偽りの聖女と婚約破棄され、国外追放となった聖女は妖精王と幸せになる

さくしゃ

文字の大きさ
35 / 41

レオンサイド

しおりを挟む
(やめろ)

"こいつはもらっていくわ"

(待て)

"助けたければ聖王国まで来ることね"

(キャロル)

"じゃあね。くそ妖精王"

(キャロル!)

連れ去られていくキャロルが見えているのに、わかっているのに身体が動かない。動けって命じても動いてくれない。

(だめだ)

守るって、もう戦わなくていいって約束したのにーー連れ去られていくキャロルが小さくなって

(頼む!動け!動いてくれ!)

しかし身体が動くことはなくキャロルは消えた。


………
……



「キャロル!」

連れ去られるキャロルに手を伸ばした。そうしたら目の前には

「うおっ!」

魔王がのぞき込んでいて伸ばしたぼくの手を慌てて避けて尻もちをついた。

「……え」

なんで魔王がいるのか。それに周囲を確認したら自室のベッドにいる。

(湖にいたはず)

なのに自室のベッドにいる。

「なん、で」

混乱。「なぜ」が頭に溢れる。

「ワシが助けたんじゃ」

そんなとき立ち上がった魔王が

「いきなり異常とも言えるほどの魔力が現れたからな」

何があったのかを説明してくれた。

「気になっていってみれば湖畔にお主が倒れておった」

いわくーー魔力のした場所へ着いたら僕が倒れていたから慌てて運んで回復魔法をかけたとのことだった。そしてベッドに寝かせたと。

「ありがとう」

ということはさっきまで見ていたのは夢じゃなくて現実。そしてキャロルを連れ去ったあれは

"助けたければ聖王国まで来ることね"

と言っていた。キャロルはそこにいる。だから僕は助けてくれた魔王にお礼を言うと

「……」

ベッドから立ち上がって歩き出した。

「え、ちょっ!まだ休んでおらんと!」

そんな僕を魔王は慌てて手を掴んで止めた。

「聖王国へ行く。そこにキャロルがいる」

「まだ怪我じゃって回復魔法で癒したばかりじゃのに!それにあの異常な魔力のやつが相手なんじゃろ。無謀じゃ!さすがのお主でも死ぬぞ!」

「そんなこと関係ない」

それでも僕は魔王の制止を振り切って行こうとしたら、魔王がドアの前に立った。

「いいから待て!」

確かに魔王のいうとおりだ。今の僕ではあの黒いやつには勝てない。行っても負けるだけだ。

(けど、そんなの行かない理由にならない)

"ねぇ、レオン。好きだよ"

僕はキャロルを守ると誓った。

"おはよう。レオン"

だから僕は行く。勝ち負けじゃない。何があっても絶対に助ける。

「そんなこと関係ないんだ」

それに失いたくないんだ。

"レオン"

死なせない。死なせたくない。

「絶対に守るって誓ったんだ。だから僕は行く」

「なっ」

僕は魔王を押し退けてドアを開き

「じゃあ」

聖王国へと飛びたった。


………
……



「よく来たわね」

そこは聖王国とは名ばかりで、何もない。廃墟と化した街だけがあった。全てが破壊された中心地にキャロルを連れ去った黒い女がいた。

「待ってたわ」

黒い女の後ろの壁にキャロルはいた。手足を魔力によるナイフに貫かれ縫い付けられていた。

「……絶対に助ける」

意識はなく目を閉じたまま下を向いていた。

「あらあら。聖なる妖精王ともあろう存在が殺気を向けるなんてーーいいわ」

僕は腰の剣を抜き放ち構えた。

「絶対に殺してあげる」

黒い女もナイフを逆手に持ち構えた。しばらくの睨み合い。互いの出方を伺う。

「……」

静寂が場を支配する中、どこかの崩落した建物の瓦礫が崩れた。

「ホーリーライト!」

戦闘開始の合図。口火を切ったのは僕。光魔法でめくらましをした直後に黒い女の懐へ飛び込んで切り掛かった。

「あはっ」

あと数センチで僕の剣が届くというのに余裕の笑みを浮かべた。

「その程度なの」

黒い女は僕の剣を避けた直後、僕との間に魔力による黒いナイフを10本出現させると

「今度は私ね」

僕へと放った。

「くっ」

ほとんど魔法発動からタイムラグがなく飛んできたので、反応が遅れて一撃が右肩に刺さった。

"さすがのお主でも死ぬぞ!"

