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急転
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15歳になって迎えた第7の月。
雨季が明け、日差しが厳しい季節が到来した。春先から育てた作物が土中水分を吸い上げて日の光を浴びて一気に成長する。それとともに雑草も成長し、作物に害虫や病気を蔓延させる。そのため農家たちは雑草や害虫退治に奔走していた。
そして土中に蓄えられた水分も底をつきかけた頃、恵みの雨が降った。
「おお!」
「これだけ降れば作物も元気を取り戻す!」
例年よりもはるかに厳しい暑さの日差しに作物たちは干からび始めていた。
もしかしたら今年は……と諦めながらも川から水を汲んで作物に与え続けて凌いでいたところに降った久しぶりの雨だった。
農家たちは大いに喜び、普段はあまり飲まない酒を飲み交わした。
これで今年もなんとか良い作物を育てることができる、と……しかし恵の雨だと思われたそれは徐々に雨足を強め、5日5晩振り続けた。
「た、溜め池が決壊した!」
「西の街が土石流に飲み込まれた?!」
「北、南の街が水に飲み込まれた……」
大陸でも有数の山脈地帯「グレート」を有するレイブン侯爵領は雪解け水が豊富で酪農と農業が盛んだ。
山脈から流れる水は領地各所にある農地へと流れ、いつでもまとまった水が使えるようにと、大きな溜め池が数多く存在している。だが、今回の雨でそれらのほとんどが決壊した。
決壊した水は勢いを増し、濁流となって山を飲み込んで土石流を発生させ街を飲み込んだ。そして山のない場所は決壊した水が街を飲み込み大きな湖を形成した。
こんな災害は王国が誕生して以来500年間なかったこと。故に誰も経験したことがなく対応が遅れた。
避難場所の設置、食料確保、仮設住宅設置、死傷者の確認、捜索……領民から集めた税金を全て使った。
しかしそれだけでは足りず、屋敷にあるものを全て売り払った。お金になるものは全て、私財も投じた……それでも焼け石に水。復興費用が足りない。
「くそ!こんな事態だというのに中央の第一王子のバカは国庫の金を権力争いに投じていやがる!」
父はあたまを抱えた。国庫の金を権力争いに使いそれ以外には回さないようにしている第一王子。頑固なうえ、一度言い出したことは曲げない性格ゆえ、自分以外の考えや意見を認めない。
ならばと周辺領土に助けを求めたが帰ってきた答えは「お前のような非王国民に貸す金などない」というものだった。
力を持ちながら第一王子派閥、第二王子派閥と、どちらの勢力にも属さず、力を貸さず、自分が困ったときだけ助けてだと……ふざけるな!!
それが大方の貴族たちの答えだった。それならと、最後の頼みの綱であった同じ中立立場を守ってきた貴族に支援を頼んだ。
「すまない……」
しかし帰ってきた答えはそれだけだった。それでもいくつかの貴族家は支援を表明してくれた。だけど突然支援はできないと全ての家が表明を取り消した。唯一、父の従兄弟であるシルヴァ子爵家が支援金を贈ってくれた。
「東への支援物資が足りない……」
が、それでも日に日に追いつかなくなっていった。屋敷にはもはや売るものはなく、最後の手段として屋敷を売り払おうとしたが領都にやってきた避難民を受け入れることになりそれもできなくなってしまった。食糧も底を尽きかけ始めた。
「私が支援しよう」
万策つきかけた時だった。有力貴族の一家ーージーニスト侯爵家が支援に手を上げてくれた。
ジーニスト侯爵家は白銀鉱脈を持つ家だ。そこから取れる白銀ーーミスリル鉱は純度が高く大陸中で高値で取引されていて、大商会との繋がりもあるジーニスト家の財力は王家と同等と言われ、レイブン侯爵領に必要な支援金を出すくらいは訳ない。
大切な自領民を守るため、背に腹はかえられない……ただ一つだけ条件が提示された。
「我が息子ーーメルエムとミリア嬢の婚約を認めていただきたい」
というものだった。
「くっ……」
メルエムを見て怯える私、そしてそんな私に異常なほど執着するメルエム……条件の中にはジーニスト家に嫁ぐというものもあった。
(あんな奴と結婚してミリアが幸せになれるのか……しかし支援金がなければ領民が死んでしまう)
父として娘の幸せを願う想いと、領主として領民の幸せを想う気持ちがぶつかり苦悩する日々が続いた。
「くそっ」
