんがいた。目の周りを真っ赤に染めて。
◇◇◇
(よ、よりによってなんてタイミング……)
私は、今もっとも顔を合わせたくないーー正確に言えば、顔が合わせづらい相手、ユリウスの出現に困惑。
「あ……」
モジモジと恥ずかしそうにするユリウスが顔を朱に染めながら声を絞り出した。
「……!」
そして勇気を振り絞って顔を上げて何かを言おうとしていた。が、私は、ユリウスが顔を上げると同時に二階の手すりに足をかけ、階下へと飛び降りた。
「え……」
呆気に取られたユリウスと目があった。
それから1秒にも満たない浮遊感のあと、すぐに床へ到達。猫のようにしなやかに無音の着地を決めた。
「ええええ!!」
2階の方からユリウスが驚く声あげながら手すりに捕まって顔を出した。
「……」
そんなユリウスに私は何も言わず、背を向けて図書館出口へと走った。
(……なんで逃げてるんだ)
自分でも自分の行動に驚きが隠せない。
なぜか胸につまりのようなものを感じた瞬間、手すりに足をかけて飛んでいた。
(とにかく今は1人になりたい)
図書館を出た私は、
「待って!オルナさん!」
私を追いかけてくるユリウスを振り切るために、校内を走り、中庭を通って、屋上へ登る階段を駆け上がった。
(この時間、あそこは誰もいない)
屋上は7階、さすがの私も階段を登りきる頃には、
「はぁはぁ」
多少は息を切らしていた。
(……まけたな)
階段を登って来るものはいない、足音もしない。
「ふぅ……」
1人になれた、と一安心の私は扉を開く。
「はぁはぁ……やっぱりここに来ると思った。オル」
バタン。
(……?今のって……?)
私は首を傾げつつ、ガチャッ、ともう一度扉を開く。恐る恐るゆっくりと。
「なんで……」
すると、扉を開いた瞬間に隙間から手が出現、扉の端っこを掴むと、
「閉めるのー!」
ヌルッとユリウスが姿を現した。
「ぎゃあああ!!」
長い前髪の隙間から見開いた目がこちらを覗く。そして身にまとう黒いオーラとそれによって強調された白い肌……その姿はまさに、
「化け物ー!!」
「ひどいー!!」
と叫びながら私に迫るユリウスを、
「来るなー!!」
制服の襟首と袖を持って背負い投げ。
「ぐえっ……!」
ユリウスは、背中を床に強打し、苦悶の声を上げた後、
「な、投げなくても……」
というと白目を剥いて気絶した。
「……や、やりすぎたー!!」
私は慌てて白目を剥くユリウスに駆け寄った。
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