僕の感じた通り、そして魔王の言う通りだった。

「あらあら。痛そうね」

僕と黒い女にはかなりの実力差があった。

(ふぅぅ)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された幼い公爵令嬢、目覚めたら絶世の美女でした

鍛高譚
恋愛
『幼すぎる』と婚約破棄された公爵令嬢ですが、意識不明から目覚めたら絶世の美女になっていました 幼すぎる、頼りない――そんな理由で婚約者に見限られた公爵令嬢シルフィーネ。 心ない言葉に傷ついた彼女は、事故に遭い意識不明となってしまう。 しかし一年後、彼女は奇跡的に目を覚ます。 そして目覚めた彼女は――かつての面影を残しつつも、見る者すべてを惹きつける絶世の美女へと変貌を遂げていた! 周囲の反応は一変。婚約破棄を後悔する元婚約者、熱視線を送る他家の令息たち、さらには王太子からの突然の縁談まで舞い込み――? 「もう、誰にも傷つけられたくない。私は私の幸せを手に入れるの」 これは、冷たく突き放された少女が美しく咲き誇り、誇りと自由を手に入れる、ざまぁ&逆転恋愛劇。

婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ

水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。 それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。 黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。 叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。 ですが、私は知らなかった。 黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。 残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?

婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』

鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間―― 目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。 そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。 一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。 選ばれる側から、選ぶ側へ。 これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。 --

すべてを失って捨てられましたが、聖絵師として輝きます!~どうぞ私のことは忘れてくださいね~

水川サキ
恋愛
家族にも婚約者にも捨てられた。 心のよりどころは絵だけ。 それなのに、利き手を壊され描けなくなった。 すべてを失った私は―― ※他サイトに掲載

冷遇された令嬢は婚約破棄されましたが、最強王子に一途に溺愛されています

nacat
恋愛
社交界で“地味令嬢”と蔑まれていた侯爵令嬢リシェル。婚約者の王太子が妹を選び、盛大な婚約破棄を言い渡したその瞬間、彼女の運命は大きく動き出す――。 笑顔で去ろうとした彼女を引き止めたのは、冷徹と名高い第二王子。 「君を手放すなど、馬鹿げているな」 裏切りと陰謀の果てに明かされる真実、そして待ち受けるのは“ざまぁ”と“溺愛”の極上ハッピーエンド。 恋と正義が交錯する、痛快王道ラブファンタジー。

終わりから始まる恋――冷徹公爵に婚約破棄された令嬢は、愛されすぎて逃げられません!

nacat
恋愛
婚約者である公爵に公衆の面前で婚約破棄を宣言された伯爵令嬢リディア。 失意の中、国外で実力を発揮し、社交界に新星として返り咲く。 ところが――今度はあの冷徹だった公爵が、過去の過ちを悔い必死に彼女を追い始めて!? 「一度捨てた女を、二度も愛せると思わないでください」 皮肉にも、“ざまぁ”と“溺愛”が巡る愛の逆転劇が、今ここに始まる。

婚約破棄された令嬢は、“神の寵愛”で皇帝に溺愛される 〜私を笑った全員、ひざまずけ〜

夜桜
恋愛
「お前のような女と結婚するくらいなら、平民の娘を選ぶ!」 婚約者である第一王子・レオンに公衆の面前で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢セレナ。 彼女は涙を見せず、静かに笑った。 ──なぜなら、彼女の中には“神の声”が響いていたから。 「そなたに、我が祝福を授けよう」 神より授かった“聖なる加護”によって、セレナは瞬く間に癒しと浄化の力を得る。 だがその力を恐れた王国は、彼女を「魔女」と呼び追放した。 ──そして半年後。 隣国の皇帝・ユリウスが病に倒れ、どんな祈りも届かぬ中、 ただ一人セレナの手だけが彼の命を繋ぎ止めた。 「……この命、お前に捧げよう」 「私を嘲った者たちが、どうなるか見ていなさい」 かつて彼女を追放した王国が、今や彼女に跪く。 ──これは、“神に選ばれた令嬢”の華麗なるざまぁと、 “氷の皇帝”の甘すぎる寵愛の物語。

虚弱体質で偽聖女だと追放された私は、隣国でモフモフ守護獣様の白き聖女になりました

・めぐめぐ・
恋愛
平民孤児であるセレスティアルは、守護獣シィに力を捧げる【聖女】の一人。しかし他の聖女たちとは違い、儀式後に疲れ果ててしまうため「虚弱すぎる」と、本当に聖女なのか神殿内で疑われていた。 育ての親である神官長が拘束され、味方と居場所を失った彼女は、他の聖女たちにこき使われる日々を過ごす。そしてとうとう、平民が聖女であることを許せなかった王太子オズベルトによって、聖女を騙った罪で追放されてしまった。 命からがら隣国に辿り着いたセレスティアルは、そこで衰弱した白き獣――守護獣ラメンテと、彼と共に国を守ってきた国王レイと出会う。祖国とは違い、守護獣ラメンテに力を捧げても一切疲れず、セレスティアルは本来の力を発揮し、滅びかけていた隣国を再生していく。 「いやいや! レイ、僕の方がセレスティアルのこと、大好きだしっ!!」 「いーーや! 俺の方が大好きだ!!」 モフモフ守護獣と馬鹿正直ヒーローに全力で愛されながら―― ※頭からっぽで

処理中です...