ご飯も食べず、執事や兵士たちに指示を出し終わると寝ずに苦悩し続ける父……頬がこけ、寝不足によるクマで目の周りは真っ黒、顔色も明らかに悪い。
「どうしたら……」
はっきりと答えが出せず、父としても領主としても不甲斐ないと自身を責めるその後ろ姿が見ていられず、私は覚悟を決めた。というよりも受け入れたといった方が正しい。
もとより貴族の女として生まれた落ちた瞬間から家の利益となる相手と縁を結ぶ……それが私の役目。
「メルエム・ジーニストと婚約します」
あの日、私に向けられたメルエムの視線を思い出すと今だに身体が震える。正直怖い……だけど、そんなことよりも苦しんでいる領民が一人でも救えるなら、私一人くらい安いものだ。
「俺にもっと金があれば……すまないミリア」
すまない……と父は泣き崩れた。
「気にしないでください」
それからはいろんなことが目まぐるしく進んだ。
婚約を受け入れる旨の返答をしてから1日、支援金を馬車に積んだメルエムが屋敷に現れた。王国領西にあるジーニスト領からレイブン領までは馬車で1週間はかかるはずなのに。
「やっと……やっと君を僕のものにできる」
到着早々「二人きりにしろ」と父に命令したメルエムは、自身を睨みつける父に、
「今回の支援金は僕に一任されているので、その気になれば打ち切る事も可能……この意味わかりますよね?」
「くっ……」
支援金……それを出されてはいうことを聞くほかない。父は悔しさを顔に滲ませながらも頷くと使用人達と共に応接室を出ていった。
「グヒッ」
二人きりになった瞬間、メルエムはあの時見せたように下を向くと笑い出し、
「グヒヒヒヒ」
長い前髪の間から不気味な視線を向けてきた。
「……」
怖い……恐怖に心がのまれ、身体が震え出す。呼吸もうまくできなくて苦しくて、言葉も出てこない。
「グヒヒヒヒ」
メルエムは斜め下から私を覗き込んだままの姿勢で笑いながら歩み寄ってきた。
「っ!」
「恐怖」が近寄ってくる……その光景に思わず目を瞑って一歩後退った。
「その反応傷つくなぁ。そんな態度をとっていいのかな?僕の機嫌を損ねたら支援金打ち切るよ?」
支援金……その言葉にピクリと私の体は止まった。
「グヒヒヒヒ!君はあの頃から何も変わっていないんだねぇ。自分以上に他人を優先してしまう……どうしようもないほどのバカ。だけど、そんな君だからこそたまらなく愛おしいんだ」
メルエムは私に抱きついてきた……あまりの不快感から思わず鳥肌が立ってしまった。
「ああ~いい匂い……ローズ系の香水かな?それに髪から匂うこれは柑橘系の香りだね、グヒヒヒヒ!」
私の髪を手で持って鼻で嗅ぐメルエムは、
「オレンジの髪、真っ白な肌、整った顔、つぶらな瞳……何よりその天真爛漫で素直な性格……まあ、前の僕がやりすぎたせいで異性が苦手になってしまったようだけど、それはそれでそそる」
私を抱きしめたまま訳のわからないことを言った。
(あの頃と何も変わらないって、あんたとはこの前のお見合いで会ったのが初めてだよ!)
目をギュッと瞑ったまま心の中で叫ぶ。
(は、早く離れて!)
メルエムに対する恐怖心、嫌悪感、気持ち悪さが許容量を超え視界が揺れ出した。
「ああ、前世そのままの姿の君と再会した時は嬉しかったよ『さやか』……」
耳元で囁くメルエムの言葉が変わった。
(人族語じゃない……)
人族語とは、人間国家間で使われている共通語のことで、ほかに亜人語、魔族語がある。しかし、メルエムの発する言葉はそのどれにも該当しない。
「前世では邪魔者ーーそう。あいつ!「たいが」のおかげで君と僕は結ばれなかった!」
(聞いたことない言語……なのにメルエムが何をいっているのかわかる。それに酷く懐かしい)
メルエムから感じる体温、息づかい、話し声は気持ち悪くてしかたない。けど、メルエムの話す言葉は酷く懐かしく心がジーンとして泣きそうになってしまった。
(なんでだろう……聞いたことない言葉なのに)
「だけど、神様はわかってくれてたんだ!僕のことを拒絶してたけど本当は君ーー『さやか』は照れていただけで僕のことを愛していたんだって!」
(それに「さやか」と「たいが」っていう名前も聞いたことないのになぜかものすごく懐かしい)
ずっと大切な何かを忘れているような心にぽっかりと空いた穴……「さやか」「たいが」という聞き覚えのないはずなのにどこか懐かしさを感じる名前を聞いた瞬間、心の穴が埋まったような気がした。
「だからこうして僕と君は再会し結ばれる!」
