婚約破棄されたばかりの私の手が第三王子のお尻にめり込んでしまった。

さくしゃ

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心地いい

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ロベルトside


 初夏に突入した五月の第一週。構想が決まり下絵も終わって仕上げ段階も終わりが近づいていた。

(やっぱりいい)

 いつも仕上げ段階に入ると必ずと言って良いほどやってくるものがある。

(あと一つ絵の完成に足りないものがあるような気がする)

 それは一通り絵を描き上げた後に頭の中にあるイメージ図と比較した時に出てくる理想とする絵との若干の違い。それはもう本当に誤差中の誤差であり、感覚レベルでの「なんか違う気がする」というもの。

(どうするか)

 この作業が一番辛い。はっきりとここが違うとわかるまでイメージ図と描き上げた絵を観察し続ける。

(はぁ……毎回、この瞬間だけは慣れない)

 はっきりと言って嫌いだ。

(だけど、それは昔の話!)


 一番星が窓の外で他の星を押しのけて我先にと輝く中おれは、

「お願いします」

 エプロン姿のキャロルへ頭を下げた。

「本当にいいんですか?」

「思いっきりやっちゃってください!」

「わかりました」

 そう言うとキャロルはエプロンを取ってイスの背にかけた。

「ふぅ……」

 瞳を閉じ息を吐いた後、しばらく下を向いたまま動かず、

「ん!」

 三分くらい経って準備が終わったキャロルは目を開くと俺に向かって蔑むように半目で睨んだ。それから腕を組んで上から見下ろすように上体を逸らした。

「はぅ!!」

 そんなキャロルの態度を目にして俺は、

「いい……その蔑むような目。それに王子の俺を見下すような姿勢に腕を組むという尊大な態度……いい。ものっすごくいいよぉぉ!!」

 めっちゃ興奮して身悶えした。

「おい」

 そしてその興奮度は絶頂に近くて鼻息を荒げる俺にキャロルは女子にしては低い声音で、物言いで呼んだ。

「は、はいい!!」

 絶頂間近の俺の興奮度はさらに上がり限界寸前となった。あまりの興奮に心臓がバックンバックン!と派手になり激しく流れる血流によって吸血鬼のように白い肌が赤みを帯びていく。

「イメージ通りの絵が描けないとかありえないから……このポンコツ!!」

 途中まで低い声で話してから突然の怒号。
 それは曇り空の日にゴロゴロと雷の音がするだけでいつ落ちてくるかわからずヤキモキして、

「さっきからゴロゴロ……なるのならないの?どっち!」

 と言った瞬間に待ってましたとばかりにタイミングよく発生する雷のようで一瞬の閃光の後に「ポンコツ!」という言葉が俺の体内を駆け巡った。それは過去に体験した事のない衝撃だった。

「ポンコツいただきましたー!!」

 エクスタシー(絶頂)!ーー心から愛し合う二人が一晩のアバンチュールの末に果てる時の気持ち良さに似た感覚に酔いしれた。

「おい変態。果ててる暇があったら絵を描きにいけよ」

「は、はいい!!」

 まさに俺だけの女王様。やっぱりいい。キャロルは最高だ!

「で、できたー!!」

 それから程なくして絵が完成した。

「できた、できたぞぉぉ!キャロル~!」

 そして俺はいつもするお礼で、

「ひゃあ!ちょ、き、急に抱きつくのはやめて下さい!」

「まあまあ、いいじゃねえか。いつもありがとなキャロル」

「ど、どういたしまして」

 照れるキャロルを抱きしめ続けた。
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