かわいいものが好きなボクは、ボクを否定する王子を「ざまぁ」して胸を張って生きていきます。

さくしゃ

文字の大きさ
31 / 33

いつもいつも貴様は!

しおりを挟む
「どけぇぇ!」

 迫り来る六頭の馬とそれに引かれる大きな馬車。

「くっ!」

 命の危機に体が自然と回避行動を取った。

 現在、体重は右足にかかっている。それに振り向いた方向も右からだ。

 この状況で左に飛んではタイムロスで馬車に轢かれてしまう。

 そう瞬時に判断した身体は、右足に全体重をかけ横へ倒れ、地面を転がる。

 その瞬間、

「ヒヒィィィン!」

 すんでの所を馬がかけて行った。

「……はぁぁぁ」

 ボクのいる位置から少し進んだ所で止まった馬車を見て、自分が生きていることを実感し、止めていた背の空気を体外へと吐き出した。

「ユリウス・ワーグナー!!」

 地面で四つん這いになっているボクは、その声に顔を上げた。


◇◇◇


"肝に銘じよ。国王は貴族、民に支えられ務めを果たせる"
 
 揺れる馬車の中、膝に置いた手を見つめながら国王陛下ーー父様に言われたことを思い出していた。

"これが最後だ。お前のその王族以外を見下した考えが変わらなければ王太子の座は弟ーーヒメルに後を継がせる……良いな?"

「……くそ!」

 目に浮かんだ父様の顔を握りつぶす。

「そんなわけないだろうが! 国王が命令を下すから無能でバカなカス(貴族)やゴミ(国民)が存在してられるのだ!」

 車窓から校舎の中で授業を受ける貴族どもを睨む。

「くそ!」

 絶対にあんなバカな、俺の弟とも思いたくない出来損ないのヤツに次期国王の座を渡してなるものか!

 そう心の中で叫んだ時、

「うお!!」

 馬車が左に大きく曲がり、車内にあったお菓子や荷物をまとめたバッグ、予習用に持ってきた教科書が左に流れて壁にぶつかった。

「くっ!」

 幸いにも馬車は横転することなく停車、業者役の執事が慌ててドアを開いて、

「ご無事ですか?! ブレイク殿下!」

 青い顔で問うてきた。額から汗が流れ落ちた。

「……く!」

 生命の危機から脱した安心感を噛み締める間、執事の顔を見つめていた僕の意識は突然現実へ引き戻された。すると、無性にイライラした感情が込み上げてきて、必死に僕の名前を呼ぶ執事の声がやけにうるさくて、

「この役立たずが!」

 荒れ狂う感情のままに執事の顔を蹴り飛ばした。

「ぐあっ!……す、すみません!!」

 執事は鼻からの流血をハンカチで抑え、怯えたように体を震わせて首を垂れる。

「なぜこんな使えない奴らに"感謝"などせねばならんのだ!」

 馬車を降り、額を地面につけて震える執事の頭を、

「ぐあああ!!」

「うるさい!黙れ!この程度で済ませてやっているのだ!打首にならんだけありがたいと思え!!」

 全体重をかけて踏み潰してやった。

 メキメキメキ……と鈍い音が微かに聞こえる。

「あわわわわ……」

 あまりの痛みに耐えられず、執事は口から泡を吹いて気絶した。

「お前はクビだ!使えない!」

 最後に気絶した執事のお腹に蹴りを入れ、

「馬車がこんなに曲がるということは」

 馬車が大きく曲がる原因となった"何か"を探した。するとーー。

「…‥あいつか」

 馬車から少し離れた後方で四つん這いになっている金髪ーーユリウス・ワーグナーが目に入った。

「ユリウス・ワーグナー!!」

 いつもいつもなぜ貴様は!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

処理中です...