私に抱きついたままなにやら力説するメルエムだったけど、その時には私の意識は既になくて暗闇の底へと落ちていっていた。
雨季が明け、日差しが厳しい季節が到来した。春先から育てた作物が土中水分を吸い上げて日の光を浴びて一気に成長する。それとともに雑草も成長し、作物に害虫や病気を蔓延させる。そのため農家たちは雑草や害虫退治に奔走していた。
そして土中に蓄えられた水分も底をつきかけた頃、恵みの雨が降った。
「おお!」
「これだけ降れば作物も元気を取り戻す!」
例年よりもはるかに厳しい暑さの日差しに作物たちは干からび始めていた。
もしかしたら今年は……と諦めながらも川から水を汲んで作物に与え続けて凌いでいたところに降った久しぶりの雨だった。
農家たちは大いに喜び、普段はあまり飲まない酒を飲み交わした。
これで今年もなんとか良い作物を育てることができる、と……しかし恵の雨だと思われたそれは徐々に雨足を強め、5日5晩振り続けた。
「た、溜め池が決壊した!」
「西の街が土石流に飲み込まれた?!」
「北、南の街が水に飲み込まれた……」
大陸でも有数の山脈地帯「グレート」を有するレイブン侯爵領は雪解け水が豊富で酪農と農業が盛んだ。
山脈から流れる水は領地各所にある農地へと流れ、いつでもまとまった水が使えるようにと、大きな溜め池が数多く存在している。だが、今回の雨でそれらのほとんどが決壊した。
決壊した水は勢いを増し、濁流となって山を飲み込んで土石流を発生させ街を飲み込んだ。そして山のない場所は決壊した水が街を飲み込み大きな湖を形成した。
こんな災害は王国が誕生して以来500年間なかったこと。故に誰も経験したことがなく対応が遅れた。
避難場所の設置、食料確保、仮設住宅設置、死傷者の確認、捜索……領民から集めた税金を全て使った。
しかしそれだけでは足りず、屋敷にあるものを全て売り払った。お金になるものは全て、私財も投じた……それでも焼け石に水。復興費用が足りない。
「くそ!こんな事態だというのに中央の第一王子のバカは国庫の金を権力争いに投じていやがる!」
父はあたまを抱えた。国庫の金を権力争いに使いそれ以外には回さないようにしている第一王子。頑固なうえ、一度言い出したことは曲げない性格ゆえ、自分以外の考えや意見を認めない。
ならばと周辺領土に助けを求めたが帰ってきた答えは「お前のような非王国民に貸す金などない」というものだった。
力を持ちながら第一王子派閥、第二王子派閥と、どちらの勢力にも属さず、力を貸さず、自分が困ったときだけ助けてだと……ふざけるな!!
それが大方の貴族たちの答えだった。それならと、最後の頼みの綱であった同じ中立立場を守ってきた貴族に支援を頼んだ。
「すまない……」
しかし帰ってきた答えはそれだけだった。それでもいくつかの貴族家は支援を表明してくれた。だけど突然支援はできないと全ての家が表明を取り消した。唯一、父の従兄弟であるシルヴァ子爵家が支援金を贈ってくれた。
「東への支援物資が足りない……」
が、それでも日に日に追いつかなくなっていった。屋敷にはもはや売るものはなく、最後の手段として屋敷を売り払おうとしたが領都にやってきた避難民を受け入れることになりそれもできなくなってしまった。食糧も底を尽きかけ始めた。
「私が支援しよう」
万策つきかけた時だった。有力貴族の一家ーージーニスト侯爵家が支援に手を上げてくれた。
ジーニスト侯爵家は白銀鉱脈を持つ家だ。そこから取れる白銀ーーミスリル鉱は純度が高く大陸中で高値で取引されていて、大商会との繋がりもあるジーニスト家の財力は王家と同等と言われ、レイブン侯爵領に必要な支援金を出すくらいは訳ない。
大切な自領民を守るため、背に腹はかえられない……ただ一つだけ条件が提示された。
「我が息子ーーメルエムとミリア嬢の婚約を認めていただきたい」
というものだった。
「くっ……」
メルエムを見て怯える私、そしてそんな私に異常なほど執着するメルエム……条件の中にはジーニスト家に嫁ぐというものもあった。
(あんな奴と結婚してミリアが幸せになれるのか……しかし支援金がなければ領民が死んでしまう)
父として娘の幸せを願う想いと、領主として領民の幸せを想う気持ちがぶつかり苦悩する日々が続いた。
「くそっ」
ご飯も食べず、執事や兵士たちに指示を出し終わると寝ずに苦悩し続ける父……頬がこけ、寝不足によるクマで目の周りは真っ黒、顔色も明らかに悪い。
「どうしたら……」
はっきりと答えが出せず、父としても領主としても不甲斐ないと自身を責めるその後ろ姿が見ていられず、私は覚悟を決めた。というよりも受け入れたといった方が正しい。
もとより貴族の女として生まれた落ちた瞬間から家の利益となる相手と縁を結ぶ……それが私の役目。
「メルエム・ジーニストと婚約します」
あの日、私に向けられたメルエムの視線を思い出すと今だに身体が震える。正直怖い……だけど、そんなことよりも苦しんでいる領民が一人でも救えるなら、私一人くらい安いものだ。
「俺にもっと金があれば……すまないミリア」
すまない……と父は泣き崩れた。
「気にしないでください」
それからはいろんなことが目まぐるしく進んだ。
婚約を受け入れる旨の返答をしてから1日、支援金を馬車に積んだメルエムが屋敷に現れた。王国領西にあるジーニスト領からレイブン領までは馬車で1週間はかかるはずなのに。
「やっと……やっと君を僕のものにできる」
到着早々「二人きりにしろ」と父に命令したメルエムは、自身を睨みつける父に、
「今回の支援金は僕に一任されているので、その気になれば打ち切る事も可能……この意味わかりますよね?」
「くっ……」
支援金……それを出されてはいうことを聞くほかない。父は悔しさを顔に滲ませながらも頷くと使用人達と共に応接室を出ていった。
「グヒッ」
二人きりになった瞬間、メルエムはあの時見せたように下を向くと笑い出し、
「グヒヒヒヒ」
長い前髪の間から不気味な視線を向けてきた。
「……」
怖い……恐怖に心がのまれ、身体が震え出す。呼吸もうまくできなくて苦しくて、言葉も出てこない。
「グヒヒヒヒ」
メルエムは斜め下から私を覗き込んだままの姿勢で笑いながら歩み寄ってきた。
「っ!」
「恐怖」が近寄ってくる……その光景に思わず目を瞑って一歩後退った。
「その反応傷つくなぁ。そんな態度をとっていいのかな?僕の機嫌を損ねたら支援金打ち切るよ?」
支援金……その言葉にピクリと私の体は止まった。
「グヒヒヒヒ!君はあの頃から何も変わっていないんだねぇ。自分以上に他人を優先してしまう……どうしようもないほどのバカ。だけど、そんな君だからこそたまらなく愛おしいんだ」
メルエムは私に抱きついてきた……あまりの不快感から思わず鳥肌が立ってしまった。
「ああ~いい匂い……ローズ系の香水かな?それに髪から匂うこれは柑橘系の香りだね、グヒヒヒヒ!」
私の髪を手で持って鼻で嗅ぐメルエムは、
「オレンジの髪、真っ白な肌、整った顔、つぶらな瞳……何よりその天真爛漫で素直な性格……まあ、前の僕がやりすぎたせいで異性が苦手になってしまったようだけど、それはそれでそそる」
私を抱きしめたまま訳のわからないことを言った。
(あの頃と何も変わらないって、あんたとはこの前のお見合いで会ったのが初めてだよ!)
目をギュッと瞑ったまま心の中で叫ぶ。
(は、早く離れて!)
メルエムに対する恐怖心、嫌悪感、気持ち悪さが許容量を超え視界が揺れ出した。
「ああ、前世そのままの姿の君と再会した時は嬉しかったよ『さやか』……」
耳元で囁くメルエムの言葉が変わった。
(人族語じゃない……)
人族語とは、人間国家間で使われている共通語のことで、ほかに亜人語、魔族語がある。しかし、メルエムの発する言葉はそのどれにも該当しない。
「前世では邪魔者ーーそう。あいつ!「たいが」のおかげで君と僕は結ばれなかった!」
(聞いたことない言語……なのにメルエムが何をいっているのかわかる。それに酷く懐かしい)
メルエムから感じる体温、息づかい、話し声は気持ち悪くてしかたない。けど、メルエムの話す言葉は酷く懐かしく心がジーンとして泣きそうになってしまった。
(なんでだろう……聞いたことない言葉なのに)
「だけど、神様はわかってくれてたんだ!僕のことを拒絶してたけど本当は君ーー『さやか』は照れていただけで僕のことを愛していたんだって!」
(それに「さやか」と「たいが」っていう名前も聞いたことないのになぜかものすごく懐かしい)
ずっと大切な何かを忘れているような心にぽっかりと空いた穴……「さやか」「たいが」という聞き覚えのないはずなのにどこか懐かしさを感じる名前を聞いた瞬間、心の穴が埋まったような気がした。
「だからこうして僕と君は再会し結ばれる!」
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