かわいいものが好きなボクは、ボクを否定する王子を「ざまぁ」して胸を張って生きていきます。

さくしゃ

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あなたになら……

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 迫る白い床。

「ん……」

 空中に投げ出され身動きが取れない。

「くっ……!」

 必死にもがく。が、どうすることもできず床に……

「っ!!……」

 とんでもない激痛に備えて構えを取り、目を瞑ったボクは、いつまで経ってもやってこない衝撃に違和感を覚え目を開けた。

「あれ?」

 目の前に迫っていた床がなく、視界には蛍光灯が映る。

 どういう状況?

「起きたあ?よかったああ」 

 その時、足元の方から声がした。

「……ユイ先生」

「そうだよおお。みんなのユイちゃんだよおお」

 年中顔色が悪いけど、どんな生徒でも差別することなく聖母のように包み込む優しさから「青顔の聖母」と呼ばれる長い黒茶の髪を後ろでまとめた保健教諭ーーユイ・セルロス。年齢は非公表のため、その実年齢は誰も知らない。

「ボクはなんでここに……?」

 なぜボクが保健室にいるのか、なぜベッドで眠っていたのかーー状況が理解できていないボクは、ユイ先生に尋ねた。

「……」

 しかし先生は顔を背けて無視。

「あの……」

「名前で呼んでくれなきゃ答えてあげないもん」

 ボクの方を向いて頬を膨らませる。その姿は完全に、

「今、5歳児とか思ったでしょ」

 ユリ先生の鋭い指摘に思わずビクつく。

「……あの子が話すように本当にいろんな反応をするのね」

 しばらくじっとボクのことを見つめた後、先生は口に手を当ててくすくすと笑い出した。

「ごめんなさいね。ちょっとあなたのことを試したくて」

 片目をつむり長い髪を耳にかける。

「あなたになら話してもいいかもね」

 そう言うとユリ先生は、ソファに腰掛け、テーブルの上にあるカップを持ち紅茶をすする。

「あの、話すって何を……?」

「あの子を避けずに向き合うあなたには知っておいてほしいの。あの子の過去をーー」

 それからユリ先生は真面目な顔で口を開いた。
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