婚約破棄されたばかりの私の手が第三王子のお尻にめり込んでしまった。

さくしゃ

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なぜ?③

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ロベルトside

"ごめんなさい。醜い私はあなたに相応しくない"

 そうか……。

"もう二度と関わりません。ごめんなさい"

 そっか……。

「ん?どういうこと?!」

 俺は戸惑っていた。

「醜い私ってなんで?あんなに美しいのに!」

 あまりに急展開すぎて理解が追いつかなかった。

「もう二度と関わりませんってなんでだ!」

 なぜ?なぜ?なんで?が頭の中を埋め尽くす。

「訳がわかんねえ!とりあえずどういうことかキャロルから聞き出す!」

 絵以外のことは悩んでも仕方ないと即行動に移す俺はキャロルの走り去った方向へロケットスタートを決めた。

「絶対探し出す!」





「全然見つからねぇ!」

 アトリエを飛び出して多分2時間くらい。夕日が沈んで月が昇ったばかりだから合ってる、はず。

「あと探してないのは……」

 校舎A棟、校舎B棟、体育館ーー広大すぎる学院だからまだまだ沢山ある。

「ちょっと休むか」

 2時間も走りっぱなしで流石に疲れた俺は近くのベンチに腰掛けた。夜の冷えた風が流れてきて火照った身体を冷ました。

(はぁ……キャロルに何があったんだ?)

 走って探してる時に考えた。が、いくら考えても見当がつかなかった。だから、

「なんでキャロルは自分のことを醜いっていうんだ?」

「なんでもう二度と俺と関わらないんだ?」

 と、道を歩く奴らに片っ端から聞いてみた。何かしら聞けばわかるだろう、と。だが、返ってくる答えは曖昧でよくわからなかった。中には第二王子派閥の女という奴がいたが

「そんなこと当然です!貴族のくせに魔力を持たないなんて平民同様に魔力が全てのこの世界では醜い存在です!」

 と一方的すぎる意見で全く参考にならなかった。あの女は記憶から消そう。削除。

「何が醜いんだ?」

 俺にはキャロルが醜いというのがどうしても理解できなかった。

「十分醜いですよ」

 そんな俺の独り言に突然現れた見知らぬ女が肩で息をしながら答えた。

「私はマリアベルといいます。あなたが探しているキャロルの妹です。我が家の出来損ないが迷惑をおかけしてしまったようで、大変申し訳ありません」

 現れた女は水色の髪を耳にかけると優しげな笑みを浮かべながら俺へと近づいてきた。

「私の姉といったら社交ダンスはできない。刺繍はできないで令嬢としては壊滅的でして。その代わり家事は得意でそれはもうハウスメイド顔負けで……いっそのことメイドになってしまった方が良いと思いませんか?」

 そう言いながら俺の隣に座ると両腕を絡めて胸を押し当ててきた。

「ねえ?そう思いませんこと?」

 そして吐息が耳にかかるくらい顔を近づけて囁いた。得意げな笑顔を浮かべてーーそんな女に抱いた俺の印象は、

「気持ち悪い奴だな。なんなんだお前。馴れ馴れしいな。離れろ」

 だった。

「き、気持ち悪い?この私が……?」

 俺は首を傾げる女を押し退けた。すると女は下を向いたまま何やらぶつぶつ言い始めた。

(なんだこいつ)

 女のあまりの気味の悪さに思わず後ずさった。

「それにご迷惑なんて俺は微塵も思ってない。なんなら俺の方がご迷惑をかけてるくらいだ。それにキャロルと一緒にいる毎日の方が楽しいんだよ」

 女を見ずにいうとイスから立ち上がって歩き出した。

「それによ。醜いっていうのは人の悪口を言ったりするお前のような奴のことを言うんじゃねえの?」

 そしてキャロルの悪口を言った女に対して腹が立った俺は許せなくて思ったことをそのまま伝えた。初めは女性に対してどうかとも思ったが、存外スッキリした。
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