無感情な聖女はデリカシーなし男に変えられる。デリカシーなし男も変わる。

さくしゃ

文字の大きさ
10 / 41

突然の乱入者

しおりを挟む
「お前……それは本当か?」

 振り返った先に立っていたのは見覚えのないやつで、男とも女とも見て取れる中性的な顔立ちと華奢な体躯の、声からしてかろうじて男だと認識できる人物が腕を組んでいた。

「こんな僕の良い所……教えて下さい!」

 しかし今の俺たちにはそいつが何者かなんてどうでも良かった。

 優秀すぎるサンと比較した時に自分には何もないと落ち込む心に、今は気休めでもいいから自分の長所を知りたかった。甘い言葉が、アメが欲しかった。

「まずは……勇者!お前はずっと見ていたが格闘センスが素晴らしい!それに戦い……いや『喧嘩慣れ』と言った方が正しいか。それが豊富でとっさの起点が光る時がある。度胸もある。単純すぎる所があるが……まあ、合格だな」

 正直、期待していなかった。

「イケメンだな!女にモテるだろう!」

 というくらいの褒め言葉しか来ないと思っていたら、めちゃくちゃ細かく俺の良いところを言ってくれた。

 男は続けて、

「次は勇者パーティーのタンク。お前の攻撃は盾で相手を殴るしかない。が、その攻撃力の高さは目を見張るものがある。それに盾による防御ーー特に「パリィ」は魔法すら受け流してしまうほどの技術力。それはもはや"達人"と評しても差し支えない。お前は文句なしの合格だ!」

 ハンスの良い所も細かく丁寧に褒めてくれた。それに男から嫌味は感じられず嘘偽りのない分析結果に俺とハンスは飛び起き、男へと抱きついた。

「男に抱きつくのは趣味じゃねえけど……ありがとう!知らない人!」

「ありがとうございます!知らない人!」

 俺たちが嬉しさを爆発させると、

「ガハハハ!!なんかよくわからないが……おう!」

 男は戸惑いながらも豪快に笑った。

「土槍(ディススピア)!」

 その時、背後でサンの声がした。そしたら魔力が弾けて大口を開けた男の口に土の槍が刺さった。

「距離を取って!そいつは人間じゃない!魔族よ!」

 森の中から杖を構えたサンが走ってきた。

「いやいや。魔族ってもっと化け物って感じの姿してんじゃん。ゴブリンっぽいのとかさ。それに仮に魔族だったとして人かどうかも確かめてないのにいきなり攻撃するとかやりす」

「いや、その聖女の判断は正しい。人間どもは知らんだろうが魔族は進化を何度もした者ほど姿が人に近くそして強い。まあ、聖女は女神に愛されている。人族とツイになる存在の魔族には人一倍敏感だろうな」

 サンの「土槍」をペッと吐き出すと男は、

「そのためらいのなさ。魔力量は少ないが魔力操作技術は素晴らしく、身のこなしも前衛を張れるほど。おまけに頭の回転も早く状況判断も素晴らしい……合格だ!俺はお前のような強者と戦いたい!」

 飛び起き、杖を構えるサンへと拳を構えた。

「我が名は魔王軍四天王『暴乱』のブギ!いざ尋常に勝負!」

 サン、ハンス、最後に俺を見てニヤリと笑った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

あなたの側にいられたら、それだけで

椎名さえら
恋愛
目を覚ましたとき、すべての記憶が失われていた。 私の名前は、どうやらアデルと言うらしい。 傍らにいた男性はエリオットと名乗り、甲斐甲斐しく面倒をみてくれる。 彼は一体誰? そして私は……? アデルの記憶が戻るとき、すべての真実がわかる。 _____________________________ 私らしい作品になっているかと思います。 ご都合主義ですが、雰囲気を楽しんでいただければ嬉しいです。 ※私の商業2周年記念にネップリで配布した短編小説になります ※表紙イラストは 由乃嶋 眞亊先生に有償依頼いたしました(投稿の許可を得ています)

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する

ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。 夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。 社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。 ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。 「私たち、離婚しましょう」 アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。 どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。 彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。 アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。 こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。

処理中です...