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プロローグ②
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国外追放から10日が経った。
「はぁはぁ……」
満月が雲におおわれて、世界は真っ暗闇に包まれた。先が見えないからどこにいるのかわからないけど、魔の森のどこかというのは確かだった。
「っ」
そして私はさまよった末に倒れたーー飲まず食わず。回復魔法でだましだまし魔獣から逃げながら生き延びてきたけど、身体から力が抜けていく。視界も掠れはじめた。
(どうしてこうなった)
………
……
…
私ーーキャロルはレバノン家に長女として生まれ落ちた。母はメイドで、父である領主が酒に酔った勢いで抱いた母との間にできたのが私だった。
『忌み子』ーーそれが私だった。だから、母と私は存在を隠すように領地の外れにある寒村に追いやられ、そこでも忌み嫌われた。
でも、そんな日々でも夜になると静かで、母と話す本当に他愛ないやりとりが幸せだった。
だけど、私が8歳になる頃に母は逝ってしまった。
大好きな母が死んだっていうのに……涙が出なかった。ただベッドの上で動かない母を眺めた。
泣きたいのに、泣けない。それでも母のことを思い出さない日はなかった。
でも、思い出すと心がどうにかなってしまいそうだったからとにかく働いた。そうすることで母のことを考えなくて済んだ。
それからあっという間に6年が経ったある日。
"あなたが次の聖女であるとお告げがありました"
私が畑の作業をしていたら急に法衣を着たおじさんと全身鎧の騎士5人が私を囲んで言った。
"今すぐに教会本部へ"
突然の宣告に理解が追いつかずにいた。それでも「とにかく」と無理やり馬車に乗せられ、聖王国王都にある教会本部へと連れていかれた。
"聖女様!"
"お会いしたかったですぞ!"
名前も知らない。あったばかりの人たちが私にこうべを垂れる。恍惚とした表情で。神をあがめるみたいに。
(気持ち悪い)
聖女になってからの日々は忙しくーー怪我や病気で運ばれてくる人たちの治癒を1人でやらされ、魔物の討伐も1人でやらされた。
(逃げ出したい)
そんな日々が半年も経った頃、教皇から
"第一王子との婚約が決まりました"
会ったことも、話したこともない相手との婚約。
"ゆくゆくは国母としてこの国を支え、王家の権力を教会のものにしろ"
と教皇は嬉しそうにしていた。
(やめたい)
心がすり減る日々。その中でも私の支えとなる出会いがあった。
それは紋章が浮かび上がったことで、どういう理屈かわからないけど「妖精王」との繋がりができた。
妖精王は強大すぎる力から恐れられ孤立していた。だから初めは辿々しかったけど、互いに孤独という共通点もあり、すぐに仲良くなった。
妖精王と話す時間だけが、私を支えてくれた。
それでも限界はあって、逃げ出した。そのたびに連れ戻された。
(ここはいや)
この毎日が一生続くのかと思った。そう思えた。でも、終わりはあっけなくて
"私が真の聖女だったのです"
私の腹違いの妹ーーエリザベスの手の甲に聖女の紋章が浮かび上がり、私の手には何も浮かばなくなった。
そうすると私を崇めていた人たちはエリザベスの味方となった。誰も私のいうことなんて聞かず、新たな聖女の命令で私は国外追放となった。
"キャロル・レバノンを魔の森に追放する!"
さらに国王から追放場所の指定があり、Sランク冒険者でも依頼がない限りは近づかない魔の森に追放されることになった。
………
……
…
(ああ)
死が迫る。これまでの記憶が駆けめぐった。その思い出たちは苦しいことばかり。だけど、ほんの少しの幸せもあった。母、そして妖精王。
(一度で)
妖精王にはあったことはない、紋章を通して話しただけだったから暇がある時に妄想して楽しんだ。
(一度でいいから)
誰にも知られずに1人で死んでゆく状況なのに妖精王と話した日々を思い出すだけで頬がゆるむ。胸がじんわりとあたたかい。
(会ってみたかったなぁ)
意思はあるのに体が動かない。自然とまぶたが閉じた。感触も何もない。
(私と、話して、くれてありが……と)
何も感じない。音も何もない。私は死を迎えた。
「リヴァイブ(復活)」
はずだった。
「はぁはぁ……」
満月が雲におおわれて、世界は真っ暗闇に包まれた。先が見えないからどこにいるのかわからないけど、魔の森のどこかというのは確かだった。
「っ」
そして私はさまよった末に倒れたーー飲まず食わず。回復魔法でだましだまし魔獣から逃げながら生き延びてきたけど、身体から力が抜けていく。視界も掠れはじめた。
(どうしてこうなった)
………
……
…
私ーーキャロルはレバノン家に長女として生まれ落ちた。母はメイドで、父である領主が酒に酔った勢いで抱いた母との間にできたのが私だった。
『忌み子』ーーそれが私だった。だから、母と私は存在を隠すように領地の外れにある寒村に追いやられ、そこでも忌み嫌われた。
でも、そんな日々でも夜になると静かで、母と話す本当に他愛ないやりとりが幸せだった。
だけど、私が8歳になる頃に母は逝ってしまった。
大好きな母が死んだっていうのに……涙が出なかった。ただベッドの上で動かない母を眺めた。
泣きたいのに、泣けない。それでも母のことを思い出さない日はなかった。
でも、思い出すと心がどうにかなってしまいそうだったからとにかく働いた。そうすることで母のことを考えなくて済んだ。
それからあっという間に6年が経ったある日。
"あなたが次の聖女であるとお告げがありました"
私が畑の作業をしていたら急に法衣を着たおじさんと全身鎧の騎士5人が私を囲んで言った。
"今すぐに教会本部へ"
突然の宣告に理解が追いつかずにいた。それでも「とにかく」と無理やり馬車に乗せられ、聖王国王都にある教会本部へと連れていかれた。
"聖女様!"
"お会いしたかったですぞ!"
名前も知らない。あったばかりの人たちが私にこうべを垂れる。恍惚とした表情で。神をあがめるみたいに。
(気持ち悪い)
聖女になってからの日々は忙しくーー怪我や病気で運ばれてくる人たちの治癒を1人でやらされ、魔物の討伐も1人でやらされた。
(逃げ出したい)
そんな日々が半年も経った頃、教皇から
"第一王子との婚約が決まりました"
会ったことも、話したこともない相手との婚約。
"ゆくゆくは国母としてこの国を支え、王家の権力を教会のものにしろ"
と教皇は嬉しそうにしていた。
(やめたい)
心がすり減る日々。その中でも私の支えとなる出会いがあった。
それは紋章が浮かび上がったことで、どういう理屈かわからないけど「妖精王」との繋がりができた。
妖精王は強大すぎる力から恐れられ孤立していた。だから初めは辿々しかったけど、互いに孤独という共通点もあり、すぐに仲良くなった。
妖精王と話す時間だけが、私を支えてくれた。
それでも限界はあって、逃げ出した。そのたびに連れ戻された。
(ここはいや)
この毎日が一生続くのかと思った。そう思えた。でも、終わりはあっけなくて
"私が真の聖女だったのです"
私の腹違いの妹ーーエリザベスの手の甲に聖女の紋章が浮かび上がり、私の手には何も浮かばなくなった。
そうすると私を崇めていた人たちはエリザベスの味方となった。誰も私のいうことなんて聞かず、新たな聖女の命令で私は国外追放となった。
"キャロル・レバノンを魔の森に追放する!"
さらに国王から追放場所の指定があり、Sランク冒険者でも依頼がない限りは近づかない魔の森に追放されることになった。
………
……
…
(ああ)
死が迫る。これまでの記憶が駆けめぐった。その思い出たちは苦しいことばかり。だけど、ほんの少しの幸せもあった。母、そして妖精王。
(一度で)
妖精王にはあったことはない、紋章を通して話しただけだったから暇がある時に妄想して楽しんだ。
(一度でいいから)
誰にも知られずに1人で死んでゆく状況なのに妖精王と話した日々を思い出すだけで頬がゆるむ。胸がじんわりとあたたかい。
(会ってみたかったなぁ)
意思はあるのに体が動かない。自然とまぶたが閉じた。感触も何もない。
(私と、話して、くれてありが……と)
何も感じない。音も何もない。私は死を迎えた。
「リヴァイブ(復活)」
はずだった